混沌とする捕手FAの行方 浮上する”陰のキーマン” 「事実上のトレード」の指摘も
2024年11月7日(木)11時26分 ココカラネクスト
坂本はリード面の評価も高い(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext
今月5日からFAの権利行使の手続きがスタート。13日までの締め切り期間の中で今季はどんな選手が宣言行使を行うのか、中でも「捕手FA」の行方が注目されている。
【関連記事】「争奪戦になる可能性はある」優勝球団の捕手FA問題 球界OBが注目する「強み」「フロントの姿勢」とは
今季は例年になく多くの捕手が一斉にFAイヤーを迎えており、各選手の去就判断が注目されている。
まずリーグ優勝を飾ったソフトバンクからは正捕手の甲斐拓也がFAイヤーとなっている。昨年球団からの複数年契約を断り、単年契約を選択。「育成の星」として知られ、侍ジャパンの一員としても2021東京五輪の金メダル、2023年WBCでも世界一奪回に大きく貢献した。
「甲斐キャノン」と称される強肩、リード面の評価も高く、今季4年ぶりのリーグ優勝に輝いたソフトバンクの扇の要としてしっかり機能した。
その甲斐を狙うとされるのが、常勝軍団の巨人だ。4季ぶりのリーグ優勝を果たすもCSファイナルSではDeNAに敗れた。
今季は昨年まで主戦捕手を務めた大城卓三に加え、岸田行倫、小林誠司の3捕手併用制を選択。それぞれの捕手の持ち味もあったが、正捕手固定とは至らなかったことでリード、打撃など総合力の高い甲斐が仮にFA宣言となれば、獲得に臨むと見られている。
そして正捕手流出の可能性があるソフトバンクではまず甲斐の残留交渉に全力を注ぐとする中、仮に正捕手流出となれば、FA市場に出る他球団の正捕手にターゲットを絞ることに。
昨年38年ぶりの日本一に輝いた阪神では、坂本誠志郎がFAイヤーを迎えている。昨年は梅野隆太郎が骨折離脱した8月中旬以降、特に存在感を発揮。自己最多の84試合に出場。村上頌樹、大竹耕太郎らのバッテリーも光り、チームを盛り立てた。自身初のゴールデン・グラブも獲得と飛躍の年となった。
今季は64試合に出場、打率.223、0本塁打、12打点。投手と理解を深め組み立てていくリードに定評があり、チームを盛り立てるモチベーターとしての側面も評価されている。すでにソフトバンクでは甲斐の流出に備え、坂本の獲得調査を進めていると報じられるなど、捕手FAの”陰のキーマン”とも見られている。
そして巨人の大城もFAイヤーを迎えている。昨年16本塁打をマーク、「強打の捕手」として知られるが、今季は捕手としての先発機会が大幅に減ったことで、今後は自身の捕手としてのキャリアをどう考えるかが、宣言行使の鍵を握りそうだ。
捕手FAのポイントは一人が宣言すれば、当該球団にポジションが空くことで実質トレードのような動きを見せることもすでに指摘されている。
果たして大がかりな「捕手FA」の扉を開くのは誰となるのか。今後の各選手の決断にまずは注目が高まりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]