あまりにもショッキングな敗戦。それでもレッズの戦いは終わらない

11月26日(火)5時50分 Sportiva

  手も足も出なかった。こちらの出来が悪かったというより、とにかく相手が強かった。負け惜しみを言うことすら難しい。

3度目のアジア制覇を目指した浦和レッズは、AFCチャンピオンズリーグ決勝でアル・ヒラル(サウジアラビア)と対戦。アウェーでの第1戦を0−1で落としていた浦和は、ホームでの第2戦で逆転優勝を狙ったが、0−2であえなく返り討ちに遭った。

 ヨーロッパや南米のチームが相手ならともかく、アジア勢を相手に、ショッキングなまでの完敗である。


ACL決勝で完敗を喫した浦和レッズ

 アル・ヒラルが勝利した第1戦を見る限り、両者の実力差は明らかだった。浦和は再三の大ピンチをしのぎ、どうにか最少失点で食い止めたが、試合内容はアル・ヒラルの圧倒的優勢だった。

 だが、ホーム&アウェーのセオリーに照らせば、1点のビハインドでホームでの第2戦に臨む状況は、それほど悪いものではない。ホームに戻れば、埼玉スタジアムの大声援という後押しもある。希望的観測も含め、アウェーゲームほど一方的な展開にはならないのではないか。そんな期待は、少なからずあった。

 浦和にも勝機はある、はずだった。

 しかし、現実は違った。浦和のホームゲームになってもなお、大きな流れが変わることはなかった。アル・ヒラルの猛攻にさらされ続けたDF槙野智章が語る。

「第1戦をやってみて、自分たちができたこと、できなかったことを整理し、準備してきた。出すものはしっかり出したが、技術、フィジカル、すべてにおいてかなり上回られた。ここまで多くのチームと対戦してきたが、なかなかそういうことはなかった。コテンパンにやられてしまった」

 たとえば、中国勢。

 現役ブラジル代表をはじめとする、”外国人助っ人”の力はたしかに脅威だが、言い換えれば、怖いのはそれだけ。周りの中国人選手の能力はさほど高くないうえ、戦術的にも外国人頼みの傾向が強く、一発の怖さはあるものの、それさえ気をつければ、ある意味で戦いやすいチームが多かった。

 あるいは、韓国勢。

 アジアのなかでは、戦術的に整ったチームが多いが、中国勢とは対照的に、こちらは外国人助っ人がパンチ不足。韓国人選手にしても、日本同様、代表の主力クラスはヨーロッパへ渡るケースも多く、個の威力という面では怖さに欠けた。

 浦和が東アジアを勝ち上がる過程において、常に実力で相手を上回っていたわけではないとしても、少なくとも絶望的な力の差を見せつけられることはなかった。

 だが、槙野が言うように、アル・ヒラルはあらゆる点でレベルが違った。

 現役ペルー代表のMFアンドレ・カリージョをはじめとする、強力な外国人助っ人は中国勢にも引けを取らない。また、サウジアラビア人選手にしても、サウジアラビア代表の主力がズラリと並び、技術やスピードはアジアトップレベルだった。

 今年1月のアジアカップでも、日本はサウジと対戦し、1−0で勝利したものの、内容的には押されまくった。今回のアル・ヒラルの先発メンバーのうち、先制ゴールを決めたMFサレム・アルドサリをはじめ、5人がその時の試合にも先発出場している。つまり、アル・ヒラルは実質、サウジアラビア代表に外国人選手を加えたチームと言っていい。

 そのうえ、前線からのプレスでサイドに追い込み、素早いスライドでボールを奪い取る守備といい、巧みなポジショニングでボールを動かす攻撃といい、戦術的にもかなり熟成されていた。DF鈴木大輔が振り返る。

「今までにも個(の力)があるチームはあったが、アル・ヒラルは11人の総合力がすごく高い。個で(マークを)はがす以外の選手の動きも、長く(同じチームで)プレーしいているだけあって、タイミングが合っていた」

 テンポよくボールを動かし、1対1の状況を作ったら、目の前の相手をはがして仕掛ける。浦和の選手が慌ててボールに集まってくれば、フリーの選手へとパス。「後半、カリージョをファールでしか止められなくなり、後手に回って崩された」とは、DF岩波拓也の弁である。

 もちろん、90分間のなかに、浦和のチャンスがなかったわけではない。とくに前半は、立ち上がりの劣勢をしのぐと、徐々に浦和が敵陣に攻め入る回数を増やしていった。

 最大のチャンスは、33分。左サイドに流れたFW興梠慎三が、ドリブル突破で敵陣深くまでえぐり、MF関根貴大のシュートにつなげたシーンだろう。

 だが、たったひとつの好機を取り出して、これが決まっていたら、と嘆くのはフェアな見方ではない。アル・ヒラルには浦和を上回る数のチャンスがあり、それが決まっていれば、もっと一方的なスコアになっていた可能性もある。勝敗に関しては、妥当な結果と認めるしかない。

 第1戦で、アル・ヒラルの強さを実感していた浦和にとって、「(優勝するには)2点が必要だが、1点取れば延長にいける。0−0の時間をいかに長くできるかがカギだった」(岩波)。第2戦はホームゲームだけに、「1−0で延長に入れば、こっちが有利」(鈴木)との計算もあった。

 粘り強く戦って、90分間のどこかで1点を奪う。そのうえで、延長戦も視野に入れての終盤勝負。それが、現実的な狙いだった。

 しかし、公式記録によれば、この試合での浦和のシュート数は4本。後半に限れば、わずかに1本しか打っていない。浦和がこの試合で放った最後のシュートは、後半11分のMFファブリシオのヘディングシュート。つまり、浦和はその後、30分以上にわたり、ゴールを奪うどころか、シュート1本打てていないのである。

 1点を取って延長に持ち込むどころか、0−0で終われれば御の字。それが、実際の試合内容だったのだ。岩波が表情を変えず、淡々と口を開く。

「(2試合合計)180分間戦って、正直に負けを認めないといけない戦いだった」

 とはいえ、J1と合わせた過密日程のなか、浦和はよく決勝まで勝ち上がった。最後は残念な結果になったが、過酷な連戦を乗り越えての3度目の決勝進出は、大いに称えられるべきだろう。

 ただし、浦和の2019年シーズンはこれで終わりではない。

 現在、J1で13位につける浦和は、J2降格となる17位と勝ち点6差。J1参入プレーオフ出場となる16位とは勝ち点4差。残る2試合の結果次第で、J2降格の可能性を残している。MF長澤和輝は言う。

「Jリーグでの立場を全員が理解している。苦しい戦いになるが、頭を切り替えて、責任を持って戦いたい」

 ACLとの兼ね合いが、J1での戦いを苦しくした面はたしかにある。だとしても、それを言い訳にJ2降格が許されるわけではない。J1残留は、アジア制覇以上に失敗が許されないミッションだとも言える。

 今の浦和に、ショッキングな敗戦を引きずっている暇はない。

Sportiva

「レッズ」をもっと詳しく

「レッズ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ