九州場所を休場する白鵬の野望と相撲協会の思惑と稀勢の里

11月13日(火)7時0分 NEWSポストセブン

休場しても問題なし?(時事通信フォト)

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 九州場所を控えた11月3、4日の週末、元貴乃花親方は自身の部屋が昨年まで宿舎を置いていた福岡県田川市の「炭坑節まつり」に姿を現した。相撲協会から“報道管制”が敷かれたものの、景子夫人とともに綿菓子づくりに精を出す元親方の周りには人垣が絶えなかった。


 改めて存在感を見せつけた元貴乃花親方が退職に至ったきっかけは、1年前の九州場所前に起きた横綱・日馬富士(当時)による貴ノ岩への暴行事件だった。


「日馬富士の暴行ばかり問題視されたが、貴乃花としては、事件現場となったモンゴル勢の会合の中心にいた横綱・白鵬の責任を問うべきという思いがあったのでしょう。“会合にモンゴル勢が集まったのは偶然”などと白鵬の責任が追及されないような説明に終始する協会に対して、意見書を提出するなどして何度も反論していた」(後援会関係者)


 いま、元貴乃花親方の懸念は現実となりつつある。


 引退会見から3週間後に、協会の第三者委員会(暴力問題再発防止検討委員会)の調査結果が発表された。それによれば、白鵬は暴行を最も制止しやすい隣の席に座っていたにもかかわらず、日馬富士が貴ノ岩の両頬を張り、カラオケ用リモコンで頭を複数回殴るのを止めなかったことが判明した。


「第三者委の聴取に対し、白鵬が『今回の事件は、あえて“愛のムチ”と呼びたい』と開き直りのような発言をしていたこともわかった。調査は部屋をまたいだモンゴル出身力士の集まりの存在自体も問題視しており、貴乃花の問題意識が裏付けられた格好だ」(同前)



 ただ、八角理事長(元横綱・北勝海)は調査結果に対し、「意識改革をやっていきたい」などと話すにとどめ、白鵬への処分もない。


「結果として、白鵬が好きに振る舞える状況が生まれた。もともとモンゴル勢は、旭鷲山をトップにする白鵬派と朝青龍に近い日馬富士派に二分されていたが、日馬富士の引退で現役力士では白鵬の“一人天下”の状況です」(担当記者)


◆休場しても問題ない


 白鵬は右膝の故障を理由に九州場所を休場する。


「2020年の東京五輪まで現役を続け、開会式で土俵入りを披露する“野望”のために無理しないつもりだろう。ガチンコ力士との取り組みは、土俵際でもつれて大きなケガにつながるリスクがある。今場所は、貴乃花の愛弟子である貴景勝をはじめ、序盤に対戦が見込まれる上位陣がガチンコ勢ばかり。リスクが高い状況だったことは間違いない」(若手親方)


 しかも、協会側にとっても休場は悪い話ではない。


「復活の兆しが見えた日本人横綱・稀勢の里には延命してほしいし、関脇・御嶽海の大関昇進の目も残したい。白鵬や鶴竜の休場中に日本人力士が活躍したほうがいいわけです」(同前)


 元貴乃花親方は田川で、元弟子たちの九州場所について、「とにかく奮闘しなけりゃいかん。暴れるぐらいにね……」と漏らした。


 その眼差しは、角界が抱える“宿痾”を見据えていたのだろうか。元貴乃花親方と白鵬、土俵にいない2人の新旧大横綱の間で相撲協会は慄いている。


※週刊ポスト2018年11月23日号

NEWSポストセブン

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