2026年W杯へは「チャレンジャー」からスタート “10番”堂安律は一発を見せられるか

2023年11月16日(木)11時58分 サッカーキング

日本代表MF堂安律 [写真]=Getty Images

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 2006年のワールドカップアジア1次予選オマーン戦での久保竜彦の決勝弾、2014年アジア3次予選での北朝鮮戦の吉田麻也のアディショナルタイム劇的弾、2018年アジア2次予選初戦でのシンガポール戦のまさかのスコアレスドローなど、過去のワールドカップ予選初陣では毎回のように苦戦を強いられてきた日本代表。だが、FIFAワールドカップ26優勝を本気で目指している今の森保ジャパンは同じ轍を踏んではいけない。

 16日に2次予選初戦となるミャンマー戦を迎えるが、6月のエルサルバドル戦から6連勝という快進撃を見せている集団らしく、格下を圧倒するような強さを示し、好スタートを切りたいものである。

 公式戦では慎重なスタンスを崩さない森保一監督だけに、今回のメンバーは計算できる面々を起用してくるはず。右MFに関しては、9〜10月に3点を固め取りしている伊東純也の先発が濃厚。親知らずの治療で10月シリーズ選外となり、2カ月ぶりに戻ってきた堂安律はベンチからスタートすることになりそうだ。

 4年前の2019年9月のFIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選初戦のミャンマー戦。堂安律はスタメンで右MFに陣取っていた。第1次森保ジャパン発足時から南野拓実中島翔哉との2列目トリオが攻撃の主軸と位置づけられていたからだ。しかし、当時所属していたPSVで出場機会が徐々に減り、代表の序列が低下。最終予選の時点では伊東に完全にポジションを奪われ、ワールドカップ出場切符を獲得した2022年3月シリーズでは選外という屈辱を味わっている。

 そんな前回とは違い、今回の予選は「チャレンジャー」として再出発することになる。

「そっちの方が自分の性に合ってるかなと。チャレンジ精神を持って今までやってきましたし、一度も自分が『天才』だと思ってキャリアを歩んできた覚えがないから。調子が悪かったりしても、『なんか堂安はやってくれるんじゃないか』とみんなが思ってくれてるんじゃないかって勝手に考えてるんで、そういう期待を持たせられる選手になりたい」と、15日の前日練習終了後、不敵な笑みを浮かべていた。

 6月から正式に背番号10を背負い、第2次森保ジャパンの看板の1人と位置付けられたが、今は思うように出番を増やせないジレンマにあえいでいる。9月のドイツ、トルコとの2連戦もピッチに立ったのは合計90分に満たなかった。その扱いと10番のバランスの難しさに苛立ったのか、報道陣の問いかけにも答えずに去って行ったほどだ。

「感情がそのまま出ちゃうタイプなので、理解してもらえたら(苦笑)。でも10月に代表を離れていろいろ考えを整理しました。先月、10番が不在なのはテレビを見ていても分かったし、ひしひしとメッセージを受け取ったつもりなので。ただ、毎回言ってますけど、敵は常に自分自身で、同じポジションの選手ではない。自分の焦点を合わせてやっていけば、理想の選手になれると思う。そう言い聞かせてます」と堂安はメンタル面をリセットして代表に戻ってきたという。

 もちろんジョーカーとして居続けるつもりはない。選手である以上、先発で出たいし、結果を残したいという気持ちは誰よりも強い。だが、短時間でも結果を出せる選手だということは、カタールでのドイツ、スペイン戦の2ゴールが証明している。

 10月21日のボーフム戦のヘディング弾を見ても分かる通り、間違いなく今の堂安は本来のゴール前の凄みを取り戻しつつある。本人も自信を取り戻した様子だ。

「10月の代表前はクラブでも試合に出たり出なかったりで、コンディション的にも良くなかったですけど、あの後から状態も上がってきて、結果も少しずつ出るようになっている。風向きが変わってきていると思います。アジア予選は個の力がかなり必要になってくる。引かれた相手にどれだけ剥がせるかがすごく大事。あと欧州にいて感じるのは、本当にシュートのうまい選手は引かれた相手にミドルだったり、ワンチャンスをモノにできる。ボックスで仕事ができる選手は絶対に必要になると思います」

 まさにそれが堂安律である。ここ一番で驚異的な決定力を発揮できる男は膠着状態に陥りがちなアジア予選には不可欠だ。試合出場時間が少なかったとしても、目に見える大仕事を見せ続ければ、森保監督の信頼はグッと上がるし、最終的にスタメンをつかむところまで行くはず。とにかく今の堂安は「ゴールという結果」で実力と存在価値を示していくしかないのだ。

 今回のミャンマー戦の会場はアカデミー時代から過ごしたガンバ大阪の本拠地パナソニックスタジアム吹田だ。

「ここでの代表戦ではまだ点を取っていないので、そろそろ決めたい」と気合を入れた堂安。その言葉通りのゴールを多くのサポーターの前で奪い、日本の好発進につなげてほしいものである。

取材・文=元川悦子

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