赤星憲広が阪神打線と守備の弱点を指摘「新たな右打者の台頭が必要」

11月13日(水)6時50分 Sportiva

 矢野燿大新監督のもと、昨シーズン最下位からの立て直しを図った阪神。シーズンを6連勝で締めて3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)ではシーズン2位のDeNAを破るなど健闘した。

 阪神のレジェンドOBである赤星憲広氏は、改革元年となったチームをどう見ていたのか。まずは、得点数とエラーで苦しんだ野手陣の印象から聞いた。


矢野監督の就任1年目のシーズンを3位で終えた阪神

赤星憲広から見た今季の阪神【野手編】

——今シーズン、チームでの得点が538点のリーグワーストとなった、打撃面についての印象から聞かせてください。

「昨シーズン同様、打撃は物足りませんでしたね。規定打席に達した野手のなかで、打率が3割を上回ったのは糸井(嘉男)だけ。その糸井がシーズン終盤にケガで離脱してから、糸原(健斗)を5番で起用せざるを得なかったことからも、どれだけ戦力が苦しかったかがわかります」

——4番として期待されていた大山悠輔選手も、打撃不振で8月上旬から6番や7番で起用されることが多くなりましたね。

「力は出し切れなかったにせよ、大山はチームの本塁打(14本)と打点(76点)の二冠王ですし、不調に陥ったのも本人だけの責任ではないと思います。私の個人的な考えですが、4番打者の成績は前後の打者の活躍によって左右されると思っています。

 今シーズンの巨人を見ても、4番の岡本(和真)の前には坂本(勇人)、広島からFAで移籍した丸(佳浩)がいて、後ろには阿部(慎之助)、過去に本塁打王を獲得した(アレックス・)ゲレーロなどが控えていた。岡本も昨シーズンに比べると成績を落としましたが、我慢して4番で起用することができ、2年連続で30本塁打を打ちました。とくにチームの4番を育てようとしている時には、前後の打者の並びが重要だと考えています」

——その点、阪神は大山選手を支える布陣が組めていなかったと。

「今シーズンの阪神の本塁打数は、巨人の約半分の94本(リーグ5位)。3番の糸井が5本、開幕から5番を打っていた福留(孝介)も本調子ではなく、ケガによる離脱もあって10本にとどまりました。徐々に(ジェフリー・)マルテが調子を上げ、シーズン終盤では大山に替わって4番を打ちましたが、彼は加入1年目の助っ人。長打の期待が大山だけにかかってしまうのは酷ですよ。来シーズンは4番とその前後を固定させることが急務。外国人助っ人など長距離砲の新戦力を補強できたら、大山を5番か6番で起用するのもアリだと思います」

——クリーンアップにつなげる1番、2番に関してはいかがですか?

「リーグ3位になった立役者のひとりである、近本(光司)をどう使うかがポイントですね。矢野監督も話していましたが、近本が2番にいると相手チームはすごく嫌なんです。1番バッターが出塁した場合、足の速い近本はゲッツーになりにくく、1塁に残ったら今度は盗塁をケアしないといけませんから。そうなると1番は木浪(聖也)が起用される可能性が高くなりますが、3番が糸井か福留になると考えると、左バッターが3人並んでしまうことになる。

 木浪以外は左ピッチャーに対する打率も悪くない。しかし、とくにゲームの終盤で、力のある左のリリーフがいるチームは戦略が立てやすくなります。実際に巨人とのCSファイナルステージの第1戦では、2番・近本、3番・福留と続く時に中川(皓太)を投入されました。とはいえ、打率が高くない大山は3番向きではないので、やはり新たな右バッターの台頭が必要になります」

——その巨人とのCS第3戦では、1番に近本選手、2番に右バッターの北條史也選手というオーダーに変えましたね。

「北條が起用されるとなれば、2番のほうがいいと思います。長打力もありながら右方向にも打てるバッターですし、左・右・左と交互に打順を組むこともできますから。糸井が離脱するまでに2番で起用されていた糸原という選択肢もありますが、どちらの場合でも1番は近本になるでしょう」

——下位打線に関してはいかがですか?

「6番までを固定できて、梅野(隆太郎)が7番に入るオーダーが組めるのが理想です。彼もパンチ力があり、バントもうまいので、チャンスを広げられる選手ですからね。現在の阪神は長打で得点を重ねるチームではなく、あくまで投手が主体ですから、野手陣には自分を犠牲にしてでも勝ちにつながる攻めを意識してもらいたいです」

——守り勝つ野球を目指すことになると思いますが、今シーズンの阪神はエラー数がリーグワーストの102と精彩を欠いてしまいました。

「より上位を目指すためには、守備の向上が必須です。二遊間、とくにショートは、鳥谷(敬)以降にレギュラーに定着した選手がおらず、今シーズンは木浪(聖也)と北條(史也)の併用になりました。

 昨年まで社会人野球でプレーしていた木浪は、人工芝の球場をメインに、ショート以外のポジションもこなしていた選手だったので、土のグランドでショートを守ることにまだ慣れていないのでしょう。今年は1軍を”経験させてもらった”印象が強いですが、ポテンシャルはある選手だと思います。打撃に関しても、内角のボールを苦にしない柔らかいバッティングができますし、徐々に左ピッチャーに対応することもできるようになっていた。走塁も含めて課題は多いですが、今年のオフですべての技術を高め、ショートのレギュラーを掴んでほしいです。

 一方の北條は、金本(知憲)監督時代から守備面の成長があまり見られないのが残念です。どうしても、捕球、そのあとの送球も慌ててしまう傾向があります。彼の長所である積極性は、バッティングではプラスに働く部分ですが、守備では冷静さを保ってもらいたいです。試合における打球の判断などの”守備のセンス”は、やみくもに反復練習を重ねても磨かれることはありません。これまでの練習方法、意識を変えるなど、何かしらの変化が必要でしょうね」

——ショート、もしくはセカンドで、期待の若手選手はいますか?

「守備は高卒5年目の植田海が一番うまいと思っています。レギュラーを獲得するにはバッティングをもっと伸ばさないといけませんが、走力は抜群です。足の速さだけでなく、盗塁の技術、思い切りのよさは、盗塁王を獲得した近本より上だと思います。打撃面が向上すれば、二遊間のどちらかに収まる可能性は十分にあるでしょう」

——守備の向上を目指すうえで、ほかの選手の手本になる鳥谷選手が退団してしまうことは大きな痛手だと思いますが。

「それは間違いありません。鳥谷は若い選手に対して積極的に声をかけるタイプではありませんが、野球に取り組む”背中”でメッセージを伝えることができる選手でした。他球団への入団が決まったとしたら、そのチームには必ずプラスの効果が生まれると思います。鳥谷の練習、試合でのプレーを間近で見ていた阪神の選手たちには、その姿を思い出して自身の成長につなげてほしいです」

—— 一方で、外野陣の守備に関してはいかがですか?

「センターのポジションを確立した近本は、左右の動きはすばらしいんですが、前後の動きにはまだ課題があります。リーグトップの補殺数(10)がその象徴ですね。補殺数が多いのは立派ではありますが、それだけランナーに回られているということ。私も現役時代には『肩が強くない』と思われて同じような状況になりましたが、チャージや捕ってからの速さでカバーしました。近本にも、ランナーに自制させるような選手になってもらいたいです。

 ただ、髙山(俊)の守備に成長が感じられたことは、すごく明るい材料です。本人にその理由を聞いてみたことがあるんですが、『考え方を変えました』と話していました。それが練習でのことなのか、試合で守っている時のことなのか、詳しくは聞けませんでしたが、明らかに昨シーズンより自信を持って守備をしていた印象があります。先ほども言いましたが、すべての選手が自己分析をし、意識を変えて守備の技術を向上させてくれることを期待しています」

(投手編につづく)

Sportiva

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