メルセデスF1、レッドブルが恐れる“ロケットエンジン”をサウジアラビアで使用へ。高速サーキットで威力を発揮するか

2021年11月24日(水)7時57分 AUTOSPORT web

 メルセデスは、F1第21戦サウジアラビアGPで勝利を狙うため、ルイス・ハミルトンに最も走行距離が少ないエンジンを使用させると述べている。


 ハミルトン車にはブラジルGPで新しいICE(エンジン)が入れられた。メルセデスのエンジンは新しいうちは非常にパワフルで、メルセデス自体が認めているように、その後大幅にパワーが落ちていく。ブラジルでハミルトンはフレッシュエンジンのアドバンテージを生かし、スプリント予選では最後尾から5番手までポジションアップ、決勝では10番グリッドから優勝を勝ち取った。


  メルセデスとタイトルを争うレッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、ブラジルGP後、このエンジンを“ロケットエンジン”と呼び、その強力さを恐れていた。


「メルセデスのあんなロケットエンジンはこれまで見たことがない」とマルコは『F1-Insider』に対して語った。


「ハミルトンがカタール、その後のサウジアラビアとアブダビでも圧倒的速さを見せるなら、我々はタイトル獲得を諦めなければならない可能性もある」


 メルセデスは、この最も走行距離の少ないエンジンを第20戦カタールGPでは使用せず、サウジアラビアに持ち込むプランを立てた。それでもハミルトンはカタールGPでポール・トゥ・ウインを飾っている。

2021年F1第20戦カタールGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝


 今年初のサウジアラビアGPのために現在も工事が進められているジェッダ・ストリート・サーキットは、全長6.175km、27のコーナーを持つコースで、F1史上最速のストリートサーキットになると言われている。


「サウジのコース特性からして、このサーキットは我々に適しているものと考えている」とメルセデスのトラックサイドエンジニア、アンドリュー・ショブリンは言う。


「我々はルイス用に、よりパワフルなエンジンを持っている。彼にとって有益なエンジンになるだろう」


「我々は現在、2基(のパワーユニット)で戦っている。ここ(カタール)では、サーキットの特性を考えて、パワーのない方を使った。そういう面では良い状況であると思う」


 メルセデス代表トト・ウォルフは「サウジのサーキットは我々との相性がいいと思っている。ただ、今年は相性がいいと思っていてもその逆になることもある」と『Sky Sports』に対してコメントした。


「サウジアラビアにはロングストレートがあるので、スパイシーな装備、つまりエンジンを持ち出すことになるだろう」


 ショブリンは、自信を過剰に持つことは避け、入念な準備を整えてサウジアラビアに臨むと語った。


「すべてが自分たちの思うとおりになると考えてレースに臨むことには、常に慎重を期している」


「今分かっていることは、正しいセットアップを施し、タイヤを適切に使い、タイヤの機能を把握する必要があるということだ。今後の数日は忙しくなるだろう。現地(サウジアラビア)に良い状態で到着できるよう、すべてのチャンスを活用しなければならない」


「初めてのサーキットの場合、最初から良い状態で臨むことは、学習曲線の面で非常に大きな意味を持つ。最初からマシンの状態が良ければ、それを改善していけばいいからだ」


 残り2戦の段階で、ドライバーズ選手権でハミルトンはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)から8点差の2位、コンストラクターズ選手権ではメルセデスは首位を維持しているものの、レッドブルとの差はわずか5点となっている。

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