笑顔の3番手au TOM’S陣営 vs 頭を悩ませるチャンピオン候補たち。悲喜交々の3メーカーの予選状況

2024年11月2日(土)21時15分 AUTOSPORT web

モビリティリゾートもてぎで行われた2024スーパーGT第8戦の予選日は、朝から雨が降り続き、今季初となるフルウエットのコンディションで予選セッションが行われた。今シーズンの今回を含めて残り2戦ということで、チャンピオン争いに向けて重要な1戦となるなか、GT500クラスは悲喜交々の予選結果となった。チャンピオンシップを争う3メーカーのトップチームの予選について聞いた。


︎山下健太「坪井(翔)選手の助言が効いた」au TOM’S GR Supra/3番手


 今回もランキング首位で乗り込んできたau TOM’S GR Supra。シーズン7戦目ということでサクセスウェイトの搭載量がこれまでの半分になったものの、53kgで燃料リストリクター制限が入った状態で今週末を戦っている。


 それでもウエットコンディションでは速さを見せ、午前の公式練習では3番手タイムを記録したが、坪井翔が担当したQ1では8番手タイムに終わった。続くQ2の山下健太はコースの前半セクターで好タイムを記録するも、後半でペースを落とすという周回が続いた。


「クリアラップをとりたくて、最後にピットを出ていきました。(アタックするチャンスが)4周しかないなかで3周とも最終コーナー付近で詰まってしまったし、次の周にも影響してしまうというところで……結局3周を無駄にしてしまいました」と山下。


 結局、チェッカーフラッグが振られる最終ラップにかけるしかない状態となったが、1分48秒178で2番手に食い込み、坪井との合算タイムでは3番手につけた。


 4周目でいくしかないという状況を作ってしまいましたが、その1回きりのアタックが本当にうまく決まりましたし、本当に良かったです」と山下。


「あとはQ1が終わってから坪井選手の素敵な助言があって、そのおかげで良いアタックができました。具体的に話せないのですけど、あの助言がなかったら結果はだいぶ変わっていたと思います。チームみんなでとった3位でした」と笑顔を見せていた。

予選Q2でトラフィックでなかなかクリアラップを取れなかったという36号車山下健太。それでもQ2で2番手タイムをマーク。


︎高星明誠「そうなるだろうなと思った予選結果」Niterra MOTUL Z/10番手


 改めて全体の結果を振り返ると、ホンダ勢がフロントロウをはじめ、3番手以降はトヨタとホンダのマシンが入り乱れる結果となった。その一方で、ニッサン勢は下位に沈む結果となり、MARELLI IMPUL Zの10番手が陣営の最高位。ランキング4番手につけるNiterra MOTUL Zは11番手で明日の決勝レースを迎えることになる。


 ウエットコンディションで下位に沈んだ結果について3号車Niterraの高星明誠は「僕たちニッサン勢は雨が弱いだろなというのは予想がついていました」とのこと。もし、土曜日の予選が悪天候で実施できなかった場合、前回のオートポリス戦のように日曜日朝に順延される可能性があった。天気予報によると明日は晴れる見込みだった。


「できれば日曜日朝の予選になってほしいなと思っていましたけど、結局、走れないほどの雨量ではなくて予選ができることになりました。下位に沈む結果になりましたが、個人的には『そうだろうな』というのが感想です」と高星。


「『実際はそうじゃなければいいのにな』という願望がありましたけど、結果を見ても他メーカーの方がこういうコンディションが悪い時でも安定してパフォーマンスを出せているのが現状だと思います。こういうコンディションでもライバルに離されないようにしていかないといけないのかなと感じています」と肩を落としていた。


 ただ、決勝に関しても未知数な部分が多いようで「ブリヂストンでもてぎのドライを走ったことがないので、どうなるか分からないのが正直なところです」と高星。「今の気持ちとしては『追い上げたいな』という感じです」と心境を語った。


︎「上手くまとめられなかったです」STANLEY CIVIC TYPE R-GT/8番手


 首位とは2ポイント差のランキング2番手につけるSTANLEY CIVIC TYPE R-GT。今回は51kgのサクセスウェイトで燃料リストリクター制限も入るなか、午前の公式練習では2番手につける走りをみせた。


 そのまま予選でも上位進出に期待がかかったが、最終的な総合順位は9番手に終わり、ランキングを争う36号車au TOM’S Supraに先行される形となった。


「(9番手という結果は)いやぁ……渋いですね」


 そう語るのは100号車STANLEYを担当する星学文エンジニア。予選日をこのように振り返った。


「クルマ的にQ1、Q2ともにもう少しいけたところはあるかなというところはあります。午前中はそんなに悪くなかったので、逆にそこから(セットアップで)動きづらかったというところも結果に出てしまったのかなと思います」


「あとはアタックのタイミングとか……その辺だったのかなと。全体的にパフォーマンスが低かったわけではないんですけど、うまくまとめられなかったのかなと思います」


 決勝に向けては、36号車auとの差をどう埋めるかが最大のテーマとなりそう。


「37号車 (Deloitte TOM’S GR Supra)はひとつ前のグリッドなので決勝で頑張れば逆転できるかなと思いますけど、36号車があのポジションだと……。もてぎは抜きにくいサーキットいうこともありますし、事前にここでやったタイヤテストでも(36号車の)ペースが速そうなので、それをどうやって逆転することができるかというのを、今夜考えないといけないですね」と頭を悩ませている様子だった。


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