MotoGP:バレンシアGPで急転直下の引退会見。ロレンソ、2度の転倒後「モチベーションが見つからなかった」

11月15日(金)14時40分 AUTOSPORT web

 11月14日、MotoGP第19戦バレンシアGPの開催地であるリカルド・トルモ・サーキットで、ホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)が引退会見を行った。約20分にわたる会見のなかで、ロレンソは引退という決断を下すに至った心情、そしてこれまでのキャリアを振り返り、感謝の気持ちを言葉にした。会見にはチーム関係者やMotoGPライダーたちが出席し、ロードレース世界選手権で通算5度のチャンピオンを獲得したロレンソへ向け、スタンディングオベーションが送られた。


「今日は僕のためにこの会見に集まってくれてどうもありがとう。とてもうれしく思っているよ。ライダーには、4度、キャリアのなかで重要な日があると思っていた。ひとつは最初のレース、ふたつめは最初の勝利、そして最初のチャンピオン獲得──もちろん、すべてのライダーがチャンピオンを獲得できるわけではないけれど──、そして、引退の日だ。このレースがMotoGPで、僕の最後のレースになることを発表する。このレースをもって、レーシングライダーを引退します」


「思えば3歳のときにすべてが始まった。それから約30年間、このスポーツ、僕のスポーツに捧げてきた。僕と働いた人は、僕がどれだけ完璧主義者か、どれだけエネルギーを注ぎ、どれだけ注力してきたのかを知っている。“完璧主義者”にはたくさんのモチベーションが必要で、それがすばらしい9年間を過ごしたヤマハを離れた理由だった。ドゥカティへ移籍したことは、大きな力とモチベーションを与えてくれた。例え十分な結果ではなくても、戦い続けることをあきらめることはなかった。そして、僕は(2018年イタリアGPで)大勢のドゥカティ・ファンの前で、すばらしい優勝を飾ることができたんだ」


「それからホンダと契約をしたときも、また自分を押し上げる力を与えてくれた。すべてのライダーの憧れである、HRCのファクトリーライダーになることができたんだ。けれど残念なことに、シーズンのなかで、そして僕のパフォーマンスにおいても怪我がとても重大な要素になった。通常の身体の状態でバイクに乗ることができなかった。加えて、僕には自然に感じられないバイクがレースを難しくした。でもとにかく、戦う姿勢は失わなかったし、時間の問題だろうと思っていたんだ」


「けれど、モンメロのテスト(第7戦後にカタルーニャで行われた公式テスト)でとてもひどいクラッシュを喫し、そのあと、アッセンでも大きな転倒をした。グラベルを転がり、立ち上がってこう思ってしまった。『ホルヘ、これは本当に価値があることなのか? もうへとへとだ』。数日後、自分のキャリアについて振り返った。まだどんな決断も下したくはなかったから、そのまま(レースを)続けたんだ」


「すべてはそのときからで、この“丘”は僕にとってとても高かった。この高い山を越え続けるモチベーションを見つけられなかったんだ。知っての通り、僕はバイクで競い合うことが大好きだし、このスポーツを愛している。勝つことが大好きだ。それでも、悟ってしまったんだ。短い期間で、ホンダで成し遂げるのは難しいだろうと」

会見の途中では、ロレンソのこれまでのキャリアを振り返るビデオが流された
会見の途中では、ロレンソのこれまでのキャリアを振り返るビデオが流された


■「モチベーションがキープできない」


「(※しばらく言葉を切るロレンソ。会場ではここで拍手が起きる)モチベーションをキープすることができない。僕が定めていた目標は、現実的ではなかった。ホンダにはとても申し訳ないと思っている。特に、アルベルト(・プーチ)。彼は僕を信頼してくれて、機会をくれた。残念ながら、彼とホンダ、タケオ(横山健男氏/HRCテクニカルマネージャー)、クワタ(桒田哲宏氏/HRC取締役 レース運営室室長)、ノムラサン(野村欣滋氏/HRC代表取締役社長)をがっかりさせてしまった。けれど、これはベストな決断だったと思う。僕にとってもチームにとっても」


「振り返れば、僕のキャリアはとてもすばらしく成功したものだった。僕はいつも自分のことをラッキーだったと言っている。時々、映画の『One in a Billion』のように感じるんだ。NBAにやって来た、唯一のインド人についてのドキュメンタリー映画だよ。キャリアのなかでは、多くの同世代のライダーたちと戦い、そのうちの何人かは僕よりも才能があった。でも何人かは僕ほど成功はできなかったり、ほとんどがロードレース世界選手権に参戦できなかった。僕はレースを始めたときに考えていた以上の結果を達成できて、幸運だったと感じるということなんだ。もちろん僕は一生懸命に取り組んだけれど、多くの人の助けがなかったらここまでの結果は手にできなかった」


「だからこそ、いろいろな人に感謝したい。特にカルメロ(・エスペレータ/ドルナスポーツCEO)、ドルナ。それから(所属してきた)僕を信じてくれたファクトリーチーム。デルビ、アプリリア、ヤマハ、ドゥカティ、ホンダ。そしてジャンピエロ・サッチ、ジジ・ダリーニャ、リン・ジャービス、アルベルト・プーチ。もちろん、僕をここに連れてきてくれた母と、このスポーツへの情熱を与えてくれた父。僕のためにすべてを犠牲にしてくれたすべての人。僕のファンと、ファンクラブの無条件の愛にも。一緒に働いてきた、すべての人々、そして(マネージャーの)アルベルト・バレラに感謝します。本当にどうもありがとう」


※以下、質疑応答にて。


「(やめる決断を最終的に下したのは)アッセンのクラッシュ後、可能性があった。けれど、僕はすぐに決断をしたくはなかった。モチベーションが再び得られるかを確認したかったんだ。バイクにはいい感じを得られたけれど、モチベーションが見つからなかった。マレーシアGP後、この決断をアルベルトに伝えたんだ」


「(MotoGPキャリアのなかでお気に入りのレースは)幸運にもすばらしい思い出がだくさんあるから難しいけれど、もしひとつだけというのなら、(MotoGPクラスで最初のチャンピオンを獲得した)2010年のマレーシアGPだね。トップ5というのなら、グランプリで初勝利を挙げた2003年のリオGP。それから2006年、グランプリで(250ccクラスで)初めてチャンピオンを獲得した2006年のバレンシアGP、2013年のオランダGP(金曜日のフリー走行で転倒して鎖骨を骨折しながらも、手術を受けてレースに出走)。信じられないことをしたよね。そして2015年のここ、バレンシアGP。最後のMotoGPタイトルを獲得したレースだ」


「(今後については)人生はバイクだけじゃない。いろんなことがある。今後については今はあまり考えない。この冬はビーチでゆっくり休んで、人生の次の段階へ進もうと思う」


 ロレンソにとって、2019年シーズンの最終戦、MotoGPバレンシアGPが最後のレースとなる。

会見にはドルナCEOのエスペレータ氏も同席した
会見にはドルナCEOのエスペレータ氏も同席した
会見に出席したMotoGPライダーたち
会見に出席したMotoGPライダーたち


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