【土屋雅史氏のJ3展望】富山vs秋田はホームチーム勝利の予感…北九州はJ2昇格消滅がプラスに作用か

2017年11月3日(金)17時1分 サッカーキング

北九州において高橋拓也は、“山の神”山岸範宏と正GK争いを繰り広げてきた [写真]=J.LEAGUE

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■富山で再会を果たした、東福岡高校コンビ

 13勝7分8敗の4位。ここに来て直近の2試合で連敗を喫し、4シーズンぶりのJ2復帰に向けて崖っぷちの戦いが続く富山。今週末には勝ち点6ポイント差で3位につける秋田とのビッグマッチが控えていますが、その富山でご紹介したいのは、今シーズンから16年ぶりにチームメイトとなった高校の同級生コンビです。

 1997年度、1998年度と高校選手権で全国2連覇。“赤い彗星”として日本中にその名を知らしめた東福岡高校。その栄光を中学時代に目の当たりにしていた山形辰徳と衛藤裕は、1999年4月に揃って日本一に輝いた高校の門を叩きます。

 3年時には山形がキャプテン、衛藤が10番を背負って、2年ぶりに高校選手権で全国の舞台へ舞い戻り、それぞれ攻守の軸としてベスト16進出に貢献。最後はスタメンの内の8人がプロの道へ進むことになる前橋育英にPK戦で敗れましたが、2人揃って大会優秀選手に選出。卒業後は山形がそのまま新潟へ加入したのに対し、衛藤は福岡大学へ進学。ユニバーシアード日本代表として世界大会にも出場するなど、4年間で着実に力を伸ばし、こちらは2006年に鳥栖でJリーガーに。2007年のJ2開幕戦では初対戦を果たすなど、お互いに着々とプロでのキャリアを積み重ねていきます。

 新潟時代にはアルビレックス新潟シンガポールへの期限付き移籍も経験した山形は、2005年に地元の福岡へ完全移籍を果たすと、J1での2シーズンを含めて2011年までプレー。翌2012年からは福岡時代に指導を仰いだ松田浩監督率いる栃木に活躍の場を移し、昨シーズンまでの5シーズンでJ2・J3合わせてリーグ戦130試合に出場。今年は富山でも主力として出場停止の1試合を除く27試合でスタートからピッチに立ち、若いチームを後方から鼓舞し続けています。

 一方の衛藤はプロ入りからの5シーズンを鳥栖で過ごすと、2011年には移籍初年度だった徳島で昇格争いに加わったチームの主力として躍動。クラブ史上初のJ1昇格を成し遂げた2013年シーズンこそ、負傷でほとんど稼働できなかったものの、翌2014年シーズンはトップディビジョンの厚い壁に跳ね返され、チームが苦しいシーズンを過ごすなか、プロ9年目にしてようやく辿り着いたJ1の舞台で25試合に出場し、確かな存在感を発揮。2016年からはトライアウトを経て加入した富山で定位置を確保。直近の5試合はスタメン出場が続き、攻撃にアクセントを加える持ち前の技術の高さは、まだまだチームに欠かせません。

 前述したように何とか上位に食らい付きたい富山にとって、今節の秋田戦はある意味でシーズンのなかでも大きな分水嶺になり得るビッグマッチ。ここはご紹介した東福岡コンビの意地に期待して、ホーム勝利の「1」で勝負したいと思います。

■あの“海ポチャ”でも話題となった、北九州GK高橋拓也

 前節G大阪U−23に2−2で引き分けたことにより、わずかに残されていた昇格の可能性が消滅し、1年でのJ2復帰の道は閉ざされてしまった9位の北九州。そんなチームのなかから今回フィーチャーしたいのは、シーズンを通じて“山の神”こと山岸範宏とゴールキーパーという1つのポジションを激しく争ってきた高橋拓也です。

 彼の能力の高さを垣間見たのは、まだY横浜に在籍していた2015年9月のこと。そのシーズンのJ3を圧倒的な攻撃力で席巻していた山口の本拠地に乗り込み、結果的には4点を奪われ、チームも0−4で敗れたものの、失点以外にはファインセーブを連発。そのクオリティの高さはチームのなかでも一際目を引くものがありました。試合後、本人に話をお聞きすると「よりセンターバック、サイドバック、ボランチにどういうプレーをして欲しいということを、練習の中から積み重ねていきたいなと思います」と話しながら、「ある程度自分自身の手応えを掴んでいます」とも。会話の端々に上を目指す意欲が窺え、「面白い選手だなあ」と感じました。

 2016年。Y横浜から高橋に関する移籍のリリースが発表されます。新天地はジュニアユース時代を追浜で過ごした古巣の横浜M。神奈川大からY横浜に加入した高橋は、JFLとJ3をそれぞれ4シーズンに渡って主力として戦い抜き、次のステージとしてJ1への挑戦権を自ら掴み取ったのです。

 とはいえ、昨シーズンの横浜Mには下部組織の先輩に当たる榎本哲也と飯倉大樹が在籍しており、なかなか出場機会を掴むまでには至らず、公式戦の出場機会はなし。シーズン終了後には北九州へと完全移籍することになり、憧れだった横浜Mでのプレーは1シーズンで幕を閉じたものの、いろいろな意味で古巣への復帰が1つの新たなステップになったのは疑いようがありません。

 迎えた今シーズン。開幕からサブに回ることが多かったなかで、山岸の負傷を受けて出場機会のまわってきた高橋が注目を集めたのは第12節のG大阪U−23戦。85分に左足で蹴り出した高橋のクリアは、ミクスタのバックスタンドを越えて、Jリーグ史上初となる“海ポチャ”第1号に。それを記念してクラブから『海ポチャ! メモリアルTシャツ』が販売され、一躍その名前はJリーグファンの知る所となりました。

 7月以降は山岸のスタメン出場が続いていたものの、10月開催の6試合では2人がちょうど半分の3試合ずつ起用され、ここ2試合は高橋が連続してゴールマウスに立っており、前節のG大阪U−23戦も2失点は喫しましたが、何度もファインセーブを披露し、勝ち点1奪取に小さくない貢献を果たしています。首位を走る栃木とミクスタで対戦する今節は、彼の“海ポチャ”第1号、第2号独占のことも頭に入れつつ(笑)、逆に昇格のなくなった北九州の吹っ切れたメンタルも考慮し、ホーム勝利の「1」にマークしたいと思います。

文=土屋雅史

J3は当せんの行方を左右する重要な要素。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ3攻略のカギを語る! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ3(http://www.totoone.jp/j3/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J3リーグ第30節
2017年11月5日(日)13時キックオフ
カターレ富山vsブラウブリッツ秋田(富山県総合運動公園陸上競技場)

■明治安田生命J3リーグ第30節
2017年11月5日(日)14時キックオフ
ギラヴァンツ北九州vs栃木SC(ミクニワールドスタジアム北九州)

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