U-19日本、「飢え」を刺激する影山雅永監督の流儀。全員で世界への切符を勝ち取るために

10月24日(水)13時26分 フットボールチャンネル

個性を組み合わせて色を生み出す

 U-19日本代表は、インドネシアでAFC U-19選手権に臨んでいる。来年のU-20ワールドカップ出場権をかけた戦いの中で、チームをどのように成長させていくか。一体感を重視する影山雅永監督は、控えに回る選手たちにも細かく目を配りながら世界と戦える組織作りを進めている。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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 U-19日本代表は、来年のU-20ワールドカップ出場権獲得に向けてアジア予選に挑んでいる。

 インドネシアでのAFC U-19選手権はグループリーグ2試合が終わり、日本は決勝トーナメント進出をすでに確定させた。グループ首位も決まっており、25日のイラク戦はこれまでに出場機会の少なかった選手を起用できる大きなチャンスだ。

 影山雅永監督は、19日の北朝鮮戦から22日のタイ戦に向けてスタメンを5人変更。交代枠も積極的に使い、すでに23人中18人がピッチに立った。フィールドプレーヤーで全く出番がないのは、DF小林友希、DF荻原拓也、MF滝裕太の3人のみとなっている。

 彼らもイラク戦ではチャンスを与えられるはず。指揮官は「突出した10人がいて、それ以外と差があるという集団じゃないんです。それぞれに個性を持っていて、いろいろな組み合わせによって違う色が生み出されるというか、そういう集団だと思っている」と述べており、全員が欠かせない戦力として評価されている。

 だからこそ、ピッチに立てば気持ち良くプレーしてほしいというのが影山監督の切なる願い。タイ戦の後半から今大会で初めて起用したMF山田康太にも、「本当にピッチに立ちたかっただろう。自分らしくやってこい」とあえて戦術面の細かな指示を与えず、得意なプレーを存分に発揮できるよう送り出した。

 タイ戦の後、影山監督は「今日出なかった選手はすごくうずうずしている」とも語っていた。そういった北朝鮮戦にスタメン出場しながらタイ戦ではずれた選手、あるいはまだ出番のない選手たちへの気配りは、翌日の練習で見ることができた。

監督自らクロスを蹴った狙いとは

 前夜の試合に先発したメンバーと、後半の頭から途中出場した山田を除く11人で行われた練習の中盤、シンプルなクロスに合わせるシュート練習が取り入れられた。そこでは影山監督が自らボール出しを担い、右サイドから矢継ぎ早にクロスを蹴っていく。

 ゴールを決めた選手にも、シュートを外した選手にも積極的に声をかけて、汗だくになりながら雰囲気を盛り上げていく指揮官。「やっぱりシュートを決めるところ。選手にとっては、DFであろうとも決めた後の爽快感も大事」と、モチベーションを掻き立てる狙いがあった。

 選手たちも影山監督の狙い通り、だんだんテンションが上がったか、DF菅原由勢などはFW顔負けの勢いでボールに突っ込んでいき、時に久保建英が冗談を言って笑いを誘う場面もあった。未だ出場機会のない荻原も、シュート1本1本に魂を込めているようで、「俺を出せ」というギラギラしたものを感じさせた。

 2連勝したことで、誰に話を聞いても「チームの雰囲気はすごくいいですよ」と明るい表情が見られる。もちろんイラク戦で勝利していい流れを継続することも重要だが、U-20ワールドカップ出場権がかかる準々決勝に集中できる状況になったことも、ポジティブな雰囲気を後押ししている。

「準々決勝が大事だとは言いながら、ピッチの上にスタートから立てるのは11人だけですからね。だけど、それ以外の12人が関係ないかというと、ものすごく関係があって、サブとしての役割もそうだし、このチームとして23人とスタッフ全員で世界の切符を勝ち取ろうぜという、一体感が大事になってくる」

 そう指揮官が語るように、上向きの状態を維持したままチーム全員が一体となることが、世界への挑戦権をかけた戦いで勝敗を左右する要素になる可能性は十分にある。

決勝T進出は決定済み。イラク戦の使い方は?

 それゆえにイラク戦はできるだけ多くの選手を起用し、決勝トーナメントに向けて競争意識と一体感を高めるための重要な機会。影山監督も無駄にするつもりは一切ないと強調する。

「飢えている人間もいます。ただ、選手にも言ったんですけど、勝ってグループ首位突破が決まったとはいえ、我々はまだまだ何も成し遂げていないし、パーフェクトなチームでも何でもないと。この大事なもう1試合、グループリーグでできるというのは、我々にとって本当にいいこと。なぜかというと、我々を成長させてくれるから。

まだまだ様々な課題はありますよ。(タイ戦では)あれだけの決定機を作って、でも後半突き放すことができなかった。攻めたら今度は相手の『いったれ!』的なカウンターを何発か受けてしまう。まだまだ未熟な部分がたくさんありますので、将来に向かって、さらに高いステージに向かって、レベルアップに精進したいなと思っています。(イラク戦は)そのために使いたいなと思っています」

 出場機会や結果に飢えた選手たちがイラク戦で躍動すれば、チーム内の競争は一層激しさを増し、自信となっていく。影山流マネジメントは必ずや、U-20ワールドカップ出場権をかけた一戦、そしてその後のアジアの頂点を目指す戦いに向けて極上の一体感を生み出せるはずだ。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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