宇野昌磨、自己ワーストの衝撃。得意のジャンプはなぜ崩れたのか

11月4日(月)6時20分 Sportiva

 グランプリ(GP)シリーズ第3戦フランス杯で、誰もが予想しなかった衝撃の結果が出た。平昌五輪銀メダリストであり、シニア転向後GPシリーズで連続して表彰台に乗っていた宇野昌磨が自己ワーストの8位の惨敗。5年目にして初めてメダルを逃した。これにより、4年連続で出場し、表彰台を外したことのないGPファイナル進出も絶望的となった。

「フリーで本当に多くのミスをしてしまいました。ただ、ショート(プログラム=SP)のような(投げ出す)気持ちは一切なく、最初から最後までどれだけミスしても、最後まであきらめずに、思いきりいけたんじゃないかなと思います」


フランス杯で総合8位に終わった宇野昌磨、フリーの演技

 転倒や回転不足、レベルの取りこぼしなどが頻発、ボロボロの状態だったフリーの演技直後、宇野の顔は蒼白で、茫然自失の体だった。何とか苦笑いを浮かべて、ひとりキス・アンド・クライに座ると、しばらく顔を上げることができなかった。会場のファンは温かいまなざしと熱い声援、大きな拍手を送って、うちひしがれる宇野を励まし続けた。そのファンの思いに、宇野の目からみるみる涙がこぼれる。両手でそれをぬぐい、そして顔を上げて感謝の気持ちをお辞儀で返した。

「自分がもしひとりで演技して(誰もいなくて)歓声が何もなかったら、決して泣くことはなかったと思うんですけど、本当にあのような演技をして、それでも歓声をたくさん送っていただいたことに、うれしさと、言葉では表現できない涙が出てきました」

 SPで2度、フリーでは3度もジャンプで転倒。しかも最大の武器で得点源となってきた得意のトリプルアクセルをSP、フリーで一度も成功させることができなかった。さらに言えば、その転び方が危険水域と言えるほどひどかった。これ以上崩れた跳び方のままにしておいたら、得意のジャンプがひとつ消滅しかねないほどだ。

 なぜ、これほどまでにジャンプが崩れてしまったのか。昨季まで跳べていたトリプルアクセルや、フリップとトーループの4回転ジャンプも不安定になって跳べなくなったのか。

 その原因の一番は、何と言ってもコーチの不在だろう。ジャンプは非常に繊細な技術であり、メンタル面に大きく左右される。基本に忠実な跳び方でなければならず、些細なことでトップ選手でも一気に崩れてしまうことがある。

 だから、ほとんどのフィギュアスケート選手にはコーチがついており、トップ選手の場合、専属コーチ以外にも、ジャンプコーチや表現面を指導するコーチなど複数のサポート体制が組まれていることは珍しくない。

 宇野は今年6月、幼少時から指導を受けていた山田満知子、樋口美穂子の両コーチのもとを離れた。新たな練習拠点とコーチを探したが見つからず、結局、シーズンインしてからもコーチ不在の状態が続いている。

 滑り込むことで安定感や完成度を高める大事なオフシーズンは、第三者的な目線を持つ外からの助言を毎日受けられる期間でもある。宇野の場合、ひとりで練習に取り組んでいた時間が多かったかもしれない。そのことで、知らず知らずのうちにジャンプに癖がついてしまい、ちょっとしたズレが跳ぶうちに大きくなって崩れてしまったのではないだろうか。

「僕はこのシーズンオフに、いろいろな場所でいろいろな経験をしましたが、すぐに成果が出るとは思っていません。いまの段階では、コーチに関してはまだ言えないこともたくさんあるので、(コーチの発表は)年明けになるんですかね。それまでお待ちしていただけたらなと思います」

 SP後の囲み取材では、不在の穴が大きくなっている新コーチの存在をにおわせる発言があった。これを素直に受け止めるならば、コーチの存在がどれだけ自分に必要かをこのフランス杯で痛感したはずなので、早急にコーチについて練習に取り組むことになるのではないか。

 また、フリー後の囲み取材ではこんなことも言っていた。

「今回はお母さんが現地に来ているんですけど、僕はいまコーチ不在ということで、それもあってコーチ以外の方に支えていただくことが多くなった。ただ、こうやって数試合を経験して、やはりコーチというものがいたほうがいた方がいいのか、最初はまったくわからなかったけれども、断言はできないですけど、僕の弱さを少しでも一緒になって(取り除いて)くれるコーチをつけたほうがいいのかなと思っているところです」

 2週間後には、出場を予定しているGP2戦目のロシア杯がある。そこでどんな挽回を見せてくれるのか。短い期間での調整となるが、宇野は「明後日(4日)にスイスに行って、ステファン(・ランビエール)コーチのもとで1週間練習して、そのままロシア大会に入ろうかと思っています」と言う。世界チャンピオンにもなれる能力を持つ宇野のコーチは、果たして誰になるのか。

 宇野は、バンクーバー五輪銅メダリストの髙橋大輔のように、踊れるスケーターだ。崩れたジャンプを早急に修正して立て直しを図り、この試練を乗り越えることで、自分の殻を破ってもらいたい。このまま終わるスケーターではない。そのことを証明しなければならない。

Sportiva

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