WTCR鈴鹿:Audi Team Hitotuyamaの富田&宮田、ファンを沸かす活躍も悔しい結果に

2019年10月27日(日)0時41分 AUTOSPORT web

 WTCR世界ツーリングカーカップ第8ラウンド『JVCケンウッド・レース・オブ・ジャパン』は10月26日、決勝レース1が行われた。今回、ワイルドカード枠を使って参戦しているAudi Team Hitotuyamaの富田竜一郎と宮田莉朋は、どちらもWTCRのレギュラーたちと互角のバトルを展開し、日本のファンを沸かせた。


■WTCRのトップドライバーたちと渡り合った宮田


 10月25日の予選1回目では、初めてのTCRでのウエットながら好走をみせ、予選7番手につけることに成功した宮田。WTCRのパドック内でも、「アイツは誰なんだ?」といきなり脚光を浴びる存在となっていた。


 さらに、レース1の決勝日にあたる10月26日の朝には、予選中をはじめとしたさまざまなペナルティが数多く出され、グリッドは大きく変動。宮田はレース1のグリッドに向かうべくヘルメットを被った後に「今日は5番手からだから。狙えるよ」と知らされたという。


 当然、ワイルドカード参戦ながらここでパフォーマンスをみせれば、将来にも繋がる。ただ、WTCRはスタンディングスタート。F3では多くこなしているとはいえ、いきなりの参戦でスタート練習も一度程度しかしていなかった。電子制御もすべてオフにしスタートに臨んだが、順位を落としてしまった。ただ、「自分のなかで好きにやろうと思った結果」と宮田は自分のベストを尽くしたという。


 ポジションは落としたものの、周囲を走るのはWTCRのレギュラーである猛者たち。しかし宮田は一歩も引かないどころか、「なるべくポジションを守りたかった」とタイヤマネージメントを行いながら、上位を狙う走りを続けた。WTCRは接触も多いが、それでも宮田は多少のヒットはありながらも、コース上で踏ん張りをみせる。


「これで弾き飛ばされたらナメられていると思いますし、自分も逆に耐えて、ポジションを上げることもできたので、『アイツはちょっと違うな』というところはみせられたのではないでしょうか」と宮田は振り返った。


 その意地がつながり、宮田は上位の脱落もあって7番手までポジションを戻す。しかも前を行くのは、ティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)を先頭とした3番手争いだ。「スタートの順位まで戻れるかもしれなかったですし、シングルフィニッシュはできると思っていた」と、2018年王者のガブリエレ・タルキーニ(ヒュンダイi30N TCR)を従え、堂々のレースを展開した。


 しかし14周目、突如S字で宮田はスローダウンしてしまう。パドルシフトのアクチュエーターが壊れ、シフトアップもダウンもできなくなってしまったのだ。「ひさびさに無線で怒ってしまいました(苦笑)。せっかくいい順位でスタートできましたし、もしかしたら“狙える”位置でしたから……。ワイルドカード参戦とはいえ悔しかったです」と宮田は無念のピットインとなってしまった。「申し訳ないことをしてしまいました。マイレージもまだあったパーツなので、“泣きどころ”だったかもしれません」と一ツ山亮次代表も悔しがった。


 とはいえ、宮田の大活躍はWTCRの多くの関係者の目に止まり、アウディスポーツのスタッフもレース後宮田に声をかけた。また、SNSを通じて世界中から宮田に注目の声が届いたという。明日のレース2は22番手スタートとなってしまうが、それでも追い上げを期待したいところだ。


「どこまで追い上げられるか予測はできませんが、今の燃えている気持ちを明日までもっていきたいと思います。チームもプッシュしていいと言ってくれていますし、自分も魅せなければいけないと思っています」と宮田は日曜日への意気込みを語った。


■接触で押し出されるも手ごたえを感じた富田


 一方、14番手グリッドからスタートした富田も「莉朋選手と違う方法を試して、ふたりともいまひとつでした(苦笑)」とスタートでやや順位を落としてしまう。また、「1周目の1コーナーは“日本っぽく”走ってしまい、スペースを空けてしまいました」とそこでもポジションを下げてしまった。


 ただ、その後のペースは良く、こちらも並み居る強豪ドライバーたちと互角のバトルを展開していく。富田も順位を少しずつ戻していき、堂々たるレースを戦っていった。


「バトルで気圧される感じはなかったです。鈴鹿10時間のときのように、自分がやってきたことが通用する手ごたえはありましたね」と富田。


 しかし、そんな追い上げのなかオーレリアン・パニス(クプラTCR)とのバトルとなった富田だが、パニスと接触し2コーナーでコースオフ。最後は20位でチェッカーを受けることになった。


「僕が一度パニスを抜いているのですが、そのときにスペースを残してあげて、S字も並んで走っていた。でもあっちは僕がアウトにいるのに加速してきた」と富田。


「ただ幸い、僕の感触としてはかなり当たった感じがあったのですが、ダメージはなかったんです。アウディの丈夫さを感じましたね」


 幸運にも大きなダメージを受けずにレース2/3に挑む富田は「セットアップを他のアウディ勢とシェアしているのですが、TCRジャパンシリーズで篠原拓朗選手が乗っていたセットからは変えているんです。ただやっぱり、自分のフィーリングとしては篠原選手のセットの方がいい気がしているので、それをレース2で試し、レース3でアジャストしてみようと思っています」と日曜のレースに向けて語った。


 最終的なリザルトには残らなかったものの、レース1からの富田、宮田の活躍にチームの士気も高い。「ふたりともシングルが狙えるポジションにつけてくれていますし、今日もいいところを走ってくれました。チーム全員がレースウイークを楽しんでいます」と一ツ山代表。


 レース2/3は2台とも後方からのスタートだが、ふたたびファンを沸かせるレースを期待したいところだ。

富田竜一郎(アウディRS3 LMS)


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