【オートスポーツweb編集部クルマ時評】1年待ちでもどうしても欲しいジムニー。30km/h試乗で気になってしまったこと

2019年10月24日(木)20時28分 AUTOSPORT web

 欲しい。でも今は買えない。そんなモヤモヤを抱えながら、ひとまずディーラーで試乗させていただきました。スズキのジムニーです。営業マン氏に聞くとやはりまだ納車は1年待ちとか。ここまで唯一無二指名買いの車種もなかなかないですよね。


 マニュアル車が希望なものの試乗車はATでした。ディーラー目の前の国道に出たいところですが、営業マン氏の指示するコースは裏路地。太めのステアリングを右に切ると……、ん!? ステアリングボックスがボール&ナットのはずなのに、舵角ゼロから切り込む瞬間がすごく詰まっていて遊びがない感じです。


 発進加速もブレーキも違和感なく扱うことができましたがステアフィールの違和感はその後も残りました。路地をグルグル回って10分で試乗を終了。ディーラーで試乗するのは初めての経験だったので、乗った後は営業トークをたっぷり聞かされるものと思っていたら、カタログだけくれてあっさり見送ってくれました。対象車種がジムニー一本で、なおかつおっさん単独での来店だったからでしょうか?


 帰宅してからカタログをしげしげと眺めていて、試乗での違和感の原因と思われるものを発見してしまいました。ステアリングダンパーが標準装着されていたのです。大きな岩がゴロゴロしているようなオフロード走行でステアリングボックスを保護するための装備です。


 本格オフロード走行したいマニア層にとっては大変ありがたい装備に違いありません。しかし、ダンパーでステアリングを抑えつけていると遊びがなくステアリング切り始めが詰まった感じになります。ステアリングの遊びゼロのレーシングカーみたいでスポーティと受け取る人もいるから、この装備があると想像されますが、遊びを頼りにステアリング操作ができないので高速道路でまっすぐ走るときなどにはかなり気をつかうはずです。


 そもそもコスト優先でラック&ピニオン全盛のこの時代に、トラックと同じボール&ナットのステアリングギヤボックスを採用しているのが、ジムニーの大きな美点のひとつであるにも関わらず、そこをこのステアリングダンパーの装着でスポイルしてしまっているのは、もったいないとしか言いようがありません。


 ボール&ナットはその構造上、路面からの入力はキャンセルされるので、ステアリングに遊びを設けても直進時にフラつきにくいのが特徴となっています。


 それでも購入の妄想は断ち切りがたく、ジムニーを購入してから自分でステアリングダンパーを外してしまえばいいのではないか(不要装備が車両代に入っているのは目をつぶり)とも考えて、カタログに掲載されている小さい説明イラストを改めて見ると、どうやらこのダンパーはステアリングラックの上に装着されているようです。


 おそらくステアリングラック全体を一度降ろさないと作業ができそうもありません。こうなると大仕事ですし、脱着後にはアライメント調整も必須になります。自分で作業するのは難しく、工場に持ち込んだらかなりの工賃が掛かってしまうのは覚悟する必要があります。あとはパワステが電動なので、ステアリングダンパーを外した悪影響がここにないのかも気になるところです。


 昔、2輪レーサーの装備やアフターパーツとしてステアリングダンパーはありましたけど、調整式で不要な時はステアリングをフリーにすることもできました。大きな岩を乗り越えながら進むような本格オフロード走行をする層がジムニー購入者のなかにどれくらい存在するか分かりませんが、多くのユーザーはせいぜいキャンプ場への林道走行くらいしかしないはず(これはオフロードじゃなくラフロード?)。


 より気持ちよく走れるようにマイナーチェンジの際には、この装備を見直していただきたいと思いました。ジムニーの美点、ステアリングの構造とフィーリングについて、もっと詳しく知りたい方は下記の本を読んでみてください。


営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由2
〜逆説自動車進化論〜
國政久郎 (著)
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=9456


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