ThreeBond Racing 2018全日本F3選手権第8ラウンド富士 レースレポート

2018年10月19日(金)8時0分 AUTOSPORT web

2018 JAPANESE FORMULA 3 CHAMPIONSHIP
RACE REPORT Vol.08


第18戦/第19戦
10月13日(土)/10月14日(日)
富士スピードウェイ


 10月13日(土)〜14日(日)、全日本F3選手権シリーズ第8大会(第18戦、第19戦)が、静岡県の富士スピードウェイで開催された。2018年シリーズ最終大会であり、FIA世界耐久選手権(WEC)シリーズ第4戦富士6時間耐久レースと併催となる。今大会では、公式予選で記録したベストラップタイムで第18戦、セカンドベストラップタイムで第19戦のスターティンググリッドを決定する、通常通りのルールが適用される。


■公式予選


 30分間の公式予選セッションは、10月13日(土)午前11時30分から始まった。富士スピードウェイの天候は曇りで、気温は前日よりも低下した。WECのプラクティスセッションが終わった後、路面にはWEC用タイヤのタイヤカスが散らばって通常経験することのないコンディションとなっている。
 
 1セット目のタイヤを装着し走行を開始すると、前大会でシリーズチャンピオンを決めた#36坪井選手をマーク、スリップストリームを利用してタイムアタックをかける作戦をとったが、操縦性は前日よりも悪化していると感じていた。
 
 赤旗を挟み記録したタイムは1分34秒040。ピットに戻った後にチームと相談し、得意なセクター2で前日よりも強くなったアンダーステアを低減するためにフロントウイングのフラップを起こし、2セット目のニュータイヤを装着してコースインすると1分33秒720を記録。次周には1分33秒753、最終ラップに1分33秒741を記録してセッションを終えた。この結果、スターティンググリッドは第18戦で4番手、第19戦で3番手と決まった。

笹原右京(ThreeBond Racing)


■第18戦決勝


 公式予選を納得しきれない操縦性で終えたことから、チームは午後3時30分から始まる第18戦決勝レースのために大幅なセッティング変更へ踏み切った。「前後サスペンションともスプリングとアンチロールバーを柔らかい方向へ変更し、フロントのキャンバーを増やして、アンダーステアを消すとともにジャダー(細かく跳ねる現象)対策を行いました」とエンジニアの伊与木。
 
 決勝レースのためコースインが始まると、予選2回目のタイムアタックを行ったタイヤを装着し、スターティンググリッドに付くまでに好感触を得てスタートに備えた。
 
 4番手スタートからスタート合図の瞬間わずかに出遅れ、後方から#1金丸選手がイン側に並んで1コーナーへ進入したため一旦5番手へ引くと、クロスラインを狙ってアウト側から#1金丸選手のインへ向かった。ところが前方で#37宮田莉朋選手と#8片山義章選手がわずかに接触、#37宮田選手がスピンしたため#1金丸選手はそれを避けようと減速しながらイン側へ寄ってきた。
 
 笹原はインから前へ出ようと加速しようとしていたため避けられず、左前輪で#1金丸選手の右後輪に乗り上げてしまった。この衝撃で左フロントサスペンションが曲がってしまい走行続行を断念してコカ・コーラ・コーナー手前のグリーンに乗り入れるとマシンを停め、リタイアを決めた。


■第19戦決勝


 夜半から降り出した雨で、日曜日の富士スピードウェイはウエットコンディションとなった。午前9時10分からの第19戦決勝レース前には雨は止みかかっていたが、路面は濡れたままで難しいコンディションとなった。
 
「ハーフウエットのコンディションでしたから、ハイ・ダウンフォースかミディアム・ダウンフォースか、みんな迷っていましたが、我々はミディアムを選びました。ダウンフォースが少ないから大変だけど、後は自分で頑張れとドライバーを送り出しました。ローダウンフォースで闘わなければならないマカオGPに向けても良い練習になるはずと思っていました」とエンジニア伊与木。
 
 ライバルのトムス勢、#36坪井選手、#37宮田選手ともハイ・ダウンフォースを選んでいた。濡れた路面でダウンフォースを減らせばコントロールが難しくなるがストレート速度は伸びる。ミディアム・ダウンフォースでトムス勢に対抗する目処があった。
 
 というのも、木曜日にドライバー自身がコースウォークを行い、コース各所でグリップする場所を確かめてあったからだ。


 スタート合図でうまく加速し3番手でレースを始め、トップに立った#37宮田選手、2番手の#36坪井選手にぴたりとつけた。前を行く2台がオーソドックスなウエットコンディション時のライン取りをするのに対し、ほとんどドライコンディションでのレコードラインで走行、コーナーで小回りに向きを変え、立ち上がりでスピードを乗せていくスタイルで前の2台を攻め立てる。
 
 6周目、#36坪井選手が#37宮田選手とポジションを入れ替えた際、前の2車との間隔を一気に詰め、7周目に入るストレートで#37宮田選手のスリップストリームに入ると1コーナーのインに飛び込み、2番手へ浮上した。
 
 勢いに乗って#36坪井選手にも攻めかかろうとするが、この頃から#36坪井選手も走行ラインを笹原同様レコードラインに近づける一方、笹原はタイヤの消耗を感じペースが落ち始めたため2台の間隔は少しずつ開き始めた。
 
 3番手の#37宮田選手との間隔は周回毎に開いていったが、#36坪井選手との間隔も少しずつ開いていき2番手を単独走行、そのまま15周を走りきって2位のチェッカーフラッグを受けることになった。
 
 シリーズ最終大会2レースを戦い、第18戦では無得点だったものの最終レースでシリーズポイント7点を加算、通算ポイントを65点としてドライバーランキング3番手で2018年シーズンを終えた。またThereeBond Racingは2番手と4点差のチームランキング3番手となった。

笹原右京(ThreeBond Racing)


■ドライバーコメント


「第18戦で何もできないままリタイアしたので最終戦はなんとしてでも勝とうと思っていました。濡れた路面でもレコードラインを走れそうだということは、以前F1ドライバーのストフェル・バンドーン選手が雨の富士を走ったときの様子を見て学んでいて、木曜日にコースを歩いて路面を調べ、金曜の走行で確かめてあったので最初から狙っていました」


「レースでは良いペースで走り始めたので無理をせずできるだけタイヤを使わないように気を遣っていましたが、宮田選手を抜いてからはグリップのピークを過ぎてしまったようで徐々にペースが落ちてしまいました。でも最善を尽くし今シーズンの集大成として楽しめたレースでした」


「今年はいろいろなことを経験できた中身の濃い1年になりました。ランキング3位は最善を尽くした結果だと納得しています。ただ、第18戦でリタイアした結果、チームランキングで逆転することができなかったことだけが残念です」


「後はマカオGPです。市街地レースは初めてですが、自信はありますし、シリーズをいい終わり方で締めくくれたので思う存分闘ってきます」


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