日本人プレイヤーと縁深い、セルティックの5つの魅力

2022年10月22日(土)18時0分 FOOTBALL TRIBE

中村俊輔(左)アンジェ・ポステコグルー監督(中)古橋亨梧(右)写真:Getty Images

2022年10月17日に、2022シーズンでの現役引退を発表をした元日本代表MF中村俊輔(横浜FC)。世界でも有数のフリーキックの名プレイヤーでもあり、2005年から2009年まで在籍したスコティッシュ・プレミアシップのセルティックでは試合数128出場の29得点という記録を残し、数々の日本人選手初の快挙を遂げてヒーローとなった。


そんなセルティックには、現在(2022年10月現在)現役日本代表選手が3名(FW古橋亨梧、FW前田大然、DF・MF・FW旗手怜央)と、元日本代表MF井手口陽介の合計4名が所属している。ファーストチーム全27名のプレイヤー中、ヨーロッパ圏外出身者は7名で、そのうち4名は日本人だ。他クラブと比較して見ても、日本人の割合が高いことがわかる。


さまざまな理由や背景があり高い割合を保っているとは思うのだが、セルティックがまずは魅力が多いクラブという事には間違いない。ここでは、中村を始めとし日本人プレイヤーと非常に縁深いセルティックの5つの魅力を探ってみた。順番にご紹介していこう。




セルティック優勝式典での日本人選手 写真:Getty Images

セルティックの魅力1:場所


本拠地グラスゴーの隣には世界遺産エディンバラ


セルティックの本拠地は、スコットランド南部に位置するグラスゴーだ。すぐお隣には世界遺産の街、首都エディンバラがある。よく耳にするのは、エディンバラは小規模ながらも伝統と歴史が凝縮しているエリア、そしてグラスゴーは英国の中でもロンドンの次に若者の流行発信都市とされており、都会的な活気溢れるエリアと区別されている。つまり、グラスゴーの都会的な生活にちょっと疲れた時には、エディンバラで美しい景色を眺めながら、のんびりリラックスした時間を過ごすことができる。この距離感、立地の良さは魅力の一つと言えるだろう。





ひょっとしたら日本人プレイヤーもオフの日にはグラスゴーの賑わいのある都市部から、エディンバラまでちょっと足を伸ばして、歴史的な建造物や有名な景勝地などを堪能しているのかもしれない。


一方、サポーター目線の魅力としては、グラスゴー空港からセルティックのホームスタジアム「セルティック・パーク」までの交通手段が非常にスムーズなことが挙げられる。グラスゴー空港から直行便のバス「グラスゴー・エアポート・エクスプレス(GAE)」が30分間隔で走っているため、それを利用すればスムーズに現地スタジアムまで到着可能だ。所要時間は約1時間40分のやや長旅だが、バスの車中にはWifiやスマートフォンの充電設備も完備されており、到着までセルティックのプレイヤーたちの動画を視聴したりなど、好きな時間を過ごすことが可能だ。コロナ後の最初の海外旅行は、グラスゴーのセルティック・パークで試合観戦も良いかもしれない!




1887/88シーズンのセルティック 写真:Getty Images

セルティックの魅力2:歴史


昔から実力と実績がある由緒あるクラブ


セルティックには非常に長い歴史があり、1887年にグラスゴーのイーストエンド地域に住む、アイルランド系移民の貧困を緩和させる目的で創設された。当時、創設者であるアイルランド人の修道士ウォルフリッドが、移民の子供たちの食事支援事業をしていたのだが、活動を継続させていくため募金活動が必要になった。そして、募金活動を始動するためにセルティック・フットボール・クラブを創設し、その後に同クラブはスコットランドで頭角を表していくこととなる。


現在までに数々の試合で結果を出しているセルティックは、スコティッシュ・プレミアリーグ/プレミアシップで52回の優勝、スコティッシュカップで40回、スコティッシュリーグカップで20回という数えきれないほどの栄光を手にしている。その結果、英国サッカーの歴史上、伝説となりえるだろうと言われている113個のトロフィーを獲得。100を超える数というのは、世界中のサッカークラブでもトップ5に入るほどの名誉だ。


驚きのボリュームのトロフィーが専用のキャビネットに鎮座している光景は、それぞれが妖艶に光り輝き、映画ハリーポッターの世界にでも紛れ込んだかのようだ。現実離れしているほどの栄光を手にしているというのは、紛れもなく大きな魅力の1つだろう。


セルティック・パーク 写真:Getty Images

魅力3:スタジアム


スコットランドではトップを誇る大規模スタジアム!


セルティックのスタジアムは、グラスゴーのパークヘッドエリアにあるセルティック・パークだ。スコットランド内では最大規模のサイズで、イングランドを含めた全土に存在するすべてのスタジアムを大きさ順にランキングした場合、第7位にランク付けされるほど存在感を放っている。収容人数は、60,832人で全席座席付きだ。クラブは観光の視点でもスタジアムを上手く活用していて、例えば、広くクラブの歴史を知ってもらえるようにスタジアム見学ツアーを開催しているのだが、単純に見るだけではなく、5種類のユニークなパッケージツアーが存在する(2022年10月時点ではコロナウイルスの影響のため一時中止の状態)。


その中には、ブレックファーストクラブという朝食と温かい飲み物付きの見学ツアーや、スタジアム近くの450年以上の歴史を持つウェルパーク醸造所で、スコティッシュビールを楽しむツアーもある。さすがスコットランド!スタジアムの存在を活かしながら、地域全体を盛り上げ活性化させている取り組みは、他クラブの見本のようにも感じる。これを魅力といえない訳が無い。




セルティックサポーター 写真:Getty Images

魅力4:サポーター


“人生ひとりではない”900万人のサポーターがいる!


セルティックサポーターなら誰もが大切にしている曲『You’ll Never Walk Alone(人生ひとりではない)』。そのタイトルの通り、セルティックのサポーターは確固たる団結心を持ち、2003年時点で世界中に約900万人、そして20か国以上に160以上のサポーターズクラブが存在する。人生ひとりではなく、国境を超えて膨大な数のサポーターがセルティックという共通点で結びついている。


非常に印象的な出来事として、2003年セルティックがUEFAカップの決勝へ勝ち進んだ際に、約80,000人のサポーターがスペインのセビリア会場を訪れた。残念ながらセルティックは試合に負けてしまったのだが、サポーターはフーリガンのような激しい暴動も起こさず、それが「非常に忠実でスポーツ的な行動」としてFIFAとUEFAからフェアプレー賞を受賞。同時に、他クラブサポーターの模範生のような姿勢に各国メディアからは称賛の声が届いた。


さらにセルティックサポーターは、スコットランドの他クラブサポーターと比較するとホームでの平均出席率が最も高い。そんじょそこらの想いとは別格なんだ!というサポートの強さと、同じくらいの優しさと律儀さが共存しているのが凄さだ。2017年10月、遂にセルティックのサポーターは、クラブのヨーロピアン・カップ優勝50周年を記念し、FIFAファンアワードを受賞。セルティックの魅力はサポーター無しには考えられないだろう。




アンジェ・ポステコグルー監督 写真:Getty Images

魅力5:ユニークな取り組み


宝くじで未来のセルティックスターを育成!


セルティックは、他クラブにはあまりないエンターテインメント型の資金調達を行なっている。それはなんと、宝くじだ。将来のスタープレイヤー誕生を目的に、クラブではユースの育成に力を入れているのだが、それをサポーターと共に協力して一緒にクラブの未来を築いていく方法を実践。要は、サポーターに宝くじを購入してもらい、その資金を育成金へと割り当てる仕組みを採用している。くじを購入すればするほど未来のスターへの教育が潤い、充実したものへと変わっていく。


公式宝くじは「セルティック・プール」という名で、今から約50年以上も前からクラブの伝統事業として行われてきた。1964年にスタジアムで小さな抽選会からスタートし、現在ではユースアカデミーの重要な資金源となるまでに至った。セルティック・プールには3つの主な賞品があり、最大で25,000ポンド(約420万円)の賞金や、 豪華な品物やクラブイベントのチケット、その他にはVIP体験などが用意されている。


とても興味深い宝くじだが、イギリスとアイルランドのセルティックサポーター限定のお楽しみギャンブルのため、日本人サポーターの購入は残念ながら今のところ不可だ。しかし、将来的に国籍を問わず購入可能となれば是非試してみたいもの。セルティックの長い歴史の背景に、こんなユニークなエンタメ要素を含む取り組みが存在したことに驚きの魅力を感じる。


まだまだ奥が深いセルティックだが、ここで挙げた5つの魅力は日本人プレイヤーたちもきっと感じていることだろう。

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