6万人超を「黙らせる」。爆発するU-19日本の攻撃力、完全アウェイで勝ち取る世界への挑戦権

10月28日(日)12時57分 フットボールチャンネル

真っ赤な完全アウェイのスタジアムで

 U-19日本代表は28日、AFC U-19選手権の準々決勝でインドネシアと対戦する。相手は開催国で、スタジアムは6万人を超える大観衆で埋め尽くされると予想されている。そんな中で若きサムライたちは本来の力を発揮できるだろうか。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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 いよいよ決戦の日がやってきた。2大会連続となるU-20ワールドカップ出場をかけ、U-19日本代表がAFC U-19選手権の準々決勝に挑む。

 相手はインドネシア。開催国でもあり、会場となるゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムは6万5000人の大観衆で埋め尽くされるとみられている。日本にとっては「完全アウェイ」と言える状況だ。

 今年3月、U-19日本代表は同じスタジアムで、今回の相手と同じU-19インドネシア代表と親善試合を行い4-1で勝利を収めていた。まさに今大会のシミュレーションのために組まれた機会だっただけに、影山雅永監督は世界をかけた舞台での再会を運命的なものを捉えている。

「これは面白いものでね。3月の試合でインドネシアとやるときに、『僕らはシミュレーションとして開催地のインドネシアに来ている。このインドネシアとのトレーニングマッチは、雨の中でやることも含めて、準々決勝の本当のシミュレーションになるかもしれない。これは準々決勝だ。(U-20ワールドカップ)出場権をかけた試合としてやるからね』という話を選手たちにしていた。それがまさか、出場権をかけて、インドネシアとやることになろうとは…あのときから決まっていたのかも知れないですね」

 もちろん大観衆の声援に背中を押されてプレーするインドネシアに対し、前回と同じ戦いはできないだろう。それでも「非常にスピードがあって、個々のテクニックが高い。さらにこの大会を戦う中で、諦めない、最後まで戦うといった力を身につけてきている」と特徴を把握できているのは大きい。

 今大会のU-19日本代表には、3月のインドネシア戦に出場していたメンバーも多くおり、相手選手とのマッチアップを体感している経験もプラスに働くだろう。あるインドネシアメディアの記者は、前回対戦時に完敗を喫したこともあって「日本は恐ろしい…インドネシアにとって圧倒的なホームでも勝つのが困難なのは間違いない」と話していた。

 グループリーグでは、カタールに1-6という大量リードを奪われた状況から4点を奪って5-6まで追い詰め、UAE戦は1人少ない状態で1-0の勝利をもぎ取った。そうやって自信をつけてきていても、インドネシアの選手たちが半年前の対戦で日本に対し抱いたマイナスの感情を完全に払拭することはできないだろう。

恐れられる圧倒的な攻撃力

 もっとも、今大会で日本が恐れられる理由は十分にある。グループリーグ3試合での13得点3失点は他を圧倒する数字だ。例えば同じように各グループを首位で突破したチームを見てみると、カタールは11得点を挙げたものの7失点しているし、韓国は7得点、サウジアラビアは6得点となっている。日本の攻撃の迫力は、対戦するどのチームにとっても脅威に違いない。

 そして13得点が特定の選手に依存したものではないというのも重要なポイントだろう。日本のスコアラーは8人いる。得点パターンも相手の守備を完全に崩してのものから、強烈なミドルシュートや直接フリーキックまで多岐にわたる。前線の選手たちはどんな組み合わせでも、出場時間が短くても、しっかりとゴールを決められている。誰が出てきても得点を奪えるのは大きな強みだ。

 インドネシア戦でもアタッカー陣の爆発が鍵になるだろう。これまで2トップだけでも様々な組み合わせが試されてきたが、その都度しっかりと結果が出ているだけに、世界への切符を掴み取るには大観衆の中でも「いつも通り」の力を発揮できれば理想的だ。

 グループリーグ初戦の北朝鮮戦は久保建英と田川亨介の2トップでスタートし、後半途中からは久保と宮代大聖のコンビになった。5-2で勝利したこの一戦では、久保が直接フリーキックを決め、宮代も冷静なフィニッシュで初得点と結果を残している。

 第2戦のタイ戦は宮代が先発に抜てきされ、前の試合で左サイドMFに入っていた斉藤光毅が2トップの一角に。前者は2ゴール、後者は2試合連続となるゴールを挙げた。終盤には長身の原大智と宮代がコンビを組む時間もあった。

 5-0で圧勝した第3戦のイラク戦では、先発に原と田川のツインタワーが並び、終盤に斉藤が投入されると原とのデコボココンビに。田川には今大会初ゴールが生まれ、初先発の原も2得点、そして斉藤はチーム内唯一の3試合連続ゴールを達成した。

 システムが4-4-2から3バックにシフトして3-4-2-1的になる場面もあったが、2トップの組み合わせは3試合で6つ試され、それぞれの時間帯でしっかりと結果も出ている。「どこからでも点が取れる」強みと自信は、インドネシア戦でも重要な意味を持つだろう。

ギラつくFWたち。今こそ真の力を

 昨年すでにU-20ワールドカップを経験している田川は、「お互いがよく見れているし、チームのために独りよがりにならずプレーできている」と初ゴールを決めたイラク戦の後に攻撃陣の連係に手応えを感じているようだった。

「昨年は本当に(上の世代に)ついていくというのがあったので、責任感も全然なかった。今回はそういう責任感を感じているし、それをポジティブに、いい方向に持っていければいい」と大会初戦を前にして語り、どこか気負いすぎて固くなっていた印象のあったエースストライカーは、メンタル的にもリフレッシュして大一番に臨む。

 宮代はゴールへの探求をやめない。大観衆を「黙らせるくらいの気持ちで」と燃えたぎる闘志を口にし、「U-17ワールドカップではイングランドに負けて衝撃を受けましたし、すごく悔しい思いをしている。その時にまたこの舞台(U-20ワールドカップ)に立ちたいという思いが強かったので、そこを取れるチャンスがここにある。(世界には)行ったら絶対に得るものが多くある。それは行かないとわからない」と、世界の舞台への欲を前面に押し出していた。

 ゴール以外にも随所に輝きを放っている久保も、「明日はもう本当に結果だけが求められると思うのでどんな内容であったとしてもしっかり勝ち残る」と力強い決意を語った。インドネシア戦は誰が先発を任されるかわからない。イラク戦で2ゴールの原も黙っていないだろうし、3試合連続ゴールで絶好調で「年齢は関係ない」と豪語する17歳の斉藤もいる。

 影山監督は「満員のスタジアムでチームの力を爆発させられるようにしたい」と意気込んでいた。まさに勝利のために必要なのはアタッカー陣の“爆発”。これまでと変わらぬ勢いでゴールネットを揺らし続け、6万人超えの大観衆を静まりかえらせる…その快感をピッチ上で味わうことができれば最高の結果もついてくる。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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