マンU驚きの大勝、何が起こった? スールシャール監督には不思議な力がある。解任論こそがエネルギーか【欧州CL】

10月29日(木)11時23分 フットボールチャンネル

前半は互角の戦い

 チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグH組第2節、マンチェスター・ユナイテッド対RBライプツィヒが現地時間28日に行われ、5-0でホームチームが勝利している。前半は互角の戦いだったが、終わってみれば大きな差がついた試合となった。チームを大勝に導いたオーレ・グンナー・スールシャール監督の采配とは?(文:小澤祐作)

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 昨季RBライプツィヒをチャンピオンズリーグ(CL)・ベスト4に導いた若き智将ユリアン・ナーゲルスマン監督だが、この日は途中からただただ座ってピッチを眺めるしかなかった。マンチェスター・ユナイテッドという荒波に、RBライプツィヒという防波堤は耐えきることができなかったのである。

 プレミアリーグ15位(1試合未消化)と苦戦するユナイテッドとブンデスリーガ5試合を終え首位に立つRBライプツィヒの勝負はどちらに転ぶかわからない、というのが戦前の予想だった。

実際、前半45分間を見る限り、両者にそこまで大きな差はなかったようにも思う。

 アウェイのRBライプツィヒは可変式の3-1-4-2を採用していた。守備時は左右どちらかのウイングバックを下げて4バックになり、攻撃時は流れの中で3-4-3のような形になることもあった。基本はボールの即時奪回からのビルドアップ。立ち上がりからテンション高く挑んでいた。

 一方のユナイテッドは4-3-1-2のフォーメーション。RBライプツィヒの3バックに対し2トップ+トップ下のドニー・ファン・デ・ベークがプレッシャーを与えることで相手最終ラインからのビルドアップの阻止を図っていた。

 序盤は上記した狙いがハマったユナイテッドがペースを握った。高い位置でボールホルダーを捕まえることに成功し、相手の陣形が整う前に攻撃。ライン間である程度自由に動くファン・デ・ベークが中心となって、RBライプツィヒを深い位置へ追いやっていた。

 その勢いを崩さぬまま、ユナイテッドは21分に先制。中盤で奪ったフレッジからポール・ポグバにボールが渡ると、最後はオフサイドラインぎりぎりを抜けたメイソン・グリーンウッドへスルーパス。これが通り、背番号11は左足で冷静にゴール右隅へ流し込んだ。

 良い守備から良い攻撃に繋げリードを奪ったユナイテッド。しかしその後はより前掛かりとなったRBライプツィヒに押し込まれる展開に。ボールを奪っても相手のハイプレッシャーをくぐり抜けられず、次々と回収されては何度か際どいシュートも放たれている。決して楽な状況ではなかった。

爆発したラッシュフォード

 しかし、ユナイテッドは45分間で7本のシュートを浴びたが耐えた。1点リードしたまま、後半へ向かうことができたのである。そして結果論にはなってしまうが、これこそがユナイテッドの運命を大きく分けることになる。

 無得点だが少なくない手ごたえを得たまま前半を終えたRBライプツィヒは、後半もインテンシティーの高いプレーでユナイテッドを困らせた。同点に追いつくべく、ハイプレスを継続。一方で押し込む展開が続く中、最終ラインは必然的に高い位置で固定されていた。

 63分にはDFのベンヤミン・ヘンリヒスを下げてマルセル・ザビツァーを投入。攻めに行くという、ナーゲルスマン監督からのメッセージだった。

 対するユナイテッドも63分にマーカス・ラッシュフォードとスコット・マクトミネイを投入している。さらにその5分後にはブルーノ・フェルナンデスも起用。この交代で一気に流れを引き寄せる狙いだった。

 軍配はオーレ・グンナー・スールシャール監督に上がった。最終ラインがかなり高いRBライプツィヒに対し、走力のあるラッシュフォードとそのスペースへ丁寧なボールを出すことができるB・フェルナンデスは危険な存在に。74分にはその二人だけで崩し切り、リードを2点に広げた。

 さらに77分にもラッシュフォードが得点し、85分にはアントニー・マルシャルがPKを成功。アディショナルタイムには左サイドを崩し切り最後はラッシュフォードが5点目を奪うなど、RBライプツィヒを圧倒。前半はほぼ互角だったが、終わってみれば5-0と思わぬ大差がついた。

完璧だったスールシャール監督の采配

 ユナイテッド大勝の要因は間違いなくラッシュフォードの存在だろう。1-0とまだまだわからない展開の中、持ち味を存分に発揮しハットトリックを達成したのだから、文句のつけようがない。誰もが納得するMOMだ。

 また、このRBライプツィヒ戦ではスールシャール監督の采配も光った。これまで様々な理由で批判を浴びてきたが、この日はその雑音をかき消すほど完璧な試合展開を描いてみせた。

 まず、3バックでビルドアップするRBライプツィヒに対し4-3-1-2のフォーメーションを採用し、2トップとトップ下を3バックに当てることでボールの動きを確実に抑えた。立ち上がりはこれがハマり、良い形のまま攻撃へ移行。21分という時間にリードを奪うこともできた。

 RBライプツィヒに押し込まれる時間帯もあったが、守備陣が耐えた。そうした中で必然的に相手のディフェンス陣がハイラインになってくると、スピードのあるラッシュフォードとスペースと人を利用できるB・フェルナンデスを投入。少ない人数で攻め切るための交代だった。

 実際、後半奪った4得点のうち、3得点はカウンターによるものである。スールシャール監督はチームとして得意な形を、選手交代によって引き出したと言えるだろう。

 ラッシュフォードは試合後に「監督は僕にテンポを上げるように求めた。確かにスペースがあったし、前に飛び出すたびにゴールを奪うことができたね」と狙いがあったことを明かした。さらに相手FWのユスフ・ポウルセンは「結局、僕たちは守備を止めてしまった。0-5という結果はお世辞にも良いものとは言えないが、彼らには素晴らしい選手がいて、自分たちのハングリーさとディフェンスのミスをうまく利用していた」と話す。「自分たちのハングリーさが利用された」はまさにその通りだと言えるだろう。

 スールシャール監督には不思議な力がある。

 2018年12月にジョゼ・モウリーニョの後任として暫定監督に就任すると、CL、パリ・サンジェルマン戦の大逆転劇などもあり正式監督に就任。その後ペースが落ち去年の今頃には解任論が浮上していたが、冬の補強が当たってチームは復活し、スールシャール監督の首が繋がる結果に。

 そして今季もリーグ戦で開幕から躓くなど解任論が再び浮上。しかしCLではPSGを破り今回のRBライプツィヒ戦では5-0大勝を収めるなど、グループリーグ首位に立っている。とくに今回の試合で、スールシャール監督の評価はまた少しポジティブなものになったはずだ。

 自身が苦しい状況に追い込まれた時こそ、力を発揮する。「解任論」こそがスールシャール監督のエネルギーなのか。

(文:小澤祐作)

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