鍵山優真、涙が溢れた父からの言葉。東日本選手権で悔しい2位

11月11日(水)6時20分 Sportiva


東日本選手権フリー演技の鍵山優真。ミスが続いた
 鍵山優真は今シーズン初戦、10月上旬の関東選手権で優勝していた。ショート・プログラム(SP)はノーミスの滑りで98.46点を獲得し、フリーとの合計は287.21点という高得点だった。だが、11月6、7両日の東日本選手権男子シングルは、その滑りとは一変する悔しい結果になってしまった。
 SPは、81.84点を獲得したライバル佐藤駿の後の滑走。最初の4回転サルコウは降りたが、そこから3回転トーループに移行するタイミングをうまく取れず、2回転トーループを付ける連続ジャンプになった。
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そして、次の4回転トーループは自信を持っていたジャンプにも関わらず、跳び上がる瞬間にためらうような動きを見せてから跳び、パンクして2回転になった。最後のトリプルアクセルは少し力みがある踏み切りで、4分の1回転足りないことを示す「q」マークの判定でステップアウト。ステップシークエンスはレベル2で、3回のスピンもレベル2がひとつ、レベル3がふたつと取りこぼす結果となり、SP得点は71.72点と大きく出遅れた。
「(4回転)トーループは練習で抜けたことがなかったけれど、最初の(4回転)サルコウが微妙な降り方になったので、『トーループは絶対に成功させるぞ』という気持ちが強くなって、慎重になってしまったと思います。後半のアクセルは、体力もそうだし、足も痛くなっていたので気合いだけで跳んだけれどミスをして......。4回転を(プログラムに)2本入れる難しさをあらためて感じたし、アクセルは体力がなくても安定して跳べるようにしていかなければいけないです」
 6分間練習では4回転サルコウもトーループもしっかり跳べていただけに、本人も予想していなかった悔しさの残る発進になった。


SPを滑る鍵山。練習どおりにいかない悔しい結果となった
 SPからの挽回をかけて臨んだ翌日のフリーは、約1カ月前に使用曲を変えたばかりという不安要素があった。シーズンイン直前に予定していた曲が使えなくなったために『ロード・オブ・ザ・リング』に変えたが、関東選手権を終えて再度『アバター』に変更した。振り付けは前の2曲を担当した佐藤操(みさお)コーチではなく、SPと同じローリー・ニコル氏。
「このタイミングで変えるのは挑戦ですが、ローリーさんの振り付けでやるのが来シーズンの北京五輪へ向けていい経験になると思った」
 鍵山はそう説明したが、練習できた期間は1カ月弱と、準備不足は明確だった。
 最初の4回転サルコウは空中で少し軸が動くジャンプになりながらも、しっかり降りて3回転トーループを付ける連続ジャンプとした。SPでは失敗した4回転トーループは3.24点の加点をもらうきれいなジャンプにし、気持ちも乗ったかに見えた。
 しかし、前半4本目のジャンプとなる4回転サルコウで転倒。以前のプログラムで後半に入れていたジャンプだった。鍵山は転倒について「2本目のサルコウは転ぶことも想定していた。練習ではそこで転倒しても、後半の立て直しができていた」と話し、それほど不安になるものではなかったようだが、スピンの後のコレオシークエンスでも想定外の転倒をし、リズムを崩してしまった。
「コレオ(シークエンス)の転倒はエッジが引っ掛かったものですが、このプログラムのコレオはエッジワークがすごく深くて、ターンもかなり難しいのでまだ練習不足だと思います。ひどいコケ方で尻を打ってしまったので......。その次はトリプルアクセルからの3連続ジャンプが入っていたので、どうしようかと焦ってしまいました」

 焦りがジャンプに影響し、トリプルアクセルは「q」マーク判定の回転不足で転倒。次の3回転ルッツは予定していた3回転ループを付ける連続ジャンプではなく、3連続ジャンプにしたが最後のサルコウが2回転になった。最後のトリプルアクセルもアンダーローテーション(4分の1回転以上、2分の1回転未満の回転不足)で転倒と、ミスを連発。得点は転倒4回で6点の減点もあって140.60点にとどまり、SPとフリー合計212.32点で佐藤に次ぐ2位。練習不足がそのまま出た結果に終わった。
 挑戦している振り付けの難度が高いことを鍵山は十分理解している。「ジャンプとジャンプの間のつなぎが結構凝っていて。これまでは体力を残すために(前半を)ちょっと抜いていた部分もあったけど、今のプログラムはきついし、後半でもかなりの密度で振り付けが入っているので、難しさを感じている」と話す。今回は滑り切るというよりも、全体的にジャンプを追いかけるだけの滑りになったことも、鍵山が悔しさを感じる要因だった。
 鍵山はキス・アンド・クライで涙を流したが、その理由をこう説明した。
「(コーチの)お父さんに『逃げずに頑張って、全部のジャンプを締めたじゃないか』と言われて涙が出てしまいました。悔しさもあったけれど、言葉をかけてくれたのがうれしかった」
 体力が尽きかけた中でも、ジャンプのレベルを落とすことなく挑むことはできた。彼が今季のテーマとしている「挑戦」を、貫き通せた満足感もある涙だったのだろう。

 これまでいい感覚で滑っていたSPは、最初から最後までアップテンポの曲調で踊り続けなければいけないプログラムであるがゆえに、最初からうまく乗れないと負の連鎖が続いてしまうことを今回経験した。また、新たな挑戦となったフリーでも、予想外のアクシデントで流れが崩れてしまうことを味わった。
 昨シーズンの全日本選手権から納得する演技が続いていたからこそ、この悔しい失敗は大きな教訓にもなった。鍵山にとって今回の東日本選手権は、今後へ向けてひとつの収穫を得る大会になったといえる。

Sportiva

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