WEC:トヨタ、最大2.74秒のハンデを背負い上海へ。中嶋一貴「ミスのない完璧な戦いが求められる」

2019年11月5日(火)18時47分 AUTOSPORT web

 TOYOTA GAZOO Racingが参戦するWEC世界耐久選手権の第3戦上海4時間レースが11月8〜10日、中国の上海国際サーキットで開催される。シルバーストンと富士の開幕2戦で、2度のワン・ツー・フィニッシュを達成したトヨタは、7号車と8号車の両トヨタTS050ハイブリッドが1周あたり最大2.74秒のハンディキャップを負うことになる今戦で、今季3勝目と上海ラウンド通算5勝目を狙う。


 2019年9月から2020年6月にかけて全8戦で争われるWEC“シーズン8”。このシーズンからWECの最高峰クラス、LMP1には獲得ポイント差に応じて号車ごとに性能調整を課す“サクセス・ハンディキャップ”が導入され、前戦富士から適用されている。


 そんな2019/20年シーズンの開幕戦シルバーストンで、トヨタはマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス組7号車がポール・トゥ・ウインを飾ると、僚友のセバスチャン・ブエミ中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー組8号車が2位表彰台を獲得。10月の第2戦富士では8号車がハンディキャップによるアドバンテージを生かしてポール・トゥ・ウインを達成し、7号車がこれに続いた。


 この結果、まもなく迎える第3戦上海では7号車と8号車のポイント差はゼロに。すなわちチーム内においては同条件での戦いが繰り広げられることになる。


 一方、ライバルとなるLMP1プライベーターのレベリオン・レーシングや、ジネッタを走らせるチームLNTと比較した場合には計算上、1周あたり1.85〜2.74秒遅くなるように性能調整が行われる。このハンデキャップ量は富士戦のそれを上回るものだ。


 しかし、チーム代表を務める村田久武は、上海にみる過去のマシンと現行車の進化を例に挙げながら、チーム3連勝と中国での5勝目に自信を覗かせる。


「上海では新生WECが始まった2012年以降、毎年レースが開催されていて、この間の効率と速さの向上には目を見張るものがあります。2012年と2018年を比べると、ラップ当たり37.5%燃料が低減されているにも関わらず、ラップタイムが5秒以上も速くなっていることに驚かされます」と村田代表。


「これはTOYOTA GAZOO Racingが技術の限界への挑戦を続けてきた賜物です。TS050ハイブリッドの最後の上海レースで、ファンの皆さまにワクワクするレースをお届けするとともに、さらなるマイルストーンを刻みたいと思います」


 母国ラウンドからの連勝を狙う8号車の一貴は「予想されるノンハイブリッド勢の車両性能を考えると、すべての面において、ミスの許されない完璧な戦いが求められるでしょう。決勝レースへ向けて適切なセットアップを見出し、許容された出力エネルギーから最大限のパフォーマンスを引き出すべく、全力で挑む必要があります」とコメント。


 また、富士では僚友に対するハンディキャップに苦しめられた7号車の可夢偉も「前戦はハンディキャップの面で消化不良のレースだっただけに、同じ条件で8号車と再び戦えるのが楽しみです」と語り、「新たな挑戦となることはもちろん分かっています。僕たちはこれまでもTS050ハイブリッドで、限られた燃料消費量から多くのパフォーマンスを引き出して戦ってきました。このクルマにとって最後の中国戦となる次戦も、全力で勝利を目指します」と意気込む。


 なお、今季のWEC上海は過去7回行われた6時間レースからフォーマットが変更され、初めて4時間で争われることになる。これに合わせてスタート時刻も10日(日)正午となった。この他、レースウイークでは8日(金)に90分のフリープラクティスが2回、9日(土)には60分のプラクティスと公式予選の走行セッションが予定されている。


 TOYOTA GAZOO RacingドライバーのWEC上海プレビューコメントは以下のとおり。

富士ではフラストレーションの貯まるレースを強いられた7号車トヨタTS050ハイブリッド
TOYOTA GAZOO Racing WECチームの村田久武代表


■7号車トヨタTS050ハイブリッド


●マイク・コンウェイ


「上海で昨年勝利を挙げられたのは良い思い出だ。今年も表彰台の中央に立てることを願っているよ。8号車とは接戦になると思うが、この週末ノンハイブリッド勢はかつてない程強力なはずなので、容易な戦いにはならないでしょうが、準備はできているし挑戦が楽しみだよ」


●小林可夢偉


「昨年の上海は悪天候のなかでしたが、勝利することができて良かったと思います。上海戦の期間は天候が不安定な時期で、天気の予測が難しいです。前戦富士ではハンディキャップの面で消化不良のレースだっただけに、同じ条件で8号車と再び戦えるのが楽しみです」


「上海では2台揃って今まで以上のハンディキャップが課されるため、新たな挑戦となることは、もちろん分かっています。我々はこれまでもTS050ハイブリッドで、限られた燃料消費量から多くのパフォーマンスを引き出して戦ってきました。TS050ハイブリッドにとって最後の中国戦となる次戦も、全力で勝利を目指します」


●ホセ・マリア・ロペス


「上海は他に類を見ないコースレイアウトで、WEC全戦中、挑戦のし甲斐があるサーキットのひとつだ。このコースをTS050ハイブリッドの圧倒的なパワーとダウンフォースで走るのはとても楽しいんだ」


「昨年、我々は上海で勝つことができた。僕にとってはWECでの2勝目であり、激しい雨で非常に難しいレースでしたが最高の気分だったのを覚えているよ。今年は良い天候の下で、また良いレースができることを願っている」

7号車を駆るホセ-マリア・ロペスと小林可夢偉


■8号車トヨタTS050ハイブリッド


●セバスチャン・ブエミ


「僕にとって上海は、いつも良いレースができるサーキットなんだ。アウディやポルシェと戦っていた時も、上海では強さを発揮してきた。このコースでのライバルメーカーとの接戦は最高の経験だったね」


「コースレイアウトも本当に独特です。特に最初の3つのコーナーは非常に低速で難しい。このセクションはタイヤにも厳しいのだけど、僕は大好きだ。今回も厳しい挑戦となるだろうけど、上海に行くのが本当に楽しみだ。力強いレースができることを期待しているよ」


●中嶋一貴


「上海は厳しいレースになると思いますが、チームはそのチャレンジを楽しんでしますし、ベストを尽くします。予想されるノンハイブリッド勢の車両性能を考えると、すべての面において、ミスの許されない、完璧な戦いが求められるでしょう」


「決勝レースへ向けて適切なセットアップを見出し、許容された出力エネルギーから最大限のパフォーマンスを引き出すべく、全力で挑む必要があります。我々TS050ハイブリッド2台の接近戦もエキサイティングなものになると思います」


●ブレンドン・ハートレー


「チームメイトと同一ポイントで上海に向かうことになり、加えてノンハイブリッド勢も接近してくるはずなので、エキサイティングなレースになると思うし、誰もがそれを楽しみにしているだろう」


「個人的には初めてTS050ハイブリッドで上海を走るのが楽しみだし、乗るたびに感激するLMP1ハイブリッド車両のパフォーマンスを早く上海で味わいたいよ」

2連勝を狙う8号車のブレンドン・ハートレーと中嶋一貴


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