バニャイア、15番手でQ2ダイレクト進出を逃すも漂う落ち着き。後追いにも「いつものことさ」/第20戦バレンシアGP

2023年11月25日(土)7時50分 AUTOSPORT web

 MotoGP第20戦バレンシアGPの初日プラクティスで、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が15番手に終わった。Q2へのダイレクト進出を逃したのだ。だが、バニャイアは落ち着いていた。どこが改善点なのかを知り、それに向けてフォーカスしていた。


 2023年シーズン、MotoGPクラスのチャンピオン争いは、最終戦バレンシアGPにまで持ち越された。ランキングトップはフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)。ランキング2番手はホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)。ドゥカティのファクトリーライダーとサテライトチームライダーによる争いとなったわけである。


 シーズン終盤に入って拮抗していた両者のポイント差は、しかし、カタールGP決勝レースでバニャイアが2位を獲得し、マルティンが10位に終わったことで、21ポイントとなった。残り1戦、スプリントレースで優勝して12ポイント、決勝レースで優勝して25ポイントを獲得できると考えても、大きな差だ。


 しかし、Q2ダイレクト進出が決まる金曜日午後のプラクティスを終えてみれば、マルティンが2番手、バニャイアは15番手。バニャイアはQ2へのダイレクト進出を逃す結果となったのである。


「走り出しから難しい1日だった」と、セッション後の囲み取材で、バニャイアは最終戦初日を振り返った。


「フリープラクティス1の最初は少しブレーキングに苦しんだ。そのあと違うものを入れたらフィーリングはよくなったよ。ただ、今日、コーナー進入で僕のフィーリングはベストではなかった。常にかなりロックしていたし、フィーリングが少し欠けていたんだ」


「タイムアタックのあと、データをチェックすると、三つのコーナーで0.5秒、遅れていることがわかったんだ。だから、どこを改善すべきかを理解するのは簡単だった。といっても、コーナー三つで0.5秒というのはかなり大きなロス。明日に向けて改善するわけだけど、いつもなら時間があって、金曜日には仕事を終えているところだ。だから、明日の午前中はとても重要なセッションになるだろうね」


 さかのぼること1年前、2022年も最終戦までチャンピオン争いがもつれ込み、バニャイアはその役者の一人だった。当時のランキング2番手はファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)で、二人の差は23ポイント。初めてタイトル獲得に挑戦した昨季と、2度目の戴冠をねらう今季、感じるプレッシャーに違いはあるのか、と問われたバニャイアは「今のほうがいいね」と答えていた。


「今はまだ、自分のフィーリングを改善しようと考えているからかもしれない。でも、去年はすごくプレッシャーに苦しんでいて、とてもナーバスになっていた。今日、僕は問題ややらなければならないことを受け入れた。データでたくさんの周回をチェックしたんだ。3つのコーナーのタイムを改善すれば、あとは問題ない。それがとてもうれしいし、素晴らしいことだと思う」


 ちなみに、プラクティスの特に終盤では、マルティンがピットアウトのときからバニャイアの背後にぴたりとつけ、オーバーランをしたときでさえ一緒にコースアウトする一幕もあるほど、徹底して後追い走行を行っていたのだが、バニャイアはあまり気にしていないようだった。


「(誰かが後ろにつくのは)いつものことさ」と、落ち着いた様子である。


「ホルヘは(スプリントレースと決勝レース)2レースで勝たないといけない、と言っていた。自分がやるべきことについて考えるようになれば、うまくいくと思うんだけど。こういうことは、集中する時間を失うことになる。実際に、(マルティンがプラクティスで)いちばん速いわけじゃないからね」


 マルティンが徹底したバニャイアへのマークは、土曜日の予選、そしてスプリントレースに影響をもたらすのか。コメントを聞く限りでは、バニャイアはあくまでも自分のやるべきことに集中しており、「三つのコーナーでロスしている0.5秒」が改善されれば、その強さは揺るがないようにも思われるのだが、果たして。

プラクティス終盤、マルティンはバニャイアの背後について走行し続けていた

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