紀平梨花はロシア勢に勝つことを「あきらめてない」。強化ポイントは?

11月25日(月)7時0分 Sportiva


フリーではトリプルアクセルを2本成功させた紀平梨花

 グランプリ(GP)シリーズ第6戦NHK杯女子シングル。昨季GPファイナル女王の紀平梨花は、同ジュニアGPファイナル女王のアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)に敗れ、総合2位に終わった。

 フリーでの紀平は、完璧なトリプルアクセルを連続ジャンプと単独の2本成功させて151.95点をマーク。合計231.84点の今季のシーズンベストだった。一方、コストルナヤは同じく連続ジャンプと単独のトリプルアクセルを跳び、単独ジャンプでは着氷が大きく乱れて出来ばえ点(GOE)で2.74点の減点を取られながら、他のエレメンツで高いGOE加点をもらった。フリー154.96点、合計240.00点を叩き出して大会初優勝、GP2連勝を飾った。合計得点は世界歴代2位の高得点だった。

 演技直後の紀平は、右拳を突き上げるガッツポーズを見せたほど、ほぼノーミスの演技だった。それでも勢いづくコストルナヤを逆転することはできなかった。

「SP(ショートプログラム)、フリーともにしっかり集中でき、ほぼ自己ベストに近い演技ができた試合だったし、トリプルアクセルが2本ともいいものが跳べたのでよかったです。ただ、今回はSPもフリーも、自分の中ではいい演技はできたんですけど、少しミスがあったところがあったし、それがなくても1位にはなれなかったと思うほど厳しい戦いでした。

 ジャンプやスケーティング、スピンでもたくさんの(GOE)加点がつく演技を目指して、(次の大会では)優勝も狙えるようにもっともっと高いレベルを狙いたいです」

 スケートカナダに続き、このNHK杯でもロシアの新鋭の後塵を拝した結果となった。9月のオータムクラシック前に痛めた左足首がまだ完治していない紀平のジャンプ構成には3回転ルッツが入っていない。ルッツ以外のジャンプにはいまのところ支障がなく、痛みもないそうだが、痛みが出るルッツジャンプは回避せざるを得ない。このため、たとえ完璧な演技をしても、同じくトリプルアクセルを武器にするコストルナヤとは、技術点で最初から後れを取っていた。

 紀平もGOEで加点を取るジャンプやスピンを見せたが、ステップで最高レベル4を取りこぼしてレベル3にとどまったり、基礎点が1.1倍となるプログラム後半に跳んだ連続ジャンプの2つ目の3回転トーループで回転不足を取られたりして、技術点で肉薄することができなかった。それでも、演技構成点では72.52点をマークして、コストルナヤの72.35点をわずかに上回ってみせた。

「昨年(のNHK杯)もいいフリーができたけど、それ以上に今年はいいフリーの演技を見せられた。ここ最近は、ジャンプの着氷が大きなマイナスになることが少なくなってきたので、もっと加点がつくようなジャンプを跳べるようにしたい。トリプルアクセルは着氷もよくなり、集中して跳ぶことができれば安定してきたと思うので、そこは(1年前よりも)成長したと思いますし、自信になりました」

 今大会では、今後フリープログラムに組み込む予定という4回転サルコウに挑戦する可能性があった。SPで5.15点差の2位発進となった紀平が逆転を狙うには、同じトリプルアクセルジャンパーのコストルナヤが跳んでいない4回転サルコウに挑んで成功させることが一番の近道だったからだ。

 ただ、今大会の最大目標は、表彰台に上って2年連続となるGPファイナル進出を決めることだった。24日の一夜明けの会見では、舞台裏での葛藤をこう明かした。

「自分の予定ではやるつもりでした。やりたかったんですけど、冷静に考えてミスだけはしたくないと思ったので、練習不足の内容をするより、しっかり練習してきたことをするほうがノーミス演技ができると思ったので、しっかりといまの自分を見つめ直し、『やめておけ』という判断を最後の最後でしました」

 フリー直前には、濱田美栄コーチから「GPファイナルへ、堅くいこう」と、言葉を掛けられた。ミスが許されない演技をするためには4回転サルコウを跳ばないという判断を、演技の前に決めたという。

 今大会では跳ばなかったが、女子フィギュアが4回転時代に突入した以上、優勝争いをするには必要不可欠なジャンプになることは間違いないだろう。だからこそ、紀平本人も濱田コーチも、慌てずにじっくりと4回転サルコウの習得に励んでいるのだ。

「4回転サルコウを今回は入れられなかったので、もっと自信を持って安定したジャンプにして、入れていけるようにしっかり練習していきたいです」

 今季一番の厳しい戦いになると紀平自身が予想するGPファイナルでは、4回転サルコウを含め、ジャンプの完成度を高めてGOE加点の勝負に持ち込み、ミスのない完璧な演技を目指す。それしか、4回転を武器とするアンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソや、NHK杯で圧倒的な演技を見せつけられたコストルナヤに勝つ道はない。

「今年のGPファイナルでは、昨年の演技をしても優勝には届かないと思う。だから、自分に満足せず、これからも1位を狙っていけるようにしたいと強く思ったし、SPでもフリーでも加点がつくようなジャンプを、4回転も含めてすべてで跳びたいです。スピンもスケーティングもまだ足りないし、もっと体力をつけて、ロシアの選手が出した世界最高得点に近づけるように、ファイナルではその点数を狙っていきたいです」

 12月5日にイタリアのトリノで開幕するGPファイナルについて、前回の女王はこう意気込みを語った。

「本当に完成度の勝負になるので、しっかりクリーンな演技がしたいです。SP、フリーで自己ベストを更新して表彰台に上がれるように頑張りたいです。NHK杯は自分の中で満足いく演技だったけど、それでも全然勝てないと感じた試合だった。ケガはまだ治っていないんですけど、安定した演技を見せるだけでは勝てないと思うので、ジャンプやスケーティング、スピンなど、すべてにおいて自分のレベルを上げていかなければいけないと感じました。(ロシア勢に迫る)自信があるかはわからないです。でも、あきらめていないので、やれる状態にできるようにしっかりやっていきたいです」

 敗戦の悔しさは次なるモチベーションにもなる。紀平のさらなる努力が花開くことを期待したい。

Sportiva

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