来年のドラフトの目玉は大谷翔平級スラッガー。岐阜の怪童・阪口樂

11月9日(月)6時10分 Sportiva

 もはやライトは、外野フェンスの手前にピッタリと張り付いていた。

 高校野球でここまで極端なポジショニングを取られるだけで、この大型打者がどれだけの逸材かが伝わってくる。

東海大相模のエースは異次元のテンポで大阪桐蔭も翻弄

 打者の名は阪口樂(うた/岐阜第一)という。その名を一躍広めたのは、今夏の岐阜独自大会・帝京大可児戦だった。この試合で阪口は2本塁打を含む5打数4安打と大暴れする。


岐阜第一の大型スラッガー・阪口樂
 圧巻だったのは最終打席だった。マウンドに立つのは帝京大可児の加藤翼。約3カ月後のドラフト会議で中日から5位指名を受けることになる本格派右腕は、阪口を打席に迎えて150キロ台の快速球を連発する。阪口は、そんなフルスロットルの加藤が投じた149キロのストレートを完璧にとらえ、ライトスタンドへと運んでみせた。

 身長186センチ、体重87キロの巨体で右投左打。下半身はさほど大きなアクションを取らず、柔らかいスイングでボールを遠くへと運ぶ。その姿には大谷翔平(エンゼルス)すら重なってくる。

 完全に書き手の主観でしかないが、阪口がバッターボックスで構えただけで「打ちそうだな」と感じるものがある。

 だが、今秋ベスト4まで勝ち進んだ東海大会では、阪口は打撃不振に苦しんでいた。

1回戦(松阪商)4打数0安打
準々決勝(藤枝明誠)3打数0安打1四球
準決勝(県岐阜商)3打数0安打1四球

 阪口は「県大会が終わってから調子が上がらなくて、不安のまま大会に入ってしまった」と振り返り、続けて自分の状態を具体的に語った。

「左ピッチャーに対しては腰が早く開いたり、右ピッチャーに対しては引っ張りこんでしまったりしていました。そこが修正できなかったから、こういう結果になったのだと思います」

 4番打者だけでなく、エースという重責も担い、相手チームからは徹底マークにあう。それでも阪口は弁解めいた言葉を口にすることはなかった。

 準決勝で対戦した県岐阜商は当然のように阪口を警戒し、対策を練っていた。司令塔である捕手の高木翔斗が明かす。

「オープン戦で対戦した時はインコースを攻めていたので、それが頭に残っているかなと思って外中心に攻めました。(左投手の)野崎(慎裕)の外の速いスライダーがはまったと思います。前日の球場練習で外野の打球が伸びると感じたので、あらかじめ後ろを守って長打を防ごうと考えていました」

 県岐阜商戦の第2打席。阪口はライト後方にいい角度で打球を打ち上げたものの、スタンドには届かなかった。阪口は「甘い球なのに仕留めきれなかった」と悔やみつつ、こう吐き捨てた。

「(タイミングを)外されたというか、バッテリーに負けました」

 準決勝は0対6で県岐阜商に完敗。試合後、阪口は目を真っ赤に腫らして「全員でここまで来たので、みんなでセンバツに行きたかった」と語った。全国区の舞台で己の力を誇示するには、県岐阜商という高い壁を越えなければならない。阪口は「県岐商に勝てなければ甲子園はないと思ってるんで」とライバル心を口にした。

 報道陣から打撃と投球はどちらが好きかと問われると、阪口は「バッティングです」と即答した。現在はおもに投手と一塁手を守っているが、オープン戦ではライトとしても出場している。外野守備の自信を聞くと、「捕って投げるだけなんで、大丈夫です」と大物感のある答えが返ってきた。

「樂」という名前については、由来を何度も尋ねられているのだろう。阪口は苦笑して「わからないです」と答えた。気に入っているかと聞くと、阪口は「まぁ、気に入ってます」と照れくさそうに笑った。

 2年秋現在で、高校通算15本塁打。今のところ突出した実績はない。それでも、ひと冬越えてとんでもないスラッガーに化ける可能性がある。

 阪口樂という打者にとって2020年の秋が大きな糧になった----。のちにそう語り継がれるような歴史を築けるか。そのスケールはまだまだ底が見えない。

Sportiva

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