Mスポーツ、複数年契約のブリーンを1年で放出「競争力のあるラインアップ確保に目を向ける」

2022年11月17日(木)19時25分 AUTOSPORT web

 Mスポーツ・フォードWRTは11月17日、同チームのフルタイムドライバーとして2022年シーズンのWRC世界ラリー選手権を戦ったクレイグ・ブリーンとの契約を1年早く終了させ、双方の友好的な決定のうえで2023年は異なる道を進むことを確認した。


 ブリーンは昨年、ヒョンデからMスポーツ・フォードへ電撃移籍。イギリスの名門チームと複数年契約を結んだ。チームのエースドライバーとして迎えられた彼は、開幕戦モンテカルロで3位表彰台を獲得し、イタリアでは自己ベストリザルトとあんる2位となりふたたび表彰台に登った。


 しかし、ポディウムフィニッシュはこの2回に留まり、全13戦を通じてシーズン開幕前に期待された初勝利は飾れず。安定した結果という意味でも精彩を欠き、ポイントランキングでは僚友のガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)に対しては2倍近くの選手権ポイントを獲得したが、計6戦にスポット参戦したセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)には敗れランキング7位に終わった。


 この結果を受けて、Mスポーツは新しいチームリーダーを探すために32歳のアイルランド人との別れを決断した。一方でチームは、Mスポーツで多くのキャリアを積んだブリーンが、同グループの“ラダー・オブ・オポチュニティ”を通じて若手ドライバーが利用できる道と機会を体現しているとし、彼と彼の新しいコドライバーであるジェームス・フルトンの将来の幸運を願っている。


「クレイグ(・ブリーン)と一緒に仕事をするのは楽しかった。個人的には、多くのハードワークの末に彼とポール(・ネーグル)をチームに迎え入れることができたことが、とても嬉しかった」と語るのは、チーム代表のリチャード・ミルナー。


「私たちは皆、そこにあるポテンシャルを知っていたと思うし、彼がセバスチャン・ローブとともにチームにもたらした2回の表彰台をはじめ、この1年で得た多くのハイスコアを私はずっと覚えていることだろう。しかし、残念ながら、時にはうまくいかないこともあり、それが我々の直面している現実だ」


「クレイグは非常に才能のあるドライバーであり、彼のキャリアはまだまだ続くと信じているが、チームは2023年に向けて新しいアプローチが必要だと感じている。クレイグとジェームスの今後の幸運を祈るとともに、来シーズンに向けて『プーマ・ラリー1』のために競争力のあるラインナップを確保することに目を向けている」

2022年WRC第5戦イタリアで総合2位となったクレイグ・ブリーン/ポール・ネイグル組(フォード・プーマ・ラリー1)
WRC最終戦ラリージャパンではデイ2のSS4でクラッシュを喫したクレイグ・ブリーン。再出走後、総合26位でフィニッシュした。


■ブリーン「Mスポーツには本当の家族のような雰囲気がある」


 Mスポーツの創設者でありマネージングディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは、自身の組織が育てたブリーンがフォードでWRC初優勝を挙げることを期待していたと述べた。


「チームでの1年について、クレイグに感謝したい。彼はシーズンを通して2回の表彰台と、さまざまな路面でのステージ優勝という堅実な結果を残したが、残念ながら2023年に向けてチームをリードするための一貫性はなかった」とウィルソン。


「私は、Mスポーツが彼を今日のようなドライバーに育て上げたことを誇りに思っている。そして私たちは、彼がフォードでWRC初勝利を挙げることを期待していた。残念ながらそれは叶わなかったが、彼の成功と将来の活躍を祈っている」


 対するブリーンも、「Mスポーツとチームの皆が、僕のためにしてくれたすべてのことに深く感謝している」と謝辞を述べた。


「2022年は、僕私にとって初のフルタイムドライブとなる重要なシーズンとなり、それをプーマで完走できたことは素晴らしいことだ」


「短い旅ではあったが、一緒に楽しい時間を過ごし笑顔を共有したこともたくさんあった。Mスポーツには本当の家族のような雰囲気があり、それを置いていくのは寂しいだろう」


「このチームの一員であることは素晴らしい経験だったが、最終的には次のステップに進むときが来た。今後はジェームス(・フルトン)とのパートナーシップを築きながら、前を向いて進んでいきたいと思う。来シーズンに向けて、チームの成功を祈っているよ」


 オリバー・ソルベルグのヒョンデ離脱に端を発し、同じくヒョンデのオット・タナクの去就が未定となっている今オフのストーブリーグにおいて、ブリーンとMスポーツの決別がどのような意味を持つのか。また、ブリーンが向かう先はどこなのか、Mスポーツのアドリアン・フルモーの扱い方を含め、なかなか先が見通せないオフシーズンとなっている。

前任コドライバー、ポール・ネイグルのつなぎでラリージャパンに臨んだジェームス・フルトン
旧伊勢神トンネルを走行するフォード・プーマ・ラリー1(クレイグ・ブリーン/ジェームス・フルトン組) 2022年WRC第13戦ラリージャパン

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