中部電力、世界トップへの再出発。第一関門PACC突破にも自信アリ

11月2日(土)7時0分 Sportiva

「満足感と悔しさは半々でした」

 今年2月に札幌で開催された日本カーリング選手権を制し、3月にチームとして2度目の世界選手権(デンマーク・シルケボー)出場を果たした中部電力は、前回出場の2013年大会(7位)を上回る4位入賞という結果を残した。

 これは日本代表としても、ロコ・ソラーレの準優勝(2016年大会/カナダ・スウィフトカレント)に次ぐ好結果だった。ラウンドロビン(予選リーグ)では、強豪カナダ代表から金星を奪うなど、世界のトップと互角以上に戦えるチーム力を存分に示した。

 しかし大会後、フォース(※1)の北澤育恵は、「世界の舞台で戦えたのは自信になる」と手応えを口にしながらも、冒頭のようなコメントを残して、チームも、選手個々も向上の余地があるとした。そのうえで、さらなる高みを目指す意欲を見せて、こう語った。
※1=4番目に投げる選手でフィニッシャーの役割を担う。

「私にはまだ(最後のショットで)決め切る力が足りない。それは、世界選手権のような試合経験の中でしか養えないと思っています。最後の(プレッシャーがかかる)状況は、練習では決して作れないので、今はとにかく世界の強い相手と真剣勝負をたくさんしたい」

 そうして迎えた今季、中部電力は8月のどうぎんカーリングクラシック(札幌)でシーズン入りし、9月上旬からはカナダ遠征をこなした。およそ3カ月で7大会を戦ってきたが、そのうち、クオリファイ(予選通過)は2度のみ。その戦績は、世界4位で、日本代表という肩書きを持つチームとしては、やや物足りないと言わざるを得ない。

 日本選手権で全勝優勝を成し遂げたチームではあるが、慣れない渡航先でカーリング中心の生活サイクルを築くこと、国内のチームとは違った角度から攻めてくる現地チームの戦術への対応などが、大きな課題として挙げられる。

 チームは、10月下旬にカナダから一時帰国し、中1週間で今度は中国に旅立たなければならない。11月2日から深圳で開幕するパシフィック・アジア選手権(以下PACC)に日本代表として出場するためだ。

 太平洋アジア地域の王座決定戦となるPACCは、来年3月にカナダ・プリンスジョージで開催される世界選手権(※2)のトライアルでもある。今年は、アジア、オセアニア、中東などから8チームが参加し、上位2チームにその出場権が与えられる。つまり、中部電力が日本代表として果たすべき、今季の大きなタスクとなる。
※2=2020年2月に軽井沢で開催される日本選手権の優勝チームが日本代表として出場予定。PACCで3位、あるいは4位の場合は、1月にフィンランド・ロホヤで開催される世界選手権最終予選に回る。


PACCに挑む中部電力,上段左から両角友佑コーチ,清水絵美,石郷岡葉純,下段左から松村千秋,北澤育恵,中嶋星奈

 その大事な舞台への出発前、羽田空港で記者会見が行なわれた。なかなか結果が出なかったが、7大会で36試合をこなしたワールドツアー序盤について、北澤は「いいバランスで試合を重ねられたと思います。内容的にはどんどんよくなっている実感があるし、疲れもないので、PACCに向けてピークを作ることができそうです」と、明るい表情で振り返った。

 また、PACCでの目標について、スキップの中嶋星奈が、「まずは、世界選手権の出場枠をしっかり獲ること。そこは、日本代表の責任と自覚を持って戦ってきます」と語った。

 PACCで世界選手権の出場権を得ることは、今季の彼女たちにとって、第一であり、最低限果たすべき目標だ。まずはそれを成し遂げてから、続いてワールドツアータイトルでの優勝、日本選手権での連覇、世界選手権でのメダル獲得、ワールドツアーのグランドスラム(※3)出場という、野心に満ちたシーズンへの展望がひらけていく。
※3=ワールドカーリングツアーのランキング上位チームなどが参加できる賞金額の大きな大会。今季は6大会が認定されていて、日本からはロコ・ソラーレ、北海道銀行がすでに出場を果たしている。また、PACCで優勝すれば、太平洋アジア王者として、来年4月に開催されるチャンピオンズカップに招待される。

 そんなシーズンに向けて、リードの石郷岡葉純が「高い目標が大渋滞ですけれど、やりがいはありますし、楽しいです」と言って笑みを見せれば、チーム最年長でサードの松村千秋も「うちは目標を口に出して、チーム内でしっかり確認し合ったほうが、いい結果につながることが多い。(PACCでは)日本代表の責任感を持ちながらも、プレッシャーは抱えずにがんばってきます」と語って笑顔で出発した。

 なかなか結果が出ないシーズン序盤を過ごしたが、このPACCを前にあらためて目標を確認し、それを口に出したのは、彼女たちにとってポジティブなことに違いない。目指すは、あくまで世界のトップだ。簡単な目標ではないが、十分に狙えるポテンシャルの片鱗は3月の世界選手権で見せてくれた。あとは、これまで積んだ経験を、技術と戦術にどう変換していくか。

 アジア経由で世界のトップへ。女王・中部電力のチャレンジはこれからが本番だ。

Sportiva

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