英国人が見たベルギー戦「一番残念なのは決定力」「本田だったら決めていた」

11月15日(水)10時44分 フットボールチャンネル

「長澤はとてもいいスタート」「Jリーグのカウンターは非常に遅い」

日本代表は14日、国際親善試合でベルギー代表と対戦し、0-1で敗れた。この試合中、日本代表やJリーグなどを幅広く取材し、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

——

ーーベルギーと対戦する日本代表のスターティングメンバーが発表になりました。長澤和輝がデビューを飾るようですね。

「楽しみですね。彼はヨーロッパでプレーした経験があるので、それほそ緊張していないと思う」

ーー今日の試合はどんなところに注目して見ますか?

「まずは立ち上がりの15分〜20分、絶対に失点を許してはいけないね。そのためにポジティブにプレーしないといけない」

ーー日本は立ち上がりからアグレッシブにプレッシャーをかけ、とてもいい入りをしたのではないでしょうか。

「前線でいいプレッシングをしているね。ベルギーの注目ポイントはFWとMFの間のスペースをどう使うか。足もとがうまくてクリエイティブな選手が多く揃っているので、その位置から絶対にチャンスを作ってくるだろう」

ーーベルギーはエデン・アザールを使ってきませんでした。ベンチにすら入っていませんが、彼がチームにいないことによる影響はありますか?

「もちろんあると思うけれど、(アザールがいなくても)ベルギーは日本より強い。お、今日は長澤と浅野のプレッシングがいいね。吉田麻也もいいプレーを見せて、いいスタートを切った」

ーー長澤は攻守にわたってよくボールに絡んで、全く物怖じする様子はないですね。

「そうですね。長澤はとてもいいスタート。でも、今日の試合で一番大事なのは山口蛍だと思う。長谷部誠がいないので、今日の彼は責任重大。攻守をコントロールしなければいけないし、ミスパスもしてはいけない」

ーーベルギーに危ないカウンターを食らいかけました。ブラジルほどではないですが、スピードと迫力は相当怖いプレーでした。

「まあ、それが世界基準ね。個人的にJリーグのカウンターのスピードは非常に遅いと思う。今日のスタメンはだいたいヨーロッパでプレーしている選手だけれど、元はJリーグから育ってきたでしょう? 本来ならボールを奪った瞬間、できるだけ速く空いているスペースを生かさなければいけない」

ーー前回は静かでしたが、スタジアムの雰囲気はどうですか?

「今日は本当のアウェイゲームだね。昼の1時キックオフだったこともあり、ブラジル戦は少し中途半端だった。今日のスタジアムの雰囲気はとてもいい」

「酒井宏樹は今日も印象的。W杯で日本の武器になる」

ーーここまでの日本はよく守れています。1対1で負けずに食らいついていけていますね。

「1対1は良かったね。そして酒井宏樹は今日も印象的。守備は安定していて。攻撃もポジティブ。さっきのクロスの精度も良かったし、彼は間違いなくW杯で日本の武器になると思う」

ーー30分まで0-0のままきました。

「一番大事なのは、まだ失点していないこと。だけど、ゴールが欲しい。ベルギーはこの後絶対に良くなるので、ピンチが増えるかもしれない。その前に1点取っておきたい」

ーー浅野拓磨が何度かチャンスを迎えましたが、残念ながら決めきれていません。

「冷静な判断が重要だよね。浅野は2回か3回、判断ミスをしてチャンスをなくしてしまった。このレベルではあのようなチャンスを生かせないといけない。もう少し期待したいけれどね」

ーー前半は0-0のまま終わりました。ショーンさんから見た45分間の印象を教えてください。

「日本は全体的に良かったと思う。集中力もいいし、ボールを持ったらアグレッシブに攻めていた。理想を言うなら、少なくとも1点は欲しかったかな。でも、ゴールできなかったこと以外にネガティブなポイントは特にない」

ーーブラジルに惨敗したことで失った自信と勇気を少しずつ取り戻せているような気がします。

「そうですね。メンバーはほとんと変わっていないし、みんなブラジル戦から学んだんじゃないかな」

ーー後半が始まりました。

「日本は悪くない。けど、ベルギーはより強いモチベーションで入ってきたね! さっきの危ない場面では山口がよく守った。マルティネス監督もこういう国際試合では少ないチャンスを生かさなければいけない、ということをよく理解していると思う」

ーー後半の立ち上がりは良かったですが、ベルギーもあまりエンジンがかかってきませんね。もうすぐ60分です。

「50分くらいまでのベルギーは結構アグレッシブだったけれど、日本が落ち着いてきて五分に戻ったね」

「何十年言われてきたか…得点力…」

ーー長澤はもう交代になってしまいます。もう少し見たかったですが…。

「浦和サポーターはホッとしているんじゃない?(笑)。土曜日にこれよりもっと重要な試合があるからね。長澤のパフォーマンスはとても良かったと思う。ただ、まだ60分しかプレーしていないし、これまで色々な選手がデビュー戦でいい結果を残してきたけれど、結局は代表レベルでコンスタントに高いクオリティを示し続けられなければ意味がない」

ーー日本は交代を使って流れを変えようとしましたが、ついに失点してしまいました。

「少し簡単すぎたね。チャドリの突破もすごいけれど、あのような余裕をあげてはいけない。ミスをしたのは久保裕也と森岡亮太の2人だけではないと思う。やっぱりサブの選手は誰でも流れに合わせるのに少し時間が必要。ここからはさらに失点を重ねないことが一番大事になる。点を取った後、そして失点した後の5分間は非常に大事」

ーー杉本健勇のチャンス…惜しかったですね!

「何十年言われてきたか…得点力…。入ったばかりの乾貴士もいいインパクトを残したね。さあ、ラスト10分で日本は攻めないといけない。もちろんリスクはあるけれど、1-0で負けるのと2-0で負けるのは同じ。どんどん前に行かないと。下がったらベルギーにどんどん押し込まれる」

ーーベルギーは先制してから波に乗って一気に日本を押し込んできました。でも、日本もチャンスはしっかり作れています。

「いいフィニッシュもあった。しっかりサイドバックまで上がってシュートの場面を作れていた。でも、相変わらずラストパスの質が…最後のところで冷静じゃないね。冷静さがなければゴールは奪えない」

「この2試合を『しょうがない』と片付けてはいけない」

ーー残念ながら0-1のまま試合終了になってしまいました。90分間ご覧になった感想を聞かせてください。

「負けてしまったけれど、いいパフォーマンスだったと思います。とはいえいつもと同じ問題があった。日本は点を取れないね。ベルギーのようなレベルの相手になると、少ないチャンスをしっかりと活かさなければ負ける。今日もまた学んだけれど、日本はすでにそれをよく知っていたんじゃないかな。『いい経験』や『学べた』というようなことを言うのは簡単。でも、足りないのは確かで、弱いところを改善しないといけない。今日の失点シーンは許せるものではないけれど、一番残念なのは決定力だよね。シュートとラストパス、この部分をW杯の前に改善できなければ、ロシアでいい結果を残せないのは当然だと思う」

ーーハリルホジッチ監督は試合直後のインタビューで「負けるに値しない試合だった」と言っていましたね。このベルギーとの試合で得たポジティブな収穫は何でしょうか?

「日本はベルギーとアウェイで五分の勝負ができた。守備は失点した場面以外、安定していたと思う。そしてボールを持った時に、自信が見られた。サイドバックもよく攻め上がって、長澤も非常にいいデビューだった。今後も同じようなパフォーマンスを見せて欲しいね。彼が日本代表に定着するは決定的な貢献が重要になる。つまりアシストとゴールのこと。香川真司や本田圭佑がどうなるかわからないけれど、“10番”の選手はゴールとアシストでチームに貢献しなくてはいけない。ゴールやアシストがなければ仕事をしていない、ということになる」

ーー今回の欧州遠征は日本代表の現在地を知ることができました。ショーンさんはこの遠征の意味をどう考えていますか?

「日本のレベルや得意なこと、不得意なことはだいたいわかっていたんじゃない? サッカーは『足りないことがわかった』だけじゃダメで、弱いところを除いていかなければいけない。もちろんブラジルやベルギーは日本より強いけれど、この2試合を『しょうがない』と片付けてはいけないと思う。W杯では彼らのような相手と戦わなければいけないし、それに勝たなければいけない。だからこそ『いい経験でした』というだけではダメなんだよ。この経験から学びがなければ意味がない」

「結局、点を取れる選手がいない」「僕が監督だったら岡崎を“9番”に」

ーーこの遠征を通してアピールした選手もいますし、メンバーから漏れて悔しい思いをしている選手もいます。残された時間は少ないですが、日本代表のチーム内での競争は激しくなっていくのでしょうか?

「どうだろうね。長澤は良かったけれど、正直に言えば大迫や浅野はあまりよくなかった。例えば今日、もし今日の浅野にあったようなチャンスがあったら、本田や岡崎なら決めていたかもしれない。W杯ではワンチャンスしかないかもしれない。GK、DF、MFは誰を使うのかほぼわかるけれど、FWはまだわからない。日本はこの2試合で1点しか奪えなかったし、それもコーナーキックからDFがヘディングシュートを決めたものだった。大迫はあまりインパクトがなかったし、それは久保裕也や原口元気、浅野にも同じことが言える。実際、岡崎がストライカーのベストオプションだと思っているけれど、ハリルホジッチ監督はあまり好きじゃないみたいだよね。僕が監督だったら岡崎を“9番”に置く」

ーーストライカーに関して言うと、興梠慎三は出番すらありませんでした。杉本健勇もノーゴール。結論、やはり海外組から選ぶのがベターということになるのでしょうか。

「個人的にはそう思う。結局、点を取れる選手がいないでしょう。それはハリルホジッチ監督もこの遠征で理解できたと思う。むしろできていなかったら困る。本田圭佑も最終メンバーの23人には絶対に入れておいた方がいいと思っている。スタメンで使うかは相手によるけれど、彼はストライカーのポジションもできる。もし本田に今日の浅野のようなチャンスがあったら、ゴールになる可能性はもっと高かったんじゃないかな」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年、イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

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