【角田裕毅F1第23戦分析】トラックポジションも問題なし。コーナーごとの細かなデフ調整も自己最高グリッド獲得に繋がる

2023年11月26日(日)11時48分 AUTOSPORT web

 角田裕毅(アルファタウリ)がF1最終戦アブダビGPの予選で6番手を獲得した。角田のF1での予選最高位は、2021年オーストリアGPの7番手だった。今回はそれを上回り、自己ベストの予選結果となった。


 この背景には、アルファタウリがアブダビGPに投入したアップデートがあることは間違いないが、それだけが理由でないことは、チームメイトのダニエル・リカルドが15番手に終わっていることでもわかる。


 リカルドはQ2敗退後、こう語っていた。


「ユウキがQ3へ進出したことを考えれば、このクルマには間違いなく、そのポテンシャルがあるんだけど、コーナーごとにちょっとアンダーステアだったり、オーバーステアがあってね。すごくタイムが接近していたから、そのちょっとした差でQ3進出を逃したという感じなんだ」


 リカルドのQ2のタイムは1分24秒442で、角田は1分24秒207。その差はコンマ2秒だった。

2023年F1第23戦アブダビGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)


 角田も実は、コーナーでのマシンバランスに苦労していた。


「今回のアップデートは全体のパフォーマンスとしては前進しているんですけど、クルマのバランスに関しては安定していないので、コーナーごとに調整が必要でした」


 そのため、角田は予選中、常にレースエンジニアのマティア・スピニと無線でデフの調整を細かく行っていた。


 マシンバランス以外でも、今回の予選では角田はレースエンジニアとのコミュニケーションを密に取っていた。


「予選前にエンジニアと、ここはトラックポジションが重要だから、気をつけようと話し合っていました。その結果、今回はどのアタックもトラックポジションがいい状態でコースに送り出してくれました」

2023年F1第23戦アブダビGP 角田裕毅(アルファタウリ)


 さらにQ3では、アタックを新品タイヤの1回で行くか、ユーズドも使用して2回にするかを話し合っていた。通常は2回だが、それを選択した場合、ほかのドライバーとアタックするタイミングが重なる。もし、確実にクリーンなアタックをしたければ、ライバルたちが1回目のアタックを終えた後に、新品タイヤで出ていったほうがいい。


 角田が少し悩んでいると、スピニはこうアドバイスした。


「ユーズドで1回バランスを確認して、リズムをキープした状態で、新品タイヤで2回目のアタックをしたほうがいいと思う」


 そのアドバイスが功を奏し、Q3の2回目のアタックで自己ベストタイムを更新して、6番手を獲得。アタック後、角田が「P7?」と無線で尋ねると、エンジニアは「P6だよ」と返した。


 それを聞いた角田は、こう言ってピットへ向かった。


「やったね、みんなありがとう」


 今回の予選自己最高位は、速さだけでなく、角田というドライバーがいかに成長しているかをよく表した結果だったと言える。

2023年F1第23戦アブダビGP ダニエル・リカルド&角田裕毅(アルファタウリ)

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