SB甲斐を育てた達川光男氏「甲斐の手本は西武・炭谷です」

11月14日(水)16時0分 NEWSポストセブン

MVPはこの師弟愛から生まれた

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「のびのび野球で立て直す」と就任会見で語った巨人・原監督。これまでの若手育成方針をひっくり返す大ベテラン阿部慎之助の捕手復帰に加え、FAで西武の炭谷銀仁朗(31)まで狙うという。ソフトバンクのヘッドコーチとして、甲斐拓也(26)をマンツーマン指導で育て上げ今年の日本一を花道に勇退したばかりの球界きっての“教え上手”達川光男氏(63)が、ソフトバンクの成功から巨人の課題を見出す。


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 大先輩の江夏豊さんが「守りの要の捕手にスポットが当たった今年の日本シリーズはよかった。コミッショナーにMVPだな」と言っていました。甲斐がMVPをもらったことで、育成選手にもスポットが当たってよかったと思う。過去には育成ではプロ入りしたくないというドラフト指名選手がいたが、プロの世界に入った以上はドラフト1位も育成6位も同じスタートラインだと甲斐が証明してくれました。


 甲斐をはじめ、ソフトバンクでは育成出身の選手が巣立っている。彼らに共通しているのは体が丈夫で悔しさをバネに練習ができること。これは一芸に秀でた選手を見つけたスカウトの功績でもあると思う。甲斐の場合は図抜けた肩をしていた。それだけだったんです。背は低いし(170センチ)、打撃も非力。ただ足腰がしっかりして肩も強かったということで、福山(龍太郎)スカウトが見つけて育成で獲った。


 ソフトバンクのスカウトは広島に似ていますね。広島も一芸に秀でた選手に注目する。私は1977年ドラフト4位で指名してもらったが、肩には自信があったものの、試合でコンタクトを落としたこともあるように目は悪いし、打撃も非力。それでも甲子園で準優勝したことで何か持っているのではないかと指名してもらった。


 ソフトバンクもハンカチ王子(日ハム・斎藤佑樹、30)が注目された2010年ドラフトで千賀(滉大、25)を育成4位、甲斐を育成6位で指名した。甲斐は日本シリーズでMVPを獲ったけど、原石を見つけてきたスカウトが陰のMVPです。



 巨人がFAで西武の炭谷を獲ろうとしているようですが、私は賛成です。育成も必要ですが、FAで獲得した選手も必要なんです。


 巨人のウイークポイントは捕手。守りの要にしっかりしてもらいたい。小林(誠司、29)は2017年WBCの正捕手で、その時に炭谷が控え選手として補充されている。WBCでは小林の評価の方が上なんだから、炭谷と真っ向勝負すればいいと思います。巨人は常に勝たなければいけないチーム。FAでいい選手を獲ることも必要です。年齢的に考えても小林が将来的には正捕手になるのだから、いい選手と競わせることは賛成。


 阿部が捕手に復帰するというが、それも小林の刺激になるならいいと思いますよ。4年間のブランクがあって正捕手というわけにはいかないが、大城(卓三、25)や宇佐見(真吾、25)では(小林の)ライバルにはならない。阿部は広島の石原(慶幸、39)やソフトバンクの高谷(裕亮、36)のように“抑え捕手”で活躍すればいい。


 実は甲斐の師匠、手本は炭谷なんです。甲斐は捕球や送球もすべて炭谷の真似をしてきた。キャッチャーミットも炭谷モデルを譲り受けて使っているし、セカンド送球で捕球寸前に半歩左足を踏み出すフォームになったのも炭谷を研究したからです。だから甲斐は炭谷の前では直立不動です。


 小林も炭谷を手本にすればいいし、炭谷を抜いた時点で本当の正捕手になれる。今年のソフトバンクは甲斐のお陰で投手陣が締まったように、小林が成長すれば巨人の投手陣も良くなるはずです。


※週刊ポスト2018年11月23日号

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