豪華ゲスト参戦の耐久戦はネストール・ジロラミ組シビックが制覇/TCRサウスアメリカ第6戦

2021年11月17日(水)12時35分 AUTOSPORT web

 11月12〜13日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの元F1トラック、オスカー・ファン・ガルベスで争われたTCRサウスアメリカ・シリーズの第6戦は、今季7月開催の第2戦同様に160kmの耐久戦が実施された。


 その前戦同様に、週末に向けてWTCR世界ツーリングカー・カップ参戦中のゲストドライバーらが駆けつけるなか、ラファエル・レイス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/W2レーシング)とタッグを組んだネストール・ジロラミ組が、同じくシビックを走らせるファン-アンヘル・ロッソとマティアス・ミラのスクアドラ・マルティーノ組や、ホセ-マヌエル・サパーグ/エステバン・グエリエリ組を撃破。ホンダ・シビック対決を制して勝利を飾っている。


 10月末の第5戦からアルゼンチンに舞台を移したTCRサウスアメリカは、シーズンフィナーレまでの終盤4戦を同国内で消化する変則カレンダーを強いられており、このブエノスアイレスでの“エンデュランス戦”を経て、コルドバのオスカー・カバレンから現状開催地未定の最終戦へと、都合4戦が同国内で開催されるスケジュールが確定している。


 そのうちシリーズの特徴的な試みとして、コドライバー登録によりピット作業時のドライバー交代を盛り込んだ年間2戦の耐久レースが組み込まれており、その2度目のエンデュランス戦に向け、再びWTCRからの強力助っ人ドライバーたちが招集された。


 今回もアウディRS3 LMSに乗ることが決まったトム・コロネルは、こちらも今季初年度を終えた電動ツーリングカー『ピュアETCR』にレギュラー参戦したロドリゴ・バプティスタ(アウディRS3 LMS/コブラ・レーシング)にジョイントし、初代アウディRS3 LMSをシェア。


 さらに前述のとおり母国の英雄グエリエリはTCRヨーロッパへの参戦経験も持つホセ-マヌエル・サパーグとタッグを組み、ジロラミはW2レーシングの開幕勝者ラファエル・レイスと提携するなど、WTCR組は第2戦と同じペアリングが採用された。


 一方、シリーズ初年度前半戦から選手権を牽引してきたぺぺ・オリオラ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/W2レーシング)は、TCRヨーロッパ参戦時に在籍したブルータル・フィッシュ・レーシング代表でもあるマーティン・ライバに白羽の矢を立て、旧知の元雇い主とともにポイントリーダーの座を守る勝負に挑んだ。


 この構成によりレギュラードライバー15分、ゲスト15分のコンバインド・フォーマットが採用された予選ではホンダ・シビック勢が速さを見せ、同国を代表するツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)に参戦中のロッソ/ミラ組のシビックがポールポジションを獲得。


 フロントロウ2番手には、わずか0.008秒の僅差でサパーグ/グエリエリ組が並び、レイス/ジロラミ組まで上位3台をホンダ勢がロックアウト。2列目4番手にバプティスタ/コロネル組のアウディが続き、オリオラ/ライバ組はポールタイムから1.3秒遅れの5番手から、巻き返しを図ることとなった。

WTCR世界ツーリングカー・カップ参戦組のみならず、地元スーパーTC2000(STC2000)のレギュラー勢も多数エントリーした
予選から猛威を奮ったのがFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR勢。序盤から首位浮上を果たしたネストール・ジロラミ組が主導権を握る


■母国GP制覇のジロラミ「ブエノスアイレスでの勝利は格別」


 現地土曜の16時からスタートした最大レース時間60分、ドライバー交代が義務付けられた40周の勝負は、スタートドライバーを担当したポールシッターのミラが、同じくSTC2000にも参戦中のサパーグを封じてホールショット。ルノースポール・カストロール・チームのフルーエンスGTから、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRへの乗り換えにも見事に順応してみせる。


 するとその後方からさらなるチャージを見せたのがジロラミのシビックで、オープニングラップ終盤にサパーグを捉えて2番手に上がると、その2周後にはミラも捕まえ、早くも首位浮上に成功する。


 一方、12周目のターン3でワイドになるミスを犯したサパーグは5番手に後退。その直後の15周目にはドライバー交代のウインドウが開き、17周目にはサパーグからグエリエリへ、続くラップにはミラからロッソ、ライバからオリオラ、バプティスタからコロネルと、次々にピットへ飛び込んでくる。


 この動きを横目に、ちょうどレース折り返しの20周まで引っ張ったジロラミは、レイスを首位でコースへと送り返すことに成功。これが決定打となり、母国アルゼンチンでTCRサウスアメリカ・シリーズ初優勝を挙げることとなった。


「金曜のレースシミュレーションが勝利のポイントになった。予選には焦点を合わせず、タイヤがなくなる限界を見極めたんだ。ここでタイヤの温度と劣化のデータを取得できたことが勝因だね」と、ゲスト側ながらスタートドライバーを担当したジロラミ。


「ラファエル(・レイス)が作戦を完遂するには、5秒のマージンが必要だった。予選位置よりレースペースが重要なことは明らかだったからね。そしてなにより、ブエノスアイレスでの勝利は格別だ。地元ファンの前で、WTCRと同じシビックに乗って勝つことができたなんてスペシャルだし、アルゼンチンのモータースポーツにとって新しい時代の幕開けだ」と続けたジロラミ。


「ホセ-マリア・ロペスに始まり、現在はエステバン(・グエリエリ)と僕、そして今季はTCRヨーロッパに参戦した弟のフランコなど、ここから多くの国際的ツーリングカー乗りの才能を送り出せている。アルゼンチンの若いドライバーに、この流れと勢いをフォローしてもらえたら最高だ」


 4位のバプティスタ/コロネル組に続き、5位まで挽回したレイス/オリオラ組は、198点でオリオラが選手権トップに留まり、同190点でバプティスタ、182点でレイスが続くオーダーに。続くTCRサウスアメリカ第7戦は、12月4〜5日に同国のアウトドローモ・オスカー・ファン・カバレンで開催される。

160km耐久戦初代勝者のロドリゴ・バプティスタ/トム・コロネル組(アウディRS3 LMS/Cobra Racing)は4位に
「アルゼンチンのモータースポーツにとって新しい時代の幕開けだ」と語った勝者ジロラミ(左)

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