ドラフト指名漏れから2年。愛知の快腕・栗林は社会人No.1投手に成長した

10月21日(水)11時0分 Sportiva

「あの時は悔しいというよりも、自分を支えてくれていた周りの人たちに申し訳ないという気持ちでいっぱいでした」

 当時、名城大のエースで大学日本代表にも選ばれた実績を持つ栗林良吏(トヨタ自動車)は、2年前のドラフトで指名漏れを味わった。

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社会人No.1投手と評されるトヨタ自動車の栗林良吏
 ドラフト前の予想では指名確実と言われ、当日は大学が用意した記者会見場で名前が呼ばれるのを待つだけだった。

「関係者や後輩たちが指名を待ってくれていたのに......最後まで名前を呼ばれることなく、無駄な時間を費やすことになり、本当に申し訳なかったです」

 あれから2年が過ぎ、今年のドラフトでの栗林の評価は当時とはまったく違う。即戦力投手として社会人No.1投手に挙げられ、1位指名は確実と言われている。

 トヨタ自動車は東海地区第1代表として都市対抗の出場を決めており、代表決定後は約1週間のリフレッシュ休暇が与えられた。

「とくにどこかに行ったわけではありませんが、実家と中学時代のクラブチームにはあいさつに行きました。母校(名城大)の試合も見たかったのですが、無観客で行なわれていたため、観戦できませんでした」

 10月12日から練習を再開したが、まだ本格的に投げていない。それでもブルペンで投げられる状態にはあるという。

 都市対抗予選で栗林は2試合に登板。東邦ガス戦では7回を投げ、2安打無失点10奪三振と圧巻のピッチングを披露。代表決定戦のホンダ鈴鹿戦は本調子ではなかったが、それでも9回1失点に抑えて本戦出場に大きく貢献した。

「コロナ禍で練習も満足にできず、なかなか結果を出せないうちに予選を迎えてしまって......それでも東邦ガス戦はベストコンディションでした。ホンダ鈴鹿戦は打線が点を取ってくれたおかげで、悪いなりに9回まで投げることができました」

 DeNAの河原隆一アマスカウトグループリーダーは、栗林について次のように語る。

「大学時代は、腰高なためにボールが高めにいくことが多かったのですが、今年は腰を低く持ってこられるようになって、低めに集まるようになった。代表決定戦のホンダ鈴鹿戦では、8回に1点を取られましたが完投。左打者に対してのスプリットが有効でした。球速はアベレージで145キロぐらい。上から投げ下ろすから角度があるし、スタミナも十分。カーブも武器になるし、カットボールで空振りが取れるのも魅力です」

 愛知出身の栗林は小学2年で野球を始め、中学は軟式のクラブチームに所属し、東海大会3位の実績を持つ。高校は愛知黎明に進学。投手希望だったが、バッティングセンスを買われ野手として起用されていた。2年夏には「3番・遊撃手」として県大会準優勝。2年秋から投手兼任となり、3年春は「4番・エース」で県大会ベスト8。最後の夏は5回戦で敗退し、甲子園出場は果たせなかった。

 大学は東海地区を中心に九州の大学からも誘いがあったが、いずれも打撃を評価されてのものだった。そのなかで名城大は投手と野手の"二刀流"に挑戦させてくれるということで進学を決めた。

「その頃はプロに行きたいとは思っていませんでした。『野球で就職できたらいいなぁ』くらいで」

 投手経験が少ないのに、1年春から登板できたのはどうしてだったのか。

「上級生にいい投手がたくさんいたのですが、みなさんケガや不調で、たまたま自分に出番が回ってきて結果を出せた。タイミングと運がよかったと思います」

 そこから投手として頭角を現した栗林は、大学通算32勝をマーク。3年春には中京大を相手にノーヒット・ノーランを達成した。また、3年夏には大学日本代表にも選ばれた。大学での実績は申し分なかったが、プロからの指名はかからなかった。

 それでも社会人の名門・トヨタ自動車に入った栗林は、投手としてさらに磨きをかけ、押しも押されもせぬドラフト1位候補となった。

 トヨタ自動車の藤原航平監督は、栗林をどう見ているのだろうか。

「東海地区はそう簡単には勝たせてくれません。投手のできが大事になってくると考えています。今年の都市対抗予選に関しては、初戦の東邦ガス戦で栗林が期待以上のピッチングをしてくれました。柱がしっかり投げてくれたことで、チームに勢いが出た。

 昨年から佐竹功年、川尻一旗のベテランに頼ってばかりではいけないということで、このふたりをリリーフに回して、若い投手を先発に持ってくることにしました。そこで2年目の栗林を先発に回しました。入社当初から強心臓で、大舞台でも平然と投げられるのが心強い。今年は栗林がどうかでチームに影響が出るほど存在感は大きくなっています」

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 2年前の自分と比べて、いま栗林自身はどう思っているのか。

「全体的にレベルアップしていると感じています。大学時に比べると、球の質や投げっぷりはよくなっているはずです。なにより、野球に対する取り組みが変わりました。大学の時は正直、野球をやれることに心から喜びを感じていなかった。今は会社の方たちがものすごく応援してくれていて......その人たちのためにも恩返ししたいという気持ちで練習するようになりました。

 目指すところは、プロに入って活躍できる選手になることです。巨人の菅野(智之)投手やヤンキースの田中(将大)投手のように、大事な試合で勝てる投手になりたいです」

 目の前に迫ったドラフトを栗林はどんな心境で待っているのだろうか。

「2年前のようなドキドキ感、ワクワク感はまったくないです。今年に関しては都市対抗で優勝するためにやってきました。もちろん、ドラフトは自分の人生を大きく変えますし、球団が決定すれば安心感は出ると思いますが、とにかく今は都市対抗に優勝することしか考えていません」

 10月26日にドラフト会議が開催されるが、栗林には11月22日に開幕する都市対抗しか眼中にないようだ。そのためにも、まずは2年前の悔しさを晴らすべく、1位指名でのプロ入りを目指す。

Sportiva

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