ナポリから漂う独走の気配。アタランタのマンツーマン守備も超越【試合分析】

2022年11月7日(月)12時0分 FOOTBALL TRIBE

ジョバンニ・ディ・ロレンツォ(左)スタニスラフ・ロボツカ(中)マティアス・オリベラ(右)写真:Getty Images

2022/23シーズンのセリエA第13節が11月6日(日本時間)に行われ、同リーグ首位のナポリと2位アタランタが対戦。


前半16分にアタランタがコーナーキックのチャンスを迎えると、DFラファエウ・トロイのヘディングが、相手FWビクター・オシムヘンのペナルティエリア内におけるハンドの反則を誘発。これにより得たPKをFWアデモラ・ルックマンが物にし、アタランタが先制した。


試合序盤に失点したものの、ナポリは持ち前のパスワークでリズムを掴み、前半23分にショートコーナーを繰り出す。MFピオトル・ジエリンスキのクロスにオシムヘンがヘディングで合わせて試合を振り出しに戻すと、同35分には速攻から左ウイングFWのエリフ・エルマスがゴールを挙げ、逆転に成功。このリードを守りきったナポリが、2-1で首位攻防戦を制している。


アタランタの緻密なハイプレスを、ナポリがいかに攻略したのか。今回はこの点を中心に分析する。




セリエA第13節、アタランタvsナポリのスターティングメンバー

ナポリのパスワークを下支えしたのは


お馴染みの[3-4-1-2]の布陣で臨んだアタランタは、基本隊形[4-1-2-3]のナポリのフィールドプレイヤーをマンツーマン守備で捕捉したうえで、ハイプレスを敢行。


相手ボール時に、トップ下のマリオ・パシャリッチがナポリの中盤の底スタニスラフ・ロボツカに張り付いたほか、トゥーン・コープマイネルスとエデルソンの2ボランチが、ジエリンスキとアンドレ・フランク・ザンボ・アンギサを追跡。ナポリの2センターバック、キム・ミンジェとフアン・ジェズスにはルックマンとラスムス・ホイルンドの2トップが睨みをきかせ、イルビング・ロサノとエルマスの両ウイングFWには、アタランタの3バックの両脇ジョルジョ・スカルビーニとトロイが最終ラインから飛び出して応戦した。


ナポリ DFマティアス・オリベラ 写真:Getty Images

アタランタが得意とするマンツーマン守備に対し、ナポリはジョバンニ・ディ・ロレンツォとマティアス・オリベラの両サイドバックを起点とするパスワークで、局面打開を図る。マイボール時にこの2人が適宜タッチライン際から内側にポジションを移し、アタランタの両ウイングバック(ヨアキム・メーレとハンス・ハテブール)によるチェイシングの直撃を受けにくい状況を作ったことで、ナポリのパスワークが手詰まりにならなかった。


特に効果的だったのが、オリベラのハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)でのボール保持や、ここを使った攻め上がり。アタランタの2ボランチの一角コープマイネルスはジエリンスキをマークしていたため、この25歳のウルグアイ人DFに寄せられず。右ウイングバックのハテブールも、大外のレーンをあけ渡したうえでハーフスペースの守備に出向くのは難しく、度々自陣に釘付けに。センターバックのトロイも、最終ラインから飛び出してオリベラにアプローチするのを躊躇していた。


ナポリ DFジョバンニ・ディ・ロレンツォ 写真:Getty Images

オリベラに負けず劣らず、右サイドバックのディ・ロレンツォも要所を押さえたプレーでナポリの勝利に貢献。前半4分すぎにはロサノやオシムヘンとのパス交換から右サイドを突破し、チャンスメイク。自軍を勢いづけた。


ナポリの決勝ゴールも、ディ・ロレンツォが自陣後方からザンボ・アンギサにロングボールを送ったことで生まれたもの。


この場面ではアタランタの左ウイングバックのメーレ、及びセンターバックのスカルビーニがディ・ロレンツォや自陣に降りてきたロサノによって釣り出されており、これにより空いたアタランタの最終ラインの背後にオシムヘンが走ってアシストを記録している。今シーズンより主将を務めている29歳のイタリア人DFを起点に、アタランタのハイプレスを逆手に取ってみせた。


ナポリ MFスタニスラフ・ロボツカ 写真:Getty Images

進化し続けるナポリのパスワーク


ロボツカをはじめとする3セントラルMFが密着マークを受けた際の対策が熟れてきたナポリ。


10月24日(日本時間)のセリエA第11節でも、アタランタと同じく[3-4-1-2]の布陣を敷いたローマのハイプレスに晒され、ロボツカ、タンギ・エンドンベレ、ジエリンスキの3セントラルMFがマンマークに遭ったが、ディ・ロレンツォとオリベラが自軍のビルドアップを下支え。この2人が攻撃時にハーフスペース近辺にポジションを移し、ローマの両ウイングバックがアプローチしにくい状況を作ったことで形勢が傾いただけでなく、この試合でもディ・ロレンツォの自陣からのパスが起点となり、オシムヘンのゴールが生まれている。自陣後方でパスを回しながら相手選手を誘い出し、この瞬間に前線へ中長距離のパスを送って速攻を成立させる“擬似カウンター”という戦法が、板についてきた。


知将ルチアーノ・スパレッティの指導により攻撃の選択肢が増えているナポリは、今シーズンのセリエA13試合消化時点で11勝2分けと、無敗をキープ。同リーグで既に6得点、軽快なドリブルで相手DFを翻弄するクビチャ・クワラツヘリアが欠場したなかでも攻撃が機能したことは、彼らにとってより大きな自信に繋がるだろう。南イタリアの名門が、このまま独走態勢に入るかもしれない。

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