勝田貴元、序盤の遅れで7位も“良い流れ”を得て日本へ「実りある週末になった」/WRCスペイン

2022年10月24日(月)20時31分 AUTOSPORT web

 10月21日から23日にかけて、スペイン北東部のサロウを中心にWRC世界ラリー選手権第12戦『ラリー・スペイン』が行われた。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから2022年シーズンのWRCにフル参戦している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、ラリージャパン直前の同イベントを総合7位で走破した。


 このラリー・スペインと、シーズン最終戦の日本ラウンドはともにターマック(舗装路)ラリーである。両イベントでステージのキャラクターは異なるが、勝田にとっては来月の母国ラリーに向けて、舗装路でのクルマの動きを確認できる一戦でもあった。


 かつてはミックスサーフェスラリーだったWRCスペインは、昨年からピュア・ターマックイベントにシフト。2022年もこれが継続され、地中海に面したリゾート地サロウを中心に全19SS、合計293.77kmで争われた。


 勝田はラリー・スペインに過去4回出場しているため、比較的多くの経験を持った状態で今戦に臨んだ。しかし、競技初日の21日(金)は2本の新ステージが設定されていたことに加え、断続的な降雨により路面のグリップレベルが大きく変化した。これらの要因により勝田は自信を完全には持つことができず、やや苦しいスタートとなってしまう。


 それでも、勝田は午後のステージでペースを改善し、SS6でステージ4番手タイムを記録。SS7ではタイヤにダメージを負って30秒以上タイムを失ったが、続くSS8では5番手タイムを記録するなど確実に調子を上げていった。


 総合8番手で迎えた土曜日のデイ2でもステージ4番手タイムをマークするなど健闘をみせ、23日(日)の最終日には順位をひとつ挙げて7位でフィニッシュ。最終パワーステージでは5番手タイムを記録し、ボーナスの1ポイントも追加獲得している。


「ラリーの序盤はかなり苦労しましたが、最終的にはクルマやペースノートなど、全てのフィーリングが良くなりました」と語るのは、母国イベントに向けて、良い流れを得てラリー・スペインを締めくくった勝田。


「週末にかけてどんどんと改善が進み、フィニッシュを迎えた時には自信がつき、クルマに乗りやすさを感じられるようになりましたが、それは次戦のラリージャパンに向けて、このラリー期間中に絶対に得ておきたかったものです」


「今回の目的は自信をつけることでしたが、ターマックでのドライビングに関してもいいフィーリングを得ることができましたし、クルマも非常によく走ってくれました。何度かプッシュしすぎてミスをする場面もありましたが、それも良い経験になり、今後に向けて学ぶことができました。もちろん、結果は望んでいたようなものではなかったですが、それでもこの週末はとても実りあるものでした」

総合7位でフィニッシュした勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第12戦ラリー・スペイン


■ハンニネンも「全体的にいいラリーだった」と評価


 勝田にとってもうひとつの喜びは、トヨタチームがこのラリー・スペインでマニュファクチャラー選手権チャンピオンを決め、2年連続でドライバー/コドライバー/マニュファクチャラーズタイトル獲得の“トリプルクラウン”を達成したことだ。


「チームがマニュファクチャラーズタイトルを獲得できたのもうれしかったです」と勝田。


「3つのタイトルをすべて獲得したのは素晴らしいことですし、スタッフ全員がシーズンを通して本当にいい仕事をしたと思います」


 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムのインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、後半に調子を上げてきた勝田が「ラリージャパンに向けていい流れに乗った」と感じている。


「貴元は今週末よく頑張った。土曜日のパンクによって多くのタイムを失ったが、今回のラリーでもっとも重要だったのは、彼がターマックでクルマに自信を持つことだったんだ」と語ったハンニネン。


「金曜日の午前中は路面が湿った状態で、グリップレベルも変化し、貴元にとってはかなり難しいコンディションだった。しかし、その後は走りが改善しクルマのフィーリングも良くなっていた。そこからのステージタイムは他の選手たちと比べてもかなり良く、しかも安定していた。だから、全体的にはいいラリーだったし、ラリージャパンに向けてもいい流れに乗ったと思う」


 そのラリージャパンは11月10日(木)から13日(日)にかけて、愛知県と岐阜県で開催される。ラリーの中心となるのは愛知県の豊田スタジアムだ。4日間で19本のSSが行われるステージは今戦と同じくターマックだが、日本のコースは全体的に道幅が狭くツイスティなコーナーが多いため、非常に精度の高いドライビングが求められる。

勝田貴元が挑む次戦はWRC日本ラウンド、11月10〜13日に開催されるラリージャパンだ

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