ETRC第2戦:長期中断のトラックヘッド戦はWTCR併催戦で再開。地元キスがハットトリック達成

2020年10月23日(金)12時35分 AUTOSPORT web

 8月になってようやく開幕戦に漕ぎ着けたETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、さらなる大会中止の末に10月17〜18日にWTCR世界ツーリングカー・カップとの併催による第2戦が実現。およそ1カ月半ぶりのレースとなったハンガロリンクを舞台に全4ヒートが争われ、地元出身ノルベルト・キス(レベス・トラック・レーシング/MAN)が好調を維持し、週末3勝を挙げる大活躍を演じた。


 本来はオーストリアでのWTCR開幕戦やTCRヨーロッパとのトリプルヘッダーでの第2戦が予定されていたETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。しかしそのレースウイーク目前になって渡航制限と検疫要件のためFIAから開催延期の通達がなされ、スペインのハラマ戦ともども2021年シーズンへの開催延期がアナウンスされ、2020年ETRCは急遽全3戦に縮小されることが決まった。


 その第2戦はハンガリーのテクニカルトラックでの勝負となり、土曜はWTCR同様にウエットコンディションとなるなか、まずは2017年王者のアダム・ラッコ(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)が、Q1とスーパーポール・セッションを制して2020年自身最初のポールポジションを射止めた。


 そのまま降雨が続きイエローフラッグ下でのスタートとなったレース1は、2周目にレース開始のグリーンフラッグが降られると、ポールシッターのラッコが良好な視界で優位に立ち後続を引き離しにかかる。


 フロントロウ2番手に並んだ伏兵アンソニー・ヤニエック(ライオン・トラック・レーシング/MAN)以下、今季から新型『イヴェコS-WAYレーシング・トラックス』をドライブする絶対王者ヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イヴェコ)やシリーズ3冠のベテラン、アントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/MAN)らを置き去りにし、ラッコが24秒もの大量マージンを稼ぎ出し、開幕に続く今季2勝目を獲得した。


 一方、2位に入ったヤニエックは午前の予選からスピードを維持したものの、決勝はトラックリミット違反のペナルティで7位降格となり、5番グリッドスタートながら9周目にアルバセテ、最終ラップ目前で前人未到6度のタイトルを誇る“帝王”ハーンを仕留めたキスが2位に入っている。

併催のWTCR王者ノルベルト・ミケリスと健闘を誓い合った同郷ノルベルト・キスが、週末3勝と結果を残してみせた
WTCRでは土曜予選日の雨でFK8ホンダ・シビック・タイプR勢が活躍したが、予選からレース1とレース2を開催するETRCは波乱の展開に
黄旗スタートのR1では、ポールシッターの優位性を活かした2017年王者のアダム・ラッコ(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)が先勝


■荒れ模様のレース2はキスが制す。続くレース3、4も完勝


 続いてトップ8リバースグリッドで争われたレース2は、前戦を8位でフィニッシュしたシリーズ紅一点の実力者シュティフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック・レーシング/イヴェコ)が先頭でスタートを切るも、7番手降格で再びフロントロウの好機を得ていたヤニエックが、グリッドへの試走でまさかのスピンを喫し牽引される事態に。


 この混乱で再び黄旗のもと遅れてスタートしたレースはアクシデント満載の荒れた展開となり、7周目には後方集団のクラッシュにより赤旗中断に。1時間半後に再度イエローのもと再開されたレースは、この時点で7番手発進から首位ハルムの背後にまで迫っていたキスが、彼女からリードを引き継ぐことに成功する。


 ここからレースペースに苦しんだハルムは、テオ・カルヴェ(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)やレース1勝者ラッコのフレイトライナー勢にもかわされると、残り2周でアルバセテにも捕まり、トラックに異変を感じた彼女は“帝王”と同じ新型イヴェコS-WAYレーシング・トラックスをコースサイドに停めることに。


 そのまま地元のヒーローであるキスが16秒差でトップチェッカーを飾り、2位には僚友をかわしたラッコ、カルヴェと続き、2台のフレイトライナーが表彰台を占拠する結果となった。


「本拠地で勝つのは素晴らしい気分だ。昨年までのメルセデスからスイッチした移籍初戦でもポールポジションを獲得でき開幕勝利も飾れたけど、予選ポジションが悪くこの大変なコンディションでも勝利を得られたことで、僕らの実力が本物であることを示せたと思う。明日はより自分たちに適したドライコンディションで戦えることを願うよ」と、土曜レース後に喜びを語ったキス。


 すると、希望どおりドライに転じた日曜早朝の予選から有言実行を果たしたキスは、ラッコ、ハーン、アルバセテを抑えてスーパーポールを獲得すると、そのままレース3を完勝。


 続く最終ヒートのレース4でもリバースの8番グリッドからオープニングラップで前方のライバルたちをまとめて仕留めて3番手に浮上すると、ハルム、ヤニエックも軽やかにオーバーテイクし、地元戦で見事なハットトリックを飾った。


 この週末3勝でランキング首位に躍り出たキスに対し、6点差の2位ラッコ、20点差の3位ハーンが追う展開となった2020年のFIA欧州格式選手権のETRC。最終戦は11月14〜15日にイタリアのミサノを舞台に開催される予定だ。

レース2でリバースポールを得たシュティフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック・レーシング/イヴェコ)だったが、後方のアンソニー・ヤニエック(ライオン・トラック・レーシング/MAN)ともども好機を逃す結果に
レース4では、ノルベルト・キスが自らのスピードでみるみるポジションを上げ、問答無用の勝利で地元ファンを沸かせた
「最終ヒートはどれだけアグレッシブに行っていいかチームに確認したら『全開で行け』と言ってくれたんだ」と、喜びを語った勝者ノルベルト・キス

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