トヨタ 2018スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿 レースレポート

2018年10月29日(月)11時30分 AUTOSPORT web

2018年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦鈴鹿


ニック・キャシディの猛追惜しくも及ばず、初タイトルならず
キャシディと山下健太が2、3位表彰台フィニッシュ
KONDO RACINGは初めてのチームチャンピオンを獲得


 SF14での最後のレースとなった2018年スーパーフォーミュラ最終戦、勝ったドライバーがチャンピオンというレースで、4番手スタートのニック・キャシディが終盤猛烈な追い上げを見せましたが、惜しくもコンマ6秒届かず2位フィニッシュ。ドライバーズチャンピオン獲得はなりませんでした。しかし、キャシディが2位、山下健太が3位で表彰台に上り、KONDO RACINGは初のチームタイトルを勝ち取りました。
 
 スーパーフォーミュラの2018年シーズン最終戦となる第7戦『第17回JAF鈴鹿グランプリ』が10月27日(土)、28日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われました。
 
 全7戦で戦われるスーパーフォーミュラも最終戦を迎えました。5年間にわたり、数々の名レースを繰り広げてきたSF14での最後のシーズン、注目のタイトル争いは、参戦2年目ながら第4戦で初優勝を挙げ、決勝が実施された5戦すべてでポイント獲得、3度の表彰台と安定した速さを見せているニック・キャシディ(KONDO RACING)がランキング首位で最終戦を迎えることに。


 今大会は優勝者に3点のボーナスポイントが与えられるため、ポールポジションポイントを含め、最大14点が獲得可能。このため、首位キャシディとは12ポイント差の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)まで含めた5名がタイトル獲得の可能性を残しており、キャシディとディフェンディングチャンピオンの石浦 宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)を含む僅差のランキング上位3名は、いずれもこのレースに勝てばチャンピオン、というタイトル争いの行方は全く読めない状況での最終戦となりました。


予選


 27日(土)前夜から朝方まで残った雨により、午前中の練習走行はウエットでの走行となりましたが、その後天候は回復。雲の間から太陽が顔を出し、気温は20度を超えて路面は完全にドライコンディションとなった午後12時35分からノックアウト方式の予選が開始されました。
 
 20分間のQ1は、開始から5分少々過ぎたところで、ピットロード上で出火した車両があり赤旗中断。15分ほどの中断の後にセッションが再開されると、ミディアムタイヤでの激しいアタック合戦が繰り広げられました。


 終盤、タイムを上げていった車両により目まぐるしく順位が塗り替えられていくなか、やや早めにアタックを終えていた関口はまさかのノックアウト。17番手でQ1敗退となってしまいました。鈴鹿初走行となったトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)は0.013秒及ばず惜しくも15番手。

山下健太(KONDO RACING)


 Q2(7分間)は僅差の争いとなり、特にQ3進出ラインとなった8位前後は、コンマ1秒の中に3台が入る激戦。国本 雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が0.027秒及ばず9番手。そして、ランキング2位でタイトル候補のひとりである石浦も11番手でQ2敗退となってしまいました。大嶋 和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が12番手、ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)が14番手でグリッド確定。


 Q3(7分間)も残り5分を切ったあたりから各車コースへ。最初に平川がマークしたタイムを、その後アタックした車両が塗り替えていくことに。中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が好アタックで2番手につけると、その直後、早めのコースインから計測2周目でアタックした山下健太(KONDO RACING)がこれを上回り2番手に浮上。山下がトヨタエンジン勢最上位の最前列2番手グリッドに。
 
 中嶋一貴は3番手、ランキングトップのキャシディが4番手。平川は6番手、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が7番手から翌日の決勝レースをスタートすることとなりました。


決勝


 28日(日)は朝から秋晴れの一日となり、2万3千人のモータースポーツファンが集結。午後2時15分、気温21度、路面温度23度というコンディションの下、43周で争われる決勝レースのスタートが切られました。


 スタートでは2番手の山下がやや遅れ、好ダッシュを決めた中嶋が並びかけましたが、山下は何とか2位を守り、中嶋が3位。上位3台がソフトタイヤなのに対し、ミディアムタイヤを選択したキャシディも4位で1周目を戻って来ました。


 キャシディはソフトタイヤを履くライバルに2周目の1コーナーでかわされ5位へとポジションを落としましたが、その後は5位のポジションをキープして周回を重ねていきました。


 6周を終えたところで最も早くディルマンがピットイン。ソフトとミディアムの両方のタイヤを使用しなくてはならない義務づけがあるため、早めのピット作戦のチームが次々にピットに向かいました。

中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)


 ピットインせずに走り続けた上位勢では、10周を過ぎたあたりから、徐々にソフトタイヤとミディアムタイヤのタイム差が縮まっていき、14周目終了時に3位走行中の中嶋がピットイン。


 これで3位に浮上したキャシディは、チームメイトの山下とともに首位の車両を追いました。18周目に2位の山下、19周目には首位の車両がピットインしたためキャシディはトップに浮上。この時点で15秒以上あった見えないライバルとの差を詰める戦いに。
 
 25周を過ぎたあたりから、燃料が軽くなったこともあり自己ベストタイムを更新していったキャシディは、29周を終えたところでピットイン。コースに復帰した時点で、ピットを終えた実質的な首位に7.6秒差の2位へと浮上しました。


 33周目、6番手スタートからキャシディ同様の作戦で追い上げ、ピットを終えた後に山下もかわして3位までポジションを上げていた平川が、ストレート上で突然右後タイヤのバーストに見舞われスピン。大きなクラッシュには至りませんでしたが、追い上げていたレースを惜しくも終えることとなってしまいました。


 ソフトタイヤに履き替えたキャシディは、首位を行くミディアムタイヤのライバルに対し、猛烈なペースでの追い上げを開始。35周目にはコースアウト車両の運んだ土に乗ってしまいややタイムをロスしましたが、終盤はみるみるうちに前との差を詰めていくことに。周回毎にコンマ数秒ずつ差が詰まっていく2台のバトルは、勝った方がシリーズチャンピオン、という争いでもあり、どちらも一瞬も気の抜けないまま続きました。


 ファイナルラップ、2台の差は1秒以内にまで詰まり、ともにオーバーテイクシステムを使い合いながらのテール・トゥ・ノーズでのバトルが繰り広げられましたが、キャシディは惜しくもコンマ6秒届かず、2位でチェッカー。シリーズ参戦2年目でのドライバーズタイトル獲得は叶いませんでしたが、キャシディが2位、山下が3位で表彰台に上ったことで、2人の所属するKONDO RACINGは、チーム設立以来初のチームタイトルを獲得しました。


KONDO RACING 3号車 ドライバー ニック・キャシディ


「残念ながら1ポイント差でタイトル獲得はならなかったのですが、全力を尽くしましたし、今日は素晴らしいファイトができました。僕自身スーパーフォーミュラでは2年目ですが、全日本F3を戦っていた頃から山本(尚貴:TEAM MUGEN)選手のことはよく見ていて、尊敬していた存在だったので、彼とこの素晴らしい戦いができたことに満足しています」


「この週末は、とにかくベストを尽くすことが目標でしたし、チームとともに、予選、決勝を通して全てを出し切りました。このチームとともに戦えたことを誇りに思いますし、チームタイトルを勝ち取れたのは本当に良かったです」


KONDO RACING 4号車 ドライバー 山下健太


「今日の僕の最大の仕事は、スタートで山本選手の前に出ることだったのですが、近づくことすらできないほど彼のスタートが良かったです。その後はペースがあまり良くなく、ついて行くことができず、自分としてはあまり満足のいくレースとは言えません」


「ただ、スーパーフォーミュラで表彰台に上ったのは初めてですし、チームタイトルに貢献できたことは良かったです。喜びと残念なのと半々の複雑な気分です」

結成後初のチームタイトルを獲得したKONDO RACING


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