Honda R&D Challenge FL5がフル参戦1年目で栄冠。28.5ポイント差を大逆転でST-2王者に

2023年11月13日(月)17時0分 AUTOSPORT web

 富士スピードウェイで行われたENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第7戦『S耐ファイナル富士4時間レース with フジニックフェス』。今年も各クラスのチャンピオン争いはさまざまなドラマがあった。そのなかでも大逆転劇となったのが、ST-2クラスだった。


 最終戦が始まる時点では、13号車ENDLESS GR YARIS(花里祐弥/石坂瑞基/伊東黎明/岡田整)が743号車Honda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/小林天翔)に対して28.5ポイントのリードを築いており、最終戦は743号車の順位に関わらず、13号車は完走すればチャンピオンが確定するという状況だった。


 予選では225号車KTMS GR YARIS(一條拳吾/荒川麟/奥住慈英/奥本隼士)にポールポジションを奪われたものの、クラス2番手からスタートした13号車。Aドライバーハンデキャップを消化するため、早めに1度目のピットストップを済ませたが、以降は順調に周回を重ねていった。

ST-2クラスのスタート 743号車はクラス4番手からスタートした


 このままいけば、13号車のチャンピオン獲得は確実だろうと思われたが、開始から1時間20分が経過した40周目にピットインすると、そのままガレージにマシンを入れてしまった。


 約5〜6分作業をしてピットアウトしたが、その直後に後方から白煙が上がり、再び1周してピットイン。そこからエンジン交換を行うこととなった。

決勝レース中のエンジン交換作業を行うENDLESS GR YARIS


 これでトップに立ったのは743号車。彼らが優勝し13号車が決勝でノーポイントにならない限りは逆転の可能性はない状況だったが、その“唯一の条件”が満たされる展開となっていく。


 しかし、レース後半には225号車がコンスタントに差を縮め、残り1時間30分のところで逆転。743号車は2番手に下がるも、最後のピットストップではタイヤ無交換作戦を実行し、少しでもトップ奪還を目指した。


 すると、残り40分のところで225号車にエンジントラブルが発生。スロー走行となり、743号車が再びトップに浮上。そのまま最後まで走り切って、今季2勝目を飾るとともに、28.5ポイント差を逆転してST-2クラス王者に輝いた。

2023スーパー耐久第7戦富士 Honda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/小林天翔)


 予選ではクラス4番手だった743号車。決勝前にBドライバーの木立純一が「メイクドラマを起こしますよ!」と自信ありげに語っていたが、まさに有言実行という展開になった。


 途中、225号車に先行された後も「最後には逆転できそう」という手応えを掴んでいたという木立。「最後の石垣(博基)選手が乗っているときの225号車との争いも、いい感じで差を詰めていっていたので『このままいけば逆転もあるよね』という雰囲気になっていました。そこで、225号車がトラブルに見舞われるかたちになりましたけど、僕たちのクルマもポテンシャルは相当高かったです。今までは、GRヤリスにだいぶやられていましたからね」と、GRヤリス勢に勝つことをこの最終戦でもかなり意識していた様子だった。


 そのなかで迎えた決勝レースでは、前半にライバルが脱落する展開となったものの、“優勝しなければならない”という状況に変わりはなかった。

2023スーパー耐久第7戦富士 Honda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/小林天翔)


 Aドライバーの石垣博基は、13号車がトラブルで上位争いから脱落したときも「それでも僕たちが勝たないと向こうがチャンピオンになるので、基本的には変わらなかったです。最後は『確実に走る』ということを意識しました」と、ライバルが脱落していくなかでも優勝へ向ける意識を保ち続けた。


「僕は勝つしかなかったので、やれるだけやってあとは相手次第。でも、良い勝負はできると思っていました」と振り返った。


 743号車は、クラス優勝の可能性を手繰り寄せるために戦略面でも工夫していた。「最後はタイヤ無交換でいかないと、我々もチャンスがなかったので、それが結果につながったのは、チームにとってもすごく良かったです。でも……残り30分は本当に長く感じましたね」と明かしたのはCドライバーの小林天翔。大逆転でのチャンピオン獲得に「まだ信じられないですね。感無量です」と感慨深い表情を見せた。


 以前は四輪駆動のみが参戦の対象だったST-2クラス。2018年からはFF車両も参加できるようになり、ホンダの従業員有志で設立されたHonda R&D Challengeがホンダ・シビックTYPE Rで参戦している。今回タイトルを獲得したFL5型シビックがスーパー耐久にデビューしたのは、ちょうど1年間前の2022年最終戦。そこから合計7レースを戦い、優勝2回を含む6度の表彰台を獲得するなど安定した強さを誇っていた。


 唯一表彰台を逃したのが、今季第5戦のもてぎ大会。それでも石垣は「トラブルの影響で相当スピードが出なかったのですけど、あそこでちゃんと4位を獲れたのは大きかったです」と振り返った。不調のなかでも完走を果たして積み重ねてきた“1ポイント”が、最後の最後でチャンピオン争いの行方を左右する結果となった。

2023スーパー耐久第7戦富士 石垣博基/木立純一/小林天翔(Honda R&D Challenge FL5)

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