日本代表に求むは“らしく”戦う姿勢…6万人の大観衆に臆せずW杯出場権を/AFC U-19選手権

2018年10月28日(日)7時47分 サッカーキング

イラク戦後、主将の齊藤未月を中心にサポーターへ挨拶するU-19日本代表 [写真]=佐藤博之

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 珍しいくらいにユニークで面白い記者会見だった。10月27日、翌日に控えるアジアU−19選手権の準々決勝に向けて、日本の影山雅永監督とインドネシアのシャフリ監督が隣り合う形で登壇し、決戦への意気込みを語った。

 こうしたやり方だと、形式的な言葉しか出てこずに何となく予定調和で終わりがちなものではある。実際、今大会開幕前の記者会見は完全に形式的なやり取りに終始し、まったく盛り上がらなかった。だが、この日は影山監督が得意の実践的な英語を駆使し、詰め掛けたインドネシアの記者たちの質問に誠実かつ洒脱に対応。大いに会見場は盛り上がることとなった。

 インドネシアと3月に対戦したときとの変化を問われて真面目に回答したあとに「ああ、そう言えば、もう一つの違いがあります。監督ですね。あの時はいませんでしたよね」と隣に話を振って笑いを誘ったが、これは伏線になった。次に「インドネシアのメッシ」についての質問が飛ぶと、「あなた、3月にも同じ質問をしましたよね?」と爆笑を誘う。すると、隣のシャマリ監督も「私も覚えていますよ。確かに彼は同じ質問をしていました。しかも毎日同じ質問をするんです」と一言。監督は当時いなかったわけなので、これはもちろんジョーク。再び会場は大爆笑だった。

 今大会のスタッフには、これが日本サッカーの未来へ影響を及ぼしかねない戦いであるという自覚は当然持っている。当然ながらプレッシャーがないと言えば、ウソになるだろう。ただ、だからこそ影山監督も秋葉コーチも、変に緊張した素振りはまったく見せず、笑顔をベースにした振る舞いを続けている。この記者会見もそうだった。余裕のある日本の指揮官を観て、プレッシャーを感じたのはインドネシアサイドだったのではないだろうかとさえ思う。

 U−19日本代表は「明るくて元気がいい」と関わったスタッフが口をそろえる雰囲気を一つのストロングポイントにしてきたし、ある意味でこのチームのスタンダードになった。決戦前日の練習を迎えても、監督を囲んでいきなりの笑い声からスタートしていて、このU−19日本代表チーム“らしさ”が健在なようで、少々安心もさせられた。

「厳しい試合になると思い過ぎても良くない。引き締めるのはいいけれど、リラックスしながら集中できるのがいい」と言っていたのは久保建英だが、何となくではあるのだが、自然にそうした空気はできあがっているように見える。もちろん、開催国相手に6万人の観衆を向こうに回して戦う試合が楽になるはずもないが、変に構えてもしまうのもよくないのはそのとおりである。

 インドネシアの試合も観させてもらった。影山監督が「自信を付けて追い風を得ている」と評したように、非常に勢いのあるチームだし、個々の技術もスピリットもある紛れもない好チームである。ここまで残ったのもマグレでは決してない。ただ、総合力で日本を上回るものがあるとまでは思わない。U−19日本代表 “らしさ”、いつもどおり戦う姿勢を貫くことさえできれば、自ずと結果は付いてくる。もちろん慢心は禁物ながら、そういう自信を持って臨むべきだろう。

 10月28日、来年のU−20ワールドカップ出場を懸けた大一番となるAFC U−19選手権準々決勝。地元インドネシアの6万人の大観衆を向こうに回しての決戦は、日本サッカーの未来を担う選手たちにとって、きっと確かな財産となるに違いない。

取材・文=川端暁彦

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