トップ3だけじゃない。要チェックドライバー4者の本音とそれぞれの個人的課題【SF最終大会プレビュー】
2024年11月8日(金)20時20分 AUTOSPORT web
2024年のスーパーフォーミュラ最終イベント、JAFGP鈴鹿、第8戦、第9戦。チャンピオン争いは実質、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)のトップ3人の戦いに絞られているが、今回の注目ドライバーはもちろん、その3人だけではない。虎視眈々とその3人の隙を伺い、優勝、そしてチャンピオンを狙っている優勝候補の中で、取材することができた4者に話を聞くとともに、優勝のための大事な要素をひとつ、挙げてもらった。
︎福住仁嶺「チャンピオンの可能性は一応あるけど、とりあえず優勝を目指したい」
まずは前回の第7戦富士で2位表彰台を獲得してシーズン後半戦の上位常連になりつつある福住仁嶺(Kids com Team KCMG)に聞いた。
「(ランキング4位でトップと40.5ポイント差)一応、チャンピオン争いに関わっています(苦笑)。今日は最終的に8番手ということで、まだまだトップタイムは見えないのですけど、明日のコンディションは今日とは違うし、鈴鹿はホンダが強いイメージがあるので、負けないようにしたいですね」
「2レースの難しところは、朝早くから予選で1セットしかないニュータイヤでアタックすると言うのが本当に難しくて。そのコンディションにクルマが合えば前に来れるという、特殊かカテゴリーだと思うのですけど、そこに合わせられるようにいろいろ考えていきたいと思います」と福住。
ここで、今週末のレースのポイントとして、以下の中からもっとも注視しているものを挙げてもらう。
1)金曜日の走り出しと持ち込みセットアップ
2)予選の順位と一発のパフォーマンス
3)スタート
4)レースペース&ロングラン
5)ピットタイミングとピット作業
「僕の個人的なことで言うと、スタートはちょっと課題があるかなと思っていますけど、鈴鹿は予選で前にいることが非常に大事なので予選がキーポイントになるんじゃないなかと思いますし、上位からスタートできれば、勝つにはレースペースがすごく大事ですし、ピット作業、そしてピットアウト時のアウトラップの速さも、僕らにはまだ全然課題があるかなと思います」と、福住。
「今週末、チャンピオンの可能性は一応あるのですけど、とりあえず優勝を目指したいですし、そもそもポールは獲れましたが、チームは勝ったことがないので、優勝目指したいですし、僕じゃなくても(小林)可夢偉さんが勝ってくれればとも思いますので、ふたりで協力して、どちらが勝ってもいいと思っています」と、抱負を語った。
︎山下健太「予選とピットで前に出て、あとはフルブロック」
もうひとり、今週末の伏兵的優勝候補に挙げられるのが、鈴鹿を得意としているKONDO RACINGの山下健太だ。開幕戦の鈴鹿で2位表彰台を獲得して、金曜の占有走行もトヨタ勢でトップの総合5番手のタイムをマーク。ランキングも6位(トップと43ポイント差)と、数字上はチャンピオンの可能性が残っている。
「もう大逆転チャンピオンを目指しているので。寒い時期の鈴鹿で速いのは、なんとなく今までの流れからわかっているし、今年1年間やってきたことをまたクルマに入れているので戦えるだろうなと思って来ています。それでもまだ、(金曜日の走行では)他に比べると直線が遅い感じがしています。そこでロスしている部分が多いですけど、その中でもなんとか優勝を目指したいと思っています」
今週末のポイントとして、先の5つのポイントの中で何を注視しているのか。
「間違いなく、自分たちの課題は決勝のレースペースなんですけど、今回はそこをそんなに考えていなくて、とにかく予選で前に出て、ミニマムの周回数でピットに入って、あとはフルブロック、みたいな。それで勝ったらカッコいいですけど、とりあえず予選一発でなんとか前にいくと言うのが第一目標です。なんとなく、決勝でいい方向に行くと言うのが見えてきていて、比較的、今の自分のクルマは変えたなりの感度が出ていると思うので、そこに期待して、大逆転チャンピオンを狙っています」
︎太田格之進「その辺の話はこれから詰めます」
チャンピオン争いを掻き乱す、伏兵的優勝候補の3人目は、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。チームメイトの牧野任祐がランキング2位で逆転チャンピオンを狙うが、格之進にとっても昨年の最終戦のこの鈴鹿でスーパーフォーミュラ初優勝を飾っており、相性はいい。
金曜日の走行では、クルマにトラブルがあったとのことで11番手となったが、格之進の表情は暗くはない。
「詳しくはわかっていないのですけど、リヤの足回りにトラブルがあって、ショートランが1周しかできなくて、ずっとロングランをしていました。最後はニュータイヤで行きましたけど、全体的に自分としては余っているな(攻めきれていない)と言う雰囲気がありました。クルマのポテンシャルは低くないなと思っているので、大丈夫だと思います」
今週末の2戦、どんな抱負で臨むのか。
「そんなに去年ほどは気負っていないですね。去年の鈴鹿で優勝しているし、今年の開幕戦の鈴鹿でも調子が良かったので、普通にやれれば前で戦えるかなと思っています。ですので、あんまり深くは意識していないですね。来年に向けても気持ちよく終わって、年末、シーズンオフを迎えたいという思いが強いです」
「今年、ちょっといろいろトラブルとかもあって、結果があまり出ていない。予選のポジションで見たらチャンピオンを争っていてもおかしくないくらい上の方にいるんですけど、レースで結果が残っていない。この大会は予選、決勝としっかり前でゴールして締めくくりたいなと思います」と格之進。
有終の美を飾るために必要な要素を、先の5つのポイントから絞ってもらう。
「今で言うと、スタートですかね。開幕戦でもスタートでフロントロウから下がってしまっているので。でも、ここ最近はスタートも結構、調子がいいですし、予選でもフロントロウに3〜4回並べているので、スタートかなと思います」
そして気になるのが、チャンピオンを争うチームメイトの牧野へのサポート体制だ。今の格之進はどのような心境なのか。
「それはもう、どんだけ僕に払ってもらえるか。まあ、それ次第でしょう(笑)。その辺の話はこれから詰めます(隣に牧野選手登場)。レース中に僕がそういう動きをしたら、しっかり話がまとまったと思ってもらえたら。もしレースでやり合っていたら、提示された条件が気に食わなかったんだなと(隣の牧野と二人で爆笑)」
格之進、そして牧野のふたりとも、今週末の注目は避けられなさそうな気配だ。
︎伊沢拓也監督「こういう時に普段の時以上の力を出せるのが山本選手」
さらには岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、この週末でスーパーフォーミュラからの引退を発表した山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が優勝候補に挙がるが、それはまた別記事で紹介するとして、最後はその山本の盟友にして、チーム監督である伊沢拓也監督に今週末の2レースに向けての抱負を聞いた。
「僕はチームの監督もしているので、山本選手も、佐藤(蓮)選手もいい結果を残せるように、ひとつでもチームのランキング上げて終わると言うのが今回のレースの目標なので、どちらかのドライバーに肩入れするようなことはありません。でも、山本選手には今回最後と決めたからには、チームみんなでサポートではないですけど気持ちよく、自分らしい走りができるようにできればと思っています。こういう時に普段の時以上の力を出せるのが山本選手だと思うので、それを期待して今日から3日間、一緒に頑張りたいなと思います」
チャンピオン争いとともに、さまざまな想いが重なり合う最終ラウンドJAFGP鈴鹿。いよいよ、2024年の最後のスーパーフォーミュラが幕を開ける。
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