東大監督就任の井手氏 特別コーチ務める都新宿で最後の指導、涙なきすがすがしい別れ

11月11日(月)8時38分 スポーツニッポン

都新宿ナインと最後の記念撮影に収まる井手峻氏(前列中央)

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 野球界にとっての11月は、別れの季節でもある。

 11月7日。都新宿のグラウンドでも別れの時を迎えた球児たちがいた。2年間の特別コーチを務めたOBで元中日球団代表の井手峻氏(75)が、来季から同様に古巣の東大を指揮することが決まり、最後の指導の日となった。

 日が落ち、照明がグラウンドを照らす。井手氏の視線の先には、黙々と練習をこなすユニホーム姿の選手たち。その傍らで、続々と制服姿の引退した3年生やOB、父兄が集まってきた。練習後、グラウンド整備を終えると、マウンド付近で井手氏とナインが向き合う。別れを惜しむ言葉とともに、それぞれの手から花束や記念品が手渡されていく。涙はなく、すがすがしさが漂う。山口歩主将は「必ず甲子園に行きます」と力強い言葉で誓った。

 まるで孫を見るような優しい目でその言葉に聞き入った井手氏は、両手いっぱいに贈り物を抱え「僕も向こう(東大)で頑張ります」と語りかけた。

 お互いに感謝の言葉を尽くした後、田久保裕之監督が呼びかけると全員が肩を組んで円陣をつくり、おごそかに歌い始めた。「黎明の雲を破り さしいづる日のごと 明けし生気充てり 我等六中健児…」。旧制第六中時代から歌い継がれる「健児の歌」が、大都会・東京のど真ん中で高らかに響く。15歳から70代までが肩を寄せて歌う光景に、伝統校がつむいだ歴史を見た気がした。

 「寂しいけれど、東大の監督が出ることは僕らにとっても大変光栄で名誉なこと」と田久保監督。誇りを分かち合い、それぞれの道を歩み出した。(記者コラム・松井 いつき)

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