天理高校に怪物1年生投手が出現 目標は「高卒即メジャー」

11月21日(木)16時0分 NEWSポストセブン

秋の神宮大会ではベスト4に入った名門・天理高校

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 来春のセンバツ甲子園から、ひとりの投手の投球数を1週間で500球以内にするなどの「球数制限」が導入される予定だ。中京大中京(愛知)が優勝した秋の神宮大会ではセンバツ出場が確実視される各校が、導入を見据えた戦いをみせていた。本番までに複数の投手を育成すべく、継投策を取る高校もあれば、積極的に下級生を起用して底上げを図るチームもあった。そうしたなかで、驚異の1年生投手が登場した。新著『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』が話題のノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。


 * * *

 高校野球の名門・天理(奈良)に、1年生の“怪物”現る——。


 大谷翔平(エンゼルス)の登場以来、長身の豪腕投手に“怪物”の呼称が使われるのは食傷気味であるし、チームでエースでもない高校1年生をそう呼んでしまうことにもためらいがある。ただ、それでも192センチの痩身から角度のあるストレートを投じ、強豪相手にも威風堂々とした立ち居振る舞いを見せる様子は、大谷や高校3年時に163キロを投げた佐々木朗希(大船渡)といった先輩モンスターの姿をつい重ねてしまう。


 名前は達(たつ)孝太。誕生日は2004年3月27日で、もし生まれるのが数日遅ければ、まだ中学3年生という15歳である。


 デビューは鮮烈だった。11月4日の秋季近畿大会決勝で、強打の大阪桐蔭を相手に先発し、初回に一発を浴びたものの、8回途中まで4失点。真上から振り下ろされるMAX141キロの直球を主体に、フォークボール、スライダー、カーブを投じて、天理の5年ぶりの近畿制覇に貢献した。


「初回から飛ばしました。球速は(これまでの自己)最速よりもうちょっと速かったような気がします。相手が相手なんで(笑)、打たれてもいいという覚悟で投げました。緊張はしたんですけど、初回の先頭打者(見逃し三振)で、自分のボールも通用するかなと思いました。ホームランは、相手の力が上だったというだけ。気にしませんでした」


 夏の奈良大会からベンチ入りしてきた達にとって、大阪桐蔭戦が公式戦3試合目の登板で、先発は初めてのこと。しかも、球場入りし、メンバー表交換をし、グラウンドに出てキャッチボールをする直前に先発を聞かされた。同校の中村良二監督によると、余計なことを考えず普段のルーティンに励めるよう、あえて先発を告げなかった。


「心の準備はできていました。ストレートで押せるところは押し、フォークで三振を狙えるところは三振が取れた。調子は良かった。今日の出来は80点です」


 中村監督も達の期待以上の投球にどこか困惑しているようだった。


「ほんと、びっくりです。普段の達を知っていたら、誰も今日のような投球をするとは思っていないと思います。ほんと、信じられません」


 ゆったりとしたモーションから強く腕を振る。マッチ棒のように細い身体が今後、大きくなれば球速はグッと増していくだろう。投球フォームを参考にするのはダルビッシュ有(カブス)だという。そう聞くと、顔つきもどことなくダルに似ているように見えてくる。


「よく言われます(笑)」(達)


 現時点からダルビッシュと同じ舞台に立つことを夢見ている。


「将来は、メジャーしか考えていません。できたら、高校卒業後、すぐに」


 記憶する限り、高卒即メジャーのプランを高校1年生の段階から口にした球児はひとりもいない。


 達にとって2試合目の先発となったのが、神宮大会の準決勝・中京大中京戦だった。初回から天理が得点を重ねれば、達が失点する展開が続き、8対5と天理がリードして迎えた8回裏——。達が無死一、二塁のピンチを招いたところで、降板となった。


 冷え込みのせいか大阪桐蔭戦に比べて真っ直ぐの球速が出ておらず、130キロ前後にとどまった。制球も不安定で、7四球を与えた。


「いつものマウンドと比べて、(神宮球場は)赤土で、マウンドが固くて、感覚がぜんぜん掴めなかったです。ストレートが良くなかったので、今日は変化球主体でした」


 達が降板したあとに天理は中京大中京に逆転を許し、秋の日本一には届かなかった(延長10回9対10で敗戦)。達は今冬の課題をこう話した。


「もっと体重を増やしたいです。スピードとコントロールのためにも。球速は高校3年間で最低でも151キロには到達したいです」


 近畿を制し、神宮大会に出場したことで、来春の選抜出場はほぼ確実だ。神宮大会で背番号「18」をつけた達は、チーム内では2番手、3番手の先発投手に位置づけられる。来春のセンバツからは、「球数制限」が導入されることもあり、頂点を目指す上では、マウンドを任せられる投手を複数育てることが絶対条件となる。達の成長が、天理を全国制覇に近づけることだろう。

NEWSポストセブン

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