U-19日本が掴んだ世界への切符。潜在能力は『黄金世代』以上? アジア制覇は至上命題

10月29日(月)12時20分 フットボールチャンネル

完全アウェイで掴んだU-20ワールドカップ出場権

U-19日本代表は28日、AFC U-19選手権の準々決勝でインドネシアと対戦し2-0で勝利を収めた。これにより来年ポーランドで開催されるU-20ワールドカップの出場権を獲得。完全アウェイという環境の中、選手たちは力強く世界への扉をこじ開けた。次に狙うは大会制覇。影山ジャパンはアジアの頂点に立つことができるだろうか。(取材・文:元川悦子【インドネシア】)

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 6万超の大観衆が押し寄せ、完全なアウェームードに包まれた28日のジャカルタのゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム。2か月前に森保一監督率いるU-21日本代表が韓国と2018年アジア大会決勝の死闘を演じたこの地で、影山雅永監督率いるU-19日本代表はU-20ワールドカップ出場権獲得に挑んだ。

 今回の2018年AFC・U-19選手権(インドネシア)に突入してからというもの、日本は1次ラウンドで北朝鮮に5-2、タイに3-1、イラクに5-0と圧倒的な強さを見せてきたが、準々決勝は全く別物だった。地元の大声援を受け、5-2-3の基本布陣で粘り強く守る相手の強固なブロックに苦しみ、日本は思うように得点を奪えない。開始早々15分に藤本寛也(東京V)が負傷退場するアクシデントにも見舞われたが、前半40分に左サイドバック・東俊希(広島ユース)の豪快な30mミドル弾が決まって先制。1-0で前半を折り返した。

 しかしながら、後半開始から大粒の雨が降り始め、瞬く間に凄まじい雷雨に。選手たちは視界不良の中での戦いを強いられた。加えてインドネシアが捨て身の猛攻を仕掛けてきたことで、日本は前半ようにボールが持てなくなり、守勢に回らざるを得なくなる。事故的な失点があってもおかしくない状況だったが、後半26分に久保建英(横浜FM)とのワンツーから宮代大聖(川崎U-18)がダメ押し弾をゲット。これで勝利を引き寄せ、日本は2大会連続の世界切符獲得を現実にした。

「世界を1度経験したら、どうしてももう1回行きたいって欲が出てくる。それを達成できたのは嬉しい」と2017年U-17ワールドカップ(インド)経験者の菅原由勢(名古屋)が言えば、久保も「世界大会に行って感じたのは、やっぱり勝たなきゃいけないということ。絶対に勝つつもりで挑んでいくことが大事」と世界大会再挑戦への意欲をにじませた。

黄金世代をも超えうる

 今回のスタメンの半数が彼ら2人のようにU-17代表から上がってきた選手たちだった。かつて日本サッカー協会の西野朗技術委員長が「2000年世代は79年生まれの黄金世代を超えるかもしれない」と前向きにコメントしたことがあったが、2点目に絡んだ久保と宮代はまさにその有力な該当者。東京五輪世代(97〜2001年生まれ)の下の方がそれだけタレント揃いなら、五輪代表争いはより激化する。今後の日本代表強化を考えても望ましいことだろう。

 今回キャプテンマークを巻く齊藤未月(湘南)が「僕たちがこの大会でもワールドユースでも優勝して、(東京五輪代表の)上の世代じゃなくて、僕たちが中心になってやれればいい」と語気を強めたように、彼らは野心に満ち溢れている。指揮官も「こいつらはムチャクチャ明るい」としばしば口にしているが、その雰囲気も彼らの強みに他ならない。そこは自信にしていい点だ。

 影山ジャパンは世界切符獲得にとどまらず、アジア連覇を一大目標に掲げている。仮にそれが達成されれば、日本サッカー界にとっても大きな偉業となる。

 現U-19日本代表の秋葉忠宏コーチが参戦した95年ワールドユース(カタール)以降、日本は97年マレーシア、99年ナイジェリア、2001年アルゼンチン、2003年UAE、2005年オランダ、2007年カナダと7大会連続で世界に赴き、暗黒の10年を経て2017年韓国大会で国際舞台復帰を果たしたが、アジアを制覇したのは昨年韓国に行った堂安律(フローニンゲン)や冨安健洋(シントトロイデン)らだけ。小野伸二(札幌)を擁し、99年ナイジェリアで準優勝した黄金世代と言えども、アジア予選は韓国に敗れて2位にとどまった。それだけアジアでタイトルを取るのは難しいのだ。

アジア制覇は至上命題

 仮に今回の面々がアジアの頂点に立てば、東京五輪世代は2カテゴリー揃ってアジア王者に輝く。そして、大きな自信とプライドを手にすることになる。その成功体験は今後のキャリアを築くうえで非常に大きな財産になる。名実ともに「史上最強世代」という称号を得るためにも、残された2試合に勝つことは、彼らに託された至上命題と言っていい。

 その先には間違いなくA代表入りが待っているはずだ。過去のU-20ワールドカップ経験者から中田英寿中村俊輔(磐田)、小野、本田圭佑(メルボルン)、香川真司(ドルトムント)といった長くA代表で活躍した人間が出てきたことを考えると、今回のメンバーからにもその可能性が少なからずあるだろう。

 今回の準々決勝のように天気含めて最悪の環境下に置かれても終始冷静にプレーできる久保筆頭に、今大会4ゴールの宮代、途中出場ながら積極果敢な突破を試みた斉藤光毅(横浜FCユース)、小柄ながら球際に絶対的自身を持つ齊藤未月、最終ラインをコントロールした橋岡大樹(浦和)らはその候補者だ。アタッカー陣の華々しさに比べると、浦和で右ウイングバックを務めている橋岡をセンターバックで使わなければならない守備陣はやや戦力的に苦しいところがあるが、菅原も小林友希(神戸ユース)も東も試合をこなすごとに着実に成長している。

 そういった前向きな要素を最大限生かしつつ、11月1日の準決勝、4日の決勝もアグレッシブに戦うこと。それが今の影山ジャパンに求められる重要なポイントだ。

「すぐに次に切り替えて、優勝という2つ目の目標に向かってはいれればいい」と斉藤光毅と同じチーム最年少の久保が言うように、とにかく貪欲に泥臭く優勝という結果を手にすること。そして史上最強世代として一気にのし上がることだ。彼には自分たちが日本サッカーの未来を握っていることをしっかりと自覚して、最後まで戦い抜いてほしい。

(取材・文:元川悦子【インドネシア】)

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