V8エンジン搭載の1000馬力超えGRスープラ生んだ、高いボディ剛性とTOYO TIRESのグリップ力
2019年10月25日(金)16時45分 AUTOSPORT web
10月24日、第46回東京モーターショー2019の東京モーターショー2019の東京オートサロンブースで行われたFIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ(FIA IDC)の開催発表記者会見。このなかで川畑真人がV8エンジン搭載GRスープラで参戦することが発表されたが、このモンスターマシン誕生の背景にはGRスープラの高い剛性と足元を支えるタイヤの性能があった。
FIA IDC初代王者の川畑は、2019年からGRスープラをベースとした『TEAM TOYO TIRES DRIFT GR SUPRA』でD1グランプリを戦ってきた。搭載するエンジンは800馬力の2JZエンジンだ。
しかし、川畑は「GRスープラはボディが頑丈でタイヤのグリップがガッチリと路面を掴んでしまうので、これまでの2JZエンジン(800馬力)ではタイヤのコントロールをする上で役不足を感じました」と語る。
GRスープラの高いボディ剛性は「国産車だと平板を溶接していることが多い箇所も、GRスープラは波鋼板を使っているんです。これだと構造的にたわみにくくなってきます」という作り込みの高さに起因。
この頑丈なボディにTOYO TIRESの『PROXES R888』が組み合わさることで、大ベテランの川畑ですら苦労するハイグリップマシンが誕生したのだ。
そこでD1グランプリ最終戦を前にエンジンの載せ替えを決断。レクサスSC430などに搭載されていた4.3リッターのV8、トヨタ3UZエンジンを導入することとなった。川畑によれば「この3UZエンジンは1000馬力でセッティングしています」というハイパワーエンジンだ。
「ボディとタイヤの相性が良すぎて2JZエンジンでは役不足になってしまうんです。このタイヤの性能をドリフトでしっかりと発揮するには1000馬力が必要なんです」
しかし、直列6気筒エンジンが収まっていた場所に、より巨大なV8エンジンを組み込むのは至難の業。ただ載せ替えるだけではステアリングシャフトすら通らない状況だったという。
そのためエンジンやインタークーラーなど、大柄なパーツの搭載位置から決めていった結果、ツインターボではなくビッグタービンのシングルターボ仕様に。さらにターボユニット取り付け位置の影響から上方排気が採用されることになった。
このV8エンジンGRスープラは11月2〜3日にオートポリスで行われるD1グランプリ最終戦で実戦デビュー。その後11月29〜12月1日のFIA IDC筑波大会へ持ち込まれる。
■FIA IDC 2019は筑波サーキットで開催
そのFIA IDCは日本発祥のモータースポーツであるドリフトをFIA世界自動車連盟の公式認定のもとで国際大会として開催されるもの。過去2回とは異なり、シリーズ初開催の筑波戦となり、非常に高い速度で繰り広げられるであろうサーキットドリフトが期待できる。
FIA IDCのオーガナイザーである株式会社サンプロスの代表取締役社長、齋田功氏は「日本発祥のモータースポーツであるドリフトは、D1グランプリ発足から20年ほどで少なくとも世界40カ国以上で親しまれるほどの広がりを見せています。それらをFIAから発せられるルールをもとに世界一を決めようとするのがFIA IDCです」と語っている。