丸FA流出でも広島が「暗黒期」に戻らない理由

11月15日(木)16時0分 NEWSポストセブン

今季のMVP候補でもある丸佳浩(写真:時事通信フォト)

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 プロ野球界の今オフのストーブリーグで最大の注目はFA宣言をした広島・丸佳浩(29)の動向だろう。今季、3番・センターを担い、3割6厘、39本塁打、97打点でゴールデングラブ賞も受賞。MVP候補と言われる丸に対して、巨人とロッテが獲得に名乗りを上げている。


 広島はFA移籍によってチームが弱体化した過去もあってか、丸に対して宣言残留を認める意向を示している。


 1993年オフのFA制度導入以降、広島は8選手が権利を行使してきた。1995年に左のエースでジャイアンツキラーとしても名を馳せた川口和久が巨人へ。2000年には江藤智が巨人へ、2003年に金本知憲、2008年に新井貴浩が阪神へ移籍(新井は2015年に広島に復帰)。生え抜きのスター選手が育ったと思えば、他球団に“奪われて”いった歴史がある。


 主力選手の流出もあってか広島はBクラスを抜け出せず、一方で2000年の長嶋巨人、2003年の星野阪神は優勝を果たした。3連覇の立役者の1人である丸が移籍となれば、広島が大打撃を喰らうことは間違いない。丸に限らず、2019年オフには菊池涼介、野村祐輔、會澤翼ら、2020年オフには田中広輔がFA取得予定となっている。ファンは15年連続Bクラスの“暗黒期”を知っているだけに、彼らの流出を危惧している。野球担当記者が話す。


「タナ・キク・マルが3人抜けたとしたら相当痛いですが、だからといって1990年代や2000年代のような連続Bクラス状態に舞い戻ることは考えづらい。というのも、当時はFAだけでなく、大学・社会人の1位、2位には逆指名の権利があり、そのドラフト制度が広島の弱体化に大きく関係していたからです」(以下同)


 逆指名制度導入1年目である1993年の1位は岡山南高校の山根雅仁だったが、1勝もできずに引退。社会人出身で2位の上田好剛は1軍登板なしのまま、現役生活を終えた。



 なかには一時的に活躍を見せたドラフト1位選手もいたが、長続きしなかった印象だ。1994年、日本体育大から入団した山内泰幸は新人王に輝き、3年目までに32勝を挙げたが、その後は故障もあって目立った成績は残せていない。市立銚子高から1995年に入団した長谷川昌幸は2001年に9勝、2002年に13勝を挙げたが、それ以外の年は活躍できなかった。


 1997年に青山学院大から入団した澤崎俊和は1年目に12勝を挙げて新人王に輝くも、以降は期待されたほどの成績は残せていない。


嶋重宣(1994年2位)や東出輝裕(1998年1位)のように、高校生のドラフト上位から主力に成長した選手もいるし、この時期にドラフトで獲得した選手がすべて活躍しなかったわけではない。だが、当時は巨人の人気が高く、在京球団希望の選手が目立っていた。たとえば、直前まで広島を逆指名すると思われていた地元出身の二岡智宏(1998年)が逆指名で巨人入りするなど、他球団に後塵を拝した面は否めない。


 もし現行のドラフト制度であれば、もっと層が厚くなる補強ができていたはずで、15年連続Bクラスはなかったのではないか」


 近年では2014年に大竹寛が巨人にFA移籍したが、この年の広島は3位でシーズンを終えた。勝ち越してのAクラス入りは実に18年ぶりだった。2016年にはポスティングで前田健太がメジャーへ渡ったが、この年にチームは25年ぶりの優勝を果たし、以降3連覇を成し遂げている。明らかに、1990年代や2000年代とは様相が変わっているのだ。



「2007年に入札抽選制度に戻って以降、広島も他球団と変わらないドラフト補強ができるようになった。そのため、たとえ選手流出があったとしても戦力の大幅ダウンが避けられている。たとえ丸が流出するようなことがあっても、以前のような暗黒期への突入は心配しなくてもいいのではないでしょうか」


 広島にとって丸が残留するに越したことはないだろうが、かつてのように長きにわたるチーム低迷を心配する時期ではないのかもしれない。

NEWSポストセブン

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