FIA F2フル参戦3年目で掴んだ戴冠。テオ・プルシェール「僕はチャンピオンなんだ、クレイジーだ」
2023年11月27日(月)11時45分 AUTOSPORT web
2023年シーズンのFIA F2ドライバーズタイトルは、テオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)が獲得した。シーズン最終レース終了後、FIA F2チャンピオン会見に臨んだ20歳のフランス人ドライバーは、F1直下のFIA F2でシリーズチャンピオンとなった心境や、FIA F3時代から通算4シーズンを過ごしたARTグランプリへの感謝を口にした。
FIA F2:テオ、おめでとう。FIA F2のチャンピオンになった心境は?
「信じられないよ。正直、自分を誇りに思うし、チームを誇りに思う。そして、この目標を達成するために協力してくれたみんなを誇りに思う。僕は新しいFIA F2チャンピオンなんだ。信じられないよ。さっき(表彰式前の公式映像インタビュー)も言ったようにすごくうれしいし、すごく疲れた。僕のキャリアにとって、とても重要なシーズンだし、重要なタイトルだ。僕はチャンピオンなんだ、それはクレイジーだ」
FIA F2:今回のレースウイークについて。ライバルのフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)に対して25ポイントのアドバンテージを持ってこのラウンドに臨んだけど、金曜日にはF1とFIA F2に乗るというとても忙しい一日を過ごしたね。そんな金曜日の予選は14番手となったけど、そこから決勝に向けてメンタル面ではどのような準備をしたのかい?
「金曜日の予選は簡単ではなかったね。残念ながら僕のドライビングもあまり良くなかったし、クルマにも小さな問題があったんだ。少し水漏れがあって、スプリントレースに向けて一部のパーツを交換しなければならなかった」
「予選はあまりうまくいかず、両レースともに14番手スタートになったことは本当にストレスだった。フレッド(ベスティ)はトップ10に入っていて(予選9番手)、スプリントレースで優勝するチャンスがあることはわかっていた。彼は今シーズン、スプリントレースで何度も優勝しているから、2番手スタートなら勝てるだろうと思ったんだ。だから僕としてはエンツォ(・フィッティパルディ/スプリントレースのポールシッター)や別の誰かに勝ってほしかったのだけれど、リバースグリッドとはいえフレッドに勝ることは本当に難しいということだね」
「今日のレース(フィーチャーレース)はとても、とても、とても、クレイジーだった! すべての周回でハードプッシュしたけど、ミスはしたくなかった。でもフレッドに対してはクレイジーとも言えるほどディフェンスした。彼のタイムを少しでも失わせるためには必要だったんだ。週末全体を振り返れば、両レースともかなりいい走りだったと思う。チームのクルマも素晴らしく良かったからね」
FIA F2:あなたはFIA F2で最年少ポールシッターであり、最年少レースウィナーでもある(編註:2021年第2戦モンテカルロでポール・トゥ・ウイン。当時17歳)。FIA F2でのキャリアをどう総括する?
「FIA F2での3年間はベストを尽くしたと思う。あなたが言ったように、僕は史上最年少のポールシッターであり、史上最年少のレースウィナーであり、あのモナコでも優勝した。ベストを尽くしたよ。2021年にはシーズン中盤にケガもしたね。(2021年第3戦)バクー(のフィーチャーレース)で橈骨を痛めて、欠場はしなかったけれど、翌戦シルバーストンでのレースは本当に大変だった」
「最初の2シーズン(フル参戦初年度の2021年と2年目の2022年)は少し不運だった。特に2年目はマシンに多くの問題があったし、ミスも多かった。2022年は簡単なシーズンではなかったけど、それでもドライバーズランキング2位になった。でも、シリーズタイトルがどうしてもほしかったから、オフシーズンは本当にハードに働いた」
「ARTグランプリは僕のために素晴らしい努力をしてくれた。また、ザウバーアカデミーも同様で、彼らがいなければ僕はここにいなかっただろうし、(FIA F2王者という肩書きのない)ただのリザーブドライバーに過ぎなかっただろう。彼らは僕を信頼してくれているし、僕も彼らを信頼している。そして僕たちは一緒にやり遂げた。それは素晴らしいことだ」
FIA F2:今季で特に印象に残っているレースは?
「(開幕戦の)バーレーンはクレイジーだった。バーレーンは大好きなサーキットのひとつだし、準備は万端だった。予選はクレイジー(編注:2番手マルタンスを0.751秒引き離しポールポジション獲得)だったし、レースでも本当に速かった。特にフィーチャーレースではスタートが完璧で優勝できた。ほとんど完璧な週末だった」
「今シーズンは浮き沈みが激しく、優勝は1回だけだったけど、2回のポールポジションと10回の表彰台という素晴らしい安定感があった。多くのポイントを獲得することが最も重要だからね。また、スパでの週末(第11戦)は、サマーブレイク前にチャンピオンシップ首位を取り戻すために本当に重要だった(編注:第10戦終了時点でベスティがランキング首位につけていた)。精神的にも本当に重要で、この瞬間からチャンピオンシップの主導権をほぼ手中に収めたと確信したんだ。チャンピオンシップをリードしているライバルを追いかけるよりも、首位になって2位とのギャップをコントロールするほうが簡単なんだ。だから、スパは重要な週末だったね」
FIA F2:ARTグランプリもチームチャンピオンとなったね。彼らは君の成功にどれほど貢献したと思う?
「本当に重要だ。彼らとの4年間は僕の人生そのものだったけど、ついに素晴らしい旅は終わりを迎えたね。2020年のFIA F3ランキング2位、2022年のFIA F2ランキング2位、今年のFIA F2チャンピオン、16歳でのFIA F3最年少優勝、17歳でのFIA F2最年少優勝。僕たちは素晴らしい仕事をした」
「今日までシリーズタイトルを獲っていなかったけど、僕らはみんな勝つ準備ができていたんだ。みんな、僕のドライバーズタイトル、チームのタイトル、そしてルーキーチャンピオン獲得(チームメイトのマルタンス)を望んでいた。今シーズン、僕たちはすべてを勝ち獲ったのだから、僕らの物語は、素晴らしい終幕を迎えたと思う。でも、チェッカー後の無線でも言ったように、僕は彼らのことを決して忘れないし、彼らと過ごした思い出は永遠に心の中に残り続けるからね」