稀勢の里とご当地力士 九州場所は「初顔合わせ」に注目

11月15日(水)7時0分 NEWSポストセブン

稀勢と白鵬の優勝争いは見られるのか(写真:時事通信フォト)

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 久々の日本人横綱誕生に沸いた今年の大相撲。1年を締めくくる九州場所も例年以上の盛り上がりを見せている。そんななかで起こりそうな“事件”とは──。


 1988年の九州場所千秋楽、「双葉山の69連勝」という大記録に挑んだ千代の富士にガチンコ横綱・大乃国が土をつけ、連勝記録は53でストップした。白鵬の63連勝が当時平幕だった稀勢の里に止められたのも、2010年の九州場所2日目だった。


「九州場所が開催される福岡国際センターではなぜか大波乱が起き、座布団が乱れ飛ぶことが多かった。そのためか2008年から協会は、桟敷の座布団を1人用のものから、2人用に改めた。4人升席では2人用2枚が縫い合わされ、投げるには重すぎるし、そもそも誰かが座ったままだと投げられないようになった。それ以降は、代わりにスタンディングオベーションが起きています」(協会関係者)


 九州場所では21年ぶりとなる15日間通じての満員御礼が確実視されている。


「若手の台頭が目覚ましく世代交代の場所になるという期待の表われでしょう」(同前)


 そんな今場所、優勝争いのカギを握るのが「初顔合わせ」だ。とくに横綱・稀勢の里は、3場所連続休場(途中休場を含む)の間に、実力派のガチンコ若手力士が次々と幕内上位に昇進したことで、「鬼門」だらけになるとみられている。


◆稀勢より琴奨菊が人気


「横綱にとって『初顔』の相手は手の内が分からず、番狂わせが起こりやすい。かつて千代の富士が初顔の貴花田(当時)に負けて引退を決意した例が象徴的(1991年5月場所)。負ければ金星という重圧もあり、取りこぼしが増える」(担当記者)


 初顔に強いか弱いかは横綱のなかでもタイプが分かれ、強い横綱の筆頭格が対初顔34連勝の記録を持つ朝青龍。白鵬も28連勝していたが、今年は初場所で荒鷲(前頭5=番付は今場所、以下同)、貴ノ岩(前頭8)という2人の初顔相手に黒星を喫した。「衰えが見える」(同前)と言われ始めた所以だ。


 それ以上にピンチとみられているのが横綱として初めての九州場所を迎える稀勢の里である。


 横綱昇進後、初顔との対戦で黒星はないものの、いずれも紙一重の相撲ばかり。新横綱として臨んだ5月場所は3日目に千代の国(前頭4)、5日目に千代翔馬(前頭6)と対戦。とくに千代の国との一番は土俵際に倒れ込みながらの押し出しで勝ちを拾った。続く名古屋場所でも2日目に初顔の貴景勝(前頭1)に土俵際まで追い詰められた(結果は突き落としで白星)。


「今場所は、稀勢の里の休場中に3場所連続2ケタ勝利をあげた阿武咲(小結)が初顔になる。激しい動きで相手を翻弄する21歳に手を焼くはず。また、思い切りのいい出足で攻める北勝富士(前頭3)との初顔も気を抜けない」(担当記者)


 他にも、稀勢の里が苦戦しそうな相手が並ぶ。今年に入って黒星をつけられている御嶽海(関脇)、嘉風(同)、琴奨菊(小結)、栃煌山(前頭2)と対戦があるのは確実。なかでも厄介なのは、福岡出身の琴奨菊、大分出身の嘉風といった地元出身の力士たちだ。


「角界には“江戸の大関より故郷の三段目”という格言がある。地元力士は大声援を受けていつも以上の力を発揮する」(担当記者)


 大関を陥落後、7年ぶりとなる平幕も経験した琴奨菊は2場所ぶりに三役に復帰。稀勢の里相手に通算対戦成績では35勝30敗と勝ち越している。


「東京のファンには“終わった人”かもしれないが、九州では今でも稀勢の里より人気がありますよ。大分出身の関脇・嘉風も、今年5場所すべてを勝ち越し、本気で最年長大関昇進を狙っている。地元で“嘉風杯”という子供相撲大会を主催するなどやはり人気は抜群で、大応援団が詰めかけるのは間違いない」(後援会関係者)


 正代(前頭7、熊本出身)、千代丸(前頭8、鹿児島出身)といった力士も星を伸ばせば横綱との対戦の可能性がある。場所前のスポーツ紙は稀勢の里を〈完全復調の兆し〉などと持ち上げるが、難しい相撲が続きそうだ。


※週刊ポスト2017年11月24日号

NEWSポストセブン

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