ロボレース、最新開発車『DevBot 2.0』公開。2020年まではドライバーも搭乗、完全無人戦は先送り

2018年11月17日(土)7時0分 AUTOSPORT web

 ABBフォーミュラE選手権の併催イベントとしてAI(人工知能)による無人レースカー・シリーズ開催を目指しているロボレースは、これまで開発に使用してきた“DevBot”のアップデート・モデル“DevBot2.0”を公開。また、当初の計画とは異なり、開催初年度から2シーズンはドライバーも搭乗する形でのレース開催を目指すプランを明らかにした。


 披露されたDevBot2.0は従来のデザインコンセプトを引き継ぎつつ、現在のLMPカーにインスパイアされたプロトタイプ然としたルックスに変化。スタイリングのアップデートとともにハードウェア面でも、全輪駆動の4WDから後輪駆動へと変更され、実際にドライバーが乗り込むコクピットも備えられている。


 2019年春の初年度“シーズン・アルファ”と2020年の第2シーズン“シーズン・ベータ”では、ドライバーとAIが共闘する形での開催が予定されており、各コンビの平均ラップタイムを競う形が採られる予定だ。


 なお、2018年5月にはフォーミュラEドイツ戦の会場で同様の試みが行われており、その動画も公開されている。


 ロボレースのCEOに就任している2016/17年のフォーミュラE王者であるルーカス・ディ・グラッシは、この方針転換はファンに自動運転レースカーの可能性をいち早く披露するための決断だったと説明した。


「我々は当初目標を変更することに決めた。当初の計画では無人のロボカーのみでのレースを目指していた。しかし、ドライバーによる運転技術との差を明確化する意味でも、人間と自律運転が同時にレースを行う方法も悪くないと考えたんだ」とディ・グラッシ。


「もっとも重要な点は、たとえ自動運転のみのシリーズになったとしても、そこには人間の頭脳や英知、技術が介在していなくてはならない、ということだ。それこそ、機械と人間がともに戦うモータースポーツのあるべき姿だからね」

2017年発表の無人ロボカー(手前)に対し、LMPのようなキャビンを備えるデザインに進化した”DevBot 2.0″
ドライバー操縦のマシンとレースを戦うことで、自律運転のAI学習効果を高める狙いか


 ディ・グラッシによると、現在ロボレースでは「6〜7台」の新車を製造中であるものの、無人の完全自律によるサイド・バイ・サイドのレースを実現できる人工知能フォーマットの完成には、今しばらくの時間を要するという。


 そのため、まず最初の“アルファ”と“ベータ”の2シーズンではドライバーのレースクラフトを学習させ、2021年には「完全なロボカー」によるレースフォーマットに切り替えることを決め、その際に初めて、2017年に発表した運転席を持たない完全自律型のユニークなマシンが登場することになる。


 さらにディ・グラッシによれば、この無人レースカーでも「人間による操縦の余地」は残されるとし、登場するクルマは「2017年発表のロボカーと、今回のDevBot 2.0を融合させたような姿」になる可能性も示唆。


 最終進化形となる2021年モデルには4輪すべてにモーターを配し、完全なトルクベクタリング制御を実現すると同時に総合1000kW(1341PS)以上の出力を誇るレースカーになるという。


 またロボレースがハードウェアの供給とシリーズのロジスティクスをメインに担当することによりコストを抑え、競技に参加する主体となるチームは、ソフトウェアを中心とした技術開発に集中できる環境を整え、技術革新をより促すことを目指している。


 これにより、マニュファクチャラーやベンチャーのみならず、大学の研究チームや個人のエンジニアがレーシングアルゴリズム開発に参加し、集中的な進化を目指す枠組みが実現するはずだとディ・グラッシ。


 最初の2シーズンにはすでに2チームが参加申請を行っていることも明かされ、初年度のカレンダーは2018年中にもアナウンスするとしている。

度々デモンストレーションを披露してきたRoborace(ロボレース)だが、クラッシュを喫するなど課題も残されていた
電動モーターや自律運転のコンポーネントをLMP3シャシーに組み込んだミュールカーでテストを重ねてきた


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