エリザベス女王杯は3歳GI馬が優勢も本格化した4歳馬に逆転を期す

11月9日(土)6時30分 Sportiva

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 中央競馬は、今週のGIエリザベス女王杯(11月10日/京都・芝2200m)から年末のGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)まで、8週連続のGI開催となります。

 その先陣を切るエリザベス女王杯は、秋の”牝馬チャンピオン”を決める一戦です。以前は3歳牝馬三冠のひとつでしたが、GI秋華賞(京都・芝2000m)が創設されて、3歳牝馬と古馬牝馬の実力馬が集う「秋の女王決定戦」という位置づけとなりました。そして、そんな3歳牝馬と古馬牝馬の、世代間の対決が例年クローズアップされます。

 ただ、ここ最近は時代が変わって、本当に強い牝馬は”牝馬限定戦”という枠にとらわれず、各々が思いどおりのローテーションを組んで、牡馬一線級が集うGI戦にも躊躇なく参戦するようになってきました。しかも、そこで人気となり、しっかりと結果を残しています。

 今年で言えば、GI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)で圧倒的な強さを見せたアーモンドアイや、今春のGI宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)に続いて、オーストラリアのGIコックスプレート(10月26日/オーストラリア・芝2040m)を制したリスグラシューらがそうです。

 これらは、エリザベス女王杯には出走しません。そういう意味では、現在のエリザベス女王杯は現役最強の牝馬を決めるレースとは言い難いかもしれません。しかしその分、混戦模様になりやすく、近年は手に汗握るような展開がゴール前で繰り広げられているような印象があります。

 実際、過去のレースを見返してみると、ここ5年間はクビ差の決着となっていました。さらに、5年連続でGI初戴冠の馬が勝利。やはり、絶対的な存在が出てこなくなっているからこそ、最後まで白熱したレースになりやすく、どの馬にもチャンスがある舞台になったと言えるかもしれません。

 さて、エリザベス女王杯は今年も世代間の対決に注目が集まっていますが、その力差を比較してみると、今年は3歳世代の実力が出走予定の古馬の面々より、一枚も、二枚も上。おそらく、ラヴズオンリーユー(牝3歳)とクロノジェネシス(牝3歳)の、2頭の3歳GI馬による一騎討ちになるのではないか、と踏んでいます。

 というのも、先にも触れたように、今年は4歳世代に限らず、現役でも最強と言えるアーモンドアイに、5歳牝馬のトップであるリスグラシューが不参加。加えて、今春のGIヴィクトリアマイル(5月12日/東京・芝1600m)の覇者であるノームコアや、海外のGI戦線を転戦しているディアドラ、GIIIクイーンS(7月28日/札幌・芝1800m)を勝ったミッキーチャームといった実力ある古馬勢が出走しないからです。

 ラヴズオンリーユーとクロノジェネシスの2頭については、甲乙つけ難いところです。それでも、接戦になった時に勝ち切るパワーを感じるのは、ラヴズオンリーユーのほうです。

 何と言っても、無傷の4連勝でGIオークス(5月19日/東京・芝2400m)を制したポテンシャルの高さは魅力です。今回は、そのオークスからの”ぶっつけ”というのが気になりますが、無理にGI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)に間に合わせようとせず、態勢が整うまで待った、という点がレースではいい方向に出るのではないでしょうか。

 2400mのオークスを快勝して距離に関しても問題なく、京都コースも2戦2勝と不安はありません。鞍上を務めるミルコ・デムーロ騎手が、この秋のGIで振るわない点は気になりますが、先週の地方交流GI JBCクラシックでは惜しくもハナ差負け。その悔しさをバネに、この秋最大のチャンスとも言えるこのレースへの思いは強いでしょうから、勝ち負けは必至だと思います。

 片や、クロノジェネシスは、前走の秋華賞を完勝。GIにおけるこれまでの惜敗続きが嘘のような、強い勝ちっぷりでの初戴冠でした。もともと立ち回りはうまいタイプですが、秋華賞では鞍上の北村友一騎手がうまく乗っていました。とはいえ、あれだけ軽々と突き抜けていくとは、驚きでしたね。

 当日の馬体重はプラス20㎏でしたが、太く見えませんでしたから、夏を越して一段とパワーアップした、ということなのでしょう。ひと叩きしてのエリザベス女王杯、展開や立ち回り次第では、ラヴズオンリーユーに先着する可能性も十分にあると思います。

 いずれにしても、地力勝負となれば、この3歳世代のGI馬2頭が優勢と見ています。

 こうして、3歳世代が上と見るなら、もう1頭の3歳馬シャドウディーヴァ(牝3歳)も無視できません。GI馬2頭と比べれば、ここでの実績は見劣りしますが、ここに出てくる古馬牝馬相手なら、意外といい勝負ができるかもしれませんよ。

 一方、古馬牝馬では、当初エリザベス女王杯2年連続2着のクロコスミアには期待が持てると思っていました。しかし、ここ3戦でコンビを組んで、呼吸の合った騎乗を見せていた戸崎圭太騎手が、先週の地方交流GI JBCレディスクラシックで落馬負傷。藤岡佑介騎手に乗り替わりとなってしまいました。藤岡騎手はテン乗りになりますから、さすがに割り引く必要があるでしょう。



本格化したスカーレットカラーが強豪3歳馬を蹴散らすか

 ならば、ここに来て本格化を遂げつつあるスカーレットカラー(牝4歳)に食指が動きます。この馬に”打倒・3歳GI馬”を託し、今回の「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。

 3歳時にクラシック戦線で走っていた時は、一線級と比べると地力で劣る面があったことは否めません。それでも、4歳の春を迎えてから一気に力をつけてきました。

 とくに前走のGII府中牝馬S(10月14日/東京・芝1800m)では、これまでのイメージを一新するような、大外からの鋭い追い込みを披露して快勝。ああいう競馬ができるとなると、もはや侮れません。

 今回の舞台となる京都の芝2200mは、外回りなので、直線で馬群が大きく広がりやすいのですが、そこで、うまく内を突くことができた馬が上位に入ってくることが多いです。手綱を取るのは、岩田康誠騎手。彼なら、一発を狙った騎乗をしてくれるのではないか、と期待しています。

 また、3歳のGI馬2頭が優勢とは思いますが、スカーレットカラーが2頭をまとめて差し切るようなら、ここ最近のエリザベス女王杯での傾向どおり、初のGI制覇という流れが続くことになります。

 はたして、今年の秋の女王決定戦を制すのは、3歳馬か、4歳馬か。それとも、もっと上の世代の伏兵か。各馬が能力を出し切って、ゴール前で思わず声が出てしまうような熾烈な争いになることを期待しています。

Sportiva

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