イタリア、60年ぶりW杯予選敗退の危機。スウェーデンの術中にはまった無惨な姿

11月11日(土)13時18分 フットボールチャンネル

10日のW杯欧州予選プレーオフ第1戦。イタリアはまんまとスウェーデンの策にかかり、敵地で0-1と敗れた。W杯優勝4回を誇るアズーリ。国民の不安は怒りとなっている。(取材・文:神尾光臣)

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狙われたイタリアの精神的特徴

 プレーオフ第1戦の61分、マルクス・ベリと競り合っていたダニエレ・デ・ロッシが顔を覆ってピッチに倒れた。ベリの肘が入ったようにも見えた。ベンチメンバーを含めたイタリアの全選手、スタッフは激昂し、ジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督に至ってはテクニカルエリアを飛び出さんばかりに怒りを露わにしていた。

 ベリはその直前にもジョルジョ・キエッリーニに手荒なチャージを喰らわし、これを流した主審をイタリアの選手たちがいっせいに取り囲むシーンもあった。レオナルド・ボヌッチも試合中に、競り合っていたオラ・トイヴォネンの肘が顔に入ったことを再三アピールしていた(彼は試合後、「鼻骨を折った」と地元メディアに告白している)。

 確かに、スウェーデンは荒かった。マルコ・パローロなどは試合後、地元メディアに「彼らは11人の獣だった」と語った。しかし身体接触がある程度許容されるサッカーというスポーツにおいては、これも試合の流れを制する要素となるのが現実だ。そしてスウェーデンがプレーオフの第1戦でイタリアに勝った要因は、まさにここだった。

 事実、決勝点となるヤコブ・ヨハンソンのゴールが生まれたのは、デ・ロッシに対するファウルでイタリアサイドが激昂した直後の62分だった。スウェーデンのスローインからリスタート、そこから放たれたロングスローに対し、エリア内でキエッリーニがトイヴォネンに前へ入られ、ボールを頭で落とされる。エリア外に落とされたボールには、イタリアの他の選手よりも早くヨハンソンが反応。シュート自体は必ずしもきちんとミートされたボールではなかったが、これがデ・ロッシに当たって軌道が変わり、ゴール右に吸い込まれた。

 「イタリアはよく組織されていて、戦術的にも素晴らしい。だが同時にイライラしやすい。だから敵に徒党を組んで当たって、冷静さを失わせるかが大事だ」。試合前々日、ボローニャに所属しイタリア人をよく知るエミル・クラフトはこう語っていた。事実スウェーデンは、試合開始からイタリアに厳しくプレッシャーを掛け続け、大事な場面で集中力の欠如を誘った。

 なおクラフトは、「(マルコ・)ヴェラッティがキレやすいことは、リーグ・アンを通して仲間たちも知っている。警告累積も迫っているし、トラッシュトークなんかも仕掛けないとね」などと冗談まじりに語っていた。その通りヴェラッティは、試合中にイエローカードを喰らいプレーオフ第2戦の欠場が決まった。つまり、見事に術中にはまったというわけだ。

スペイン戦を境に流れは悪く…不安は的中

 その一方でスウェーデンは、ただ肉弾戦と心理戦を仕掛けていたわけではなかった。2トップはイタリアの最終ラインにプレッシャーを掛け続け、組み立てを阻害。新鋭ヴィクトル・リンデレフにベテランのアンドレアス・グランクヴィストのCBコンビも、エリア内のスペースをきっちりと潰すとともにイタリアの2トップから目を離さず、空中戦でも勝ち続けた。

 かつてユベントスやカリアリで活躍したアルビン・エクダルも、故障退場するまでは的確にパスを散らしてゲームを作る。そしてライプツィヒで活躍中のエミル・フォルスベリは縦横無尽に動いてボールに触り、繊細なテクニックを活かしたチャンスメイクで10番としての責任を果たしていた。

 他方イタリアのサッカーには、そんなスウェーデンを制するための戦略も意欲も見えなかった。3-5-2は、相手に引かれて固められたら打つ手なし。縦パスのコースが塞がれているので、最終ラインはのろのろと横パスを回し、展開を遅らされた挙げ句攻められるのはサイドだけ。それも右のアントニオ・カンドレーバの個人技に頼るか、左のマッテオ・ダルミアンが良いタイミングでヴェラッティからパスを貰えた時に限られていた。

 当然、外からのクロスは高さのあるスウェーデンのCB陣の前に弾かれてしまう。ともにファーストトップであるチーロ・インモービレやアンドレア・ベロッティも、エリア内にまともなボールが入らなければ点の取りようがない。また彼ら自身にも、スウェーデンの緊密な守備組織の中でスペースを捻出する動きの工夫に欠けた。屈強なシモーネ・ザザが、直前に故障したのも痛かった。

 ただ攻撃のアイディアを欠いた挙句、相手の守備陣の前で右往左往するアズーリの姿は、何もこのプレーオフに限ったことではない。予選中、スペイン戦に敗れてからはずっとこうだった。振り返ってみれば、あの試合での惨敗を境に4-2-4から3-5-2へとシステムが変更されたものの、試合運びは安定しないばかりかこれまで培った攻撃の連動まで破壊された印象が強い。そのままの流れでプレーオフへ来れば、苦戦の末の敗戦という今回の結果は番狂わせどころか、さもありなんだ。

「第2戦がある。13日のサン・シーロでは、我われのファンは後押ししてくれるはず」とヴェントゥーラ監督は前向きに語った。だが、自チームが不甲斐無ければ遠慮せずブーイングを浴びせるような人たちが、この日のイタリアのパフォーマンスを見せられて応援をしてくれるのだろうか? 「歴代最悪の試合」「このイタリアにW杯に行く資格はない」。試合後にソーシャルメディアをちらっと覗いただけでも、地元のファンは相当ネガティブな反応を示している。

(取材・文:神尾光臣)

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