NASCAR:TOYOTA GAZOO Racing 2017第35戦フェニックス レースレポート

2017年11月16日(木)17時9分 AUTOSPORT web

モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第35戦フェニックス


マット・ケンゼスが今季初勝利
トヨタ勢は2人がプレーオフ最終ラウンドへ


 残り2戦となったNASCAR。3カテゴリー共に、最終ラウンドでタイトルを争う4台を選抜するレースがフェニックスで行われた。カップ・シリーズではレースの3分の2近くを支配したデニー・ハムリンが終盤のクラッシュで無念の脱落。カイル・ブッシュとマーティン・トゥルーエクス・Jr.がファイナルラウンドへ。


 レースはマット・ケンゼスが今季初勝利を挙げた。エクスフィニティ・シリーズではマット・ティフトが惜しくも最終ラウンド進出を逃したが、オーナーポイントでトヨタ・カムリの2台がタイトル争いに残った。トラック・シリーズは終盤大荒れの展開となったが、クリストファー・ベルとマット・クラフトンの2台が最終戦でタイトルを争うこととなった。


Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第35戦 Can-Am 500

開催日:11月12日


マット・ケンゼスが今季初勝利
レース支配のデニー・ハムリンは終盤惜しくもクラッシュ
トヨタ勢は2名がプレーオフ最終ラウンドへ


 11月12日(日)、米国南西部アリゾナ州エイボンデールのフェニックス・インターナショナル・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第35戦「Can-Am 500」が開催された。


 シーズン終盤の10戦で上位ドライバーがタイトルを争うプレーオフもついに9戦目。今大会で最終戦のファイナルラウンド“チャンピオンシップ4”を戦う4人が決まる。既にトヨタ勢では、前々戦マーティンズヴィルで勝利したカイル・ブッシュと、今季筆頭の7勝を挙げ、ポイントでリードするマーティン・トゥルーエクス・Jr.が最後の4人として最終ラウンドへの進出を決めている。


 前戦で3人目が決定したため、2012年に勝利経験を持つデニー・ハムリンを含む5人が最後のひとつの椅子を目指しこのフェニックスラウンドに臨んだ。


 12日(日)午後12時39分、1マイルオーバルを75周、75周、162周の3ステージ合計312周(312マイル:約500km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。


 金曜日に行われた予選で、僅か1000分の1秒及ばず2番手スタートとなったハムリンは、3ワイド、4ワイド状態となったスタートダッシュでライバルの先行を許したものの、イエローコーションが出ない展開の中、周回遅れが発生し始めると、25周目に首位を奪還。


 その後も首位争いを続け、ステージ1は2位フィニッシュ。ポイント争いで重要な9点を獲得し、下位に沈んだライバルをプレーオフランキングで逆転して6点差の4位に浮上した。


 ステージ1はマット・ケンゼスが4位、カイル・ブッシュが6位、エリック・ジョーンズ7位、トゥルーエクス・Jr.が8位とトヨタ勢5台がトップ10に入った。


 ステージ2前のピット作業で首位に立ったハムリンは、ステージ2は一度も首位の座を譲ることなくトップでチェッカー。更に10ポイントを加え、プレーオフ最終ラウンド進出へ向けポイント差を広げることとなった。


 ステージ2はケンゼスが2位、エリック・ジョーンズが3位、トゥルーエクス・Jr.が4位、カイル・ブッシュが5位とトヨタ・カムリ勢がトップ5を独占。ステージ3の前半戦も首位を守るハムリンを先頭に、トヨタ・カムリ勢が上位を占めて周回を重ねた。


 ステージ3でもハムリンの快進撃は続き、一時は2位のケンゼスに対して2秒以上の大差で独走。プレーオフ最終戦は選出される4人のうち、ハムリンを含めた3人のトヨタドライバー達がタイトルを争うことになるかと思われた。


 しかし、266周目にハムリンはサイド・バイ・サイドのバトルで接触した際に車体にダメージを受けると、その影響でタイヤがバーストし、壁にクラッシュ。この日レースの3分の2近い193周にわたって首位を走行したハムリンだったが、残り40周あまりでレースを終えることとなり、プレーオフ最終ラウンド進出の夢も潰えることとなってしまった。


 このハムリンのクラッシュにより出されたイエローコーションから、残り31周での再スタートが切られると、ケンゼスが首位浮上。激しい首位争いの末に、残り10周で首位を奪い返してトップチェッカー。


 2003年にシリーズタイトルを獲得し、トヨタに移籍した2013年には自身最多の7勝を挙げランキング2位となったケンゼスが今季初勝利。今季限りでフル参戦から引退することを表明している45歳のレジェンドドライバーが、シーズン残り2戦での劇的な勝利を飾った。


 トゥルーエクス・Jr.は3位、エリック・ジョーンズが4位、カイル・ブッシュが7位に入り、トヨタ・カムリは4台がトップ10フィニッシュ。既にファイナルラウンド進出を決めているトゥルーエクス・Jr.とカイル・ブッシュがタイトル争いに挑む。


 ここまでのプレーオフでは、レギュラーシーズンでのプレーオフポイントや勝利などが反映されてきたが、最終ラウンドは進出した4人全員が5000ポイントにリセットされ、その中で最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。


 いよいよタイトルが決定されるシーズン最終戦、次戦第36戦は11月19日(日)、米国南東部フロリダ州ホームステッドのホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。


ドライバー マット・ケンゼス


「ありがとうという以外に言葉が見つからない。次戦が恐らく最後のレースになるだろう私にとって、これ以上望めないほど最高の週末になった。終盤のチェイス(エリオット)とのバトルは凄かった。トヨタや各スポンサー、支えてくれた全てのパートナーに感謝する」


「このチームと、20号車と共に過ごしたこの5年間は最高の日々だった。初めてレースを戦った日から、今までずっと素晴らしい旅をしてこられた。最後のレースとなる来週が楽しみだ」


NASCAR XFINITY SERIES
第32戦 Ticket Galaxy 200

開催日:11月11日


トヨタ・カムリ3-4位フィニッシュ
2台がオーナータイトルのプレーオフ最終戦へ


 11月11日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第32戦「Ticket Galaxy 200」がフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。


 同シリーズでは、今季からフル参戦しているルーキーのマット・ティフトがプレーオフの8名に残っている。また、カップ・シリーズなどからのスポット参戦ドライバーの多いエクスフィニティ・シリーズでは、オーナーポイント(ドライバーではなく車両ゼッケンのオーナーにかけられる選手権。カップ戦ではドライバーとほぼ一致する)では別の争いが繰り広げられており、プレーオフ圏内に残っているトヨタ・カムリの18号車、20号車が最終ラウンド進出を賭けて今大会に臨んだ。


 今大会は、20号車をカップ・シリーズドライバーのエリック・ジョーンズ、18号車はトラック・シリーズを戦っているクリストファー・ベルがドライブした。


 11日(土)2度にわたるカップ戦の練習走行に挟まれる形で行われた予選に続き、午後1時47分に1マイルオーバルを60周、60周、80周の3ステージ合計200周(200マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。


 カップとの掛け持ちで忙しい一日となったエリック・ジョーンズは予選で今季3度目となるポールポジションからスタートを切り、序盤戦首位を守ったが、30周目過ぎにライバルの先行を許し、ステージ1は3位でチェッカー。ステージ1は、ベルが8位、ティフト14位となった。


 ステージ2はイエローコーションが出ない展開の中、トヨタ勢の各車はじりじりと順位を上げ、エリック・ジョーンズが2位、ベル5位、ティフト11位。


 ステージ3もエリック・ジョーンズが首位争いを展開。レースは残り20周でクラッシュ車両によるイエローコーションが出され、残り13周で再スタート。ピットで順位を落としながらも、最後まで逆転を目指し追い上げたエリック・ジョーンズだったが惜しくも3位でチェッカー。ベルは9位の再スタートから素晴らしい追い上げを見せ4位。ティフトは11位でチェッカーを受けたが、惜しくもプレーオフ争いでの最終ラウンド進出はならなかった。


 エリック・ジョーンズとベルの健闘により、20号車と18号車はそれぞれ2,4位で最終ラウンド進出。最終戦でオーナータイトルを争うこととなる。


 今季の最終戦となる次戦第33戦は11月18日(土)、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。


ドライバー エリック・ジョーンズ


「我々のトヨタ・カムリのハンドリングは好調だった。序盤は前車による乱気流の影響を受けない首位を走行出来たが、22号車(ライアン・ブレイニー:フォード)の追い上げを受けてしまった。彼は今日本当に速く、我々のトヨタ・カムリは2番手の速さしかなかった。終盤はピットでミスを犯しポジションを落としたこともあり、追い上げたが3位が精一杯だった」


NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第22戦 Lucas Oil 150

開催日:11月10日


赤旗3度の大荒れサバイバル戦。
C.ベルとM.クラフトンがプレーオフ最終ラウンド進出


 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第22戦「Lucas Oil 150」が11月10日(金)にフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。


 トラック・シリーズも残り2戦。プレーオフではトヨタ勢のクリストファー・ベル、マット・クラフトン。ベン・ローズの3名を含む6名が争っており、最終ラウンドへの4名へ向け熾烈な争いが繰り広げられた。


 10日(金)午後6時49分に1マイルオーバルを40周、40周、70周の3ステージ合計150周(150マイル:約240km)して競われる決勝レースがスタート。今季5度目のポールポジションを獲得したベルと、チームメイトのノア・グラッグソンが最前列に並んでスタートを切ると、19歳のグラッグソンが先行。


 10周目にベルが首位を奪還し、ステージ1はベルがトップチェッカー。この時点でベルは獲得ポイントによりプレーオフ最終ラウンドへの進出が確定した。


 ステージ1はグラッグソンが2位、クラフトンが3位、ローズ4位。


 ステージ2も上位の順位は変わらず。ベルが逃げ切ってステージを制覇。グラッグソン、クラフトン、ローズと続いた。この時点でクラフトンもプレーオフ最終ラウンド進出決定。


 ステージ3では、再スタートでグラッグソンが首位に立つと、中盤戦を支配。プレーオフではトヨタ勢の3人目、ローズの最終ラウンド進出なるかに注目が集まった。そのローズは、残り30周を切ったところで出されたイエローコーションからの再スタートで、プレーオフ進出を争うライバルとサイド・バイ・サイドでのバトルを展開したが、2台は接触。スピンしたローズにクラフトンが突っ込み、共にレースを終えることに。ローズはこれで惜しくもプレーオフ争いから脱落することとなってしまった。


 5台が絡むこととなったこのクラッシュによりレースは赤旗中断。再開後の再スタート直後にも5台が絡む多重クラッシュが発生し再び赤旗に。


 レースは残り10周での再スタートとなり、この日レースを支配した最前列のグラッグソンとベルがサイド・バイ・サイドで首位争い。2台は激しいバトルを繰り広げた末、接触によってグラッグソンがスピン。そこに後続が突っ込み、この日3度目の赤旗に。


 出場車の半分以上がクラッシュなどで戦列を去るという大荒れの展開となった今レースで、トヨタ勢の最上位フィニッシュを果たしたのはコディ・コーリン。自身にとってキャリア最高位、初のトップ5フィニッシュを果たした。


 次戦プレーオフ最終ラウンドの“チャンピオンシップ4”では、ベルとクラフトンの2名がタイトルを争う。


 シーズン最終戦となる次戦第23戦は11月17日(金)にホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催される。


ドライバー クリストファー・ベル


「(ノア・グラッグソンとのバトルは)本当にエキサイティングで、2人共に勝利を目指して全てを尽くし戦った。しかし、最後の再スタートで残念ながら2台共にアクシデントに見舞われてしまった。2人で本当にハードなバトルを繰り広げたが、残念ながら結果には繋がらなかった。次戦ホームステッドはこことは全てが異なるコースだし、タイトル獲得へ向け全力で臨む」


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