【F1第20戦無線レビュー(1)】「楽しもう。少しギャップを縮めてみようよ」2番手維持のフェルスタッペンがチームに提案

2021年11月28日(日)7時0分 AUTOSPORT web

 ロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された、2021年F1第20戦カタールGP。初開催のカタールでは、ルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得した一方、マックス・フェルスタッペンは予選でダブルイエローフラッグを無視したとして5グリッド降格ペナルティを受け、決勝レースは7番手から追い上げる展開となった。カタールGP前半を無線とともに振り返る


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 初開催のF1カタールGPは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が異次元の速さを見せてポール・トゥ・ウインを飾った。2位表彰台を果たしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)をも、まったく寄せ付けない強さだった。


 ダブルイエローフラッグ無視のペナルティで7番手スタートとなったフェルスタッペンは、1周目で早くも4番手に上がる。しかしピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)を4周ほど抜きあぐねた。




フェルスタッペン:ちょっとスタックしてる


 先行車を抜けない状況はスタートで9番手に上がったセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、逆に11番手まで順位を落としたバルテリ・ボッタス(メルセデス)も同じだ。フェルスタッペンは、5周目メインストレートでガスリーをかわして3番手に上がった。ガスリーはさかんに、タイヤのタレを気にしていた。


ガスリー:左フロントはどう?
ピエール・アムラン:摩耗は大丈夫だ。問題ない。ただターン16で、トラックリミットを超えたぞ


 フェルスタッペンは6周目にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)を抜いて2番手に、ペレスも角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)を抜いて8番手に上がった。

2021年F1第20戦カタールGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第20戦カタールGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)&角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)


 この時点でのハミルトンとフェルスタッペンの差は3秒8。


ピーター・ボニントン(メルセデス):少なくともこのギャップを維持するんだ


 しかしボニントンが指示するまでもなく、ハミルトンはフェルスタッペンをどんどん引き離していった。フェルスタッペンは限界までプッシュを続けた。


フェルスタッペン:フロントウイングは大丈夫か
ジャンピエロ・ランビアーゼ:縁石で擦っただけだ


 一方ペレスはカルロス・サインツ(フェラーリ)を8周目のターン1でなんとか抜いて7番手に上がったものの、サインツのブレーキング時の動きが気に入らない。


ペレス:あいつ、最後の段階で動きやがった


 なかなか順位を上げられないボッタスに、チーム代表自ら檄を飛ばす。


トト・ウォルフ代表:バルテリ、行け。前のクルマを抜くんだ!




 12周目には、ハミルトンとフェルスタッペンの差は6秒2まで広がっていた。互いのエンジニアが、ライバルとの比較や、相手の状況を逐一伝えていた。


ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ハミルトンにはターン2、4、5で負けている


ボニントン(→ハミルトン):フェルスタッペンはリヤに苦しんでる。ただしオーバーテイクは、予想以上に楽だ

2021年F1第20戦カタールGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 ハミルトンは最速タイムを更新しながらフェルスタッペンを引き離し、この時点で両者の差は7秒4まで広がった。タイヤが限界に近づいたフェルスタッペンは、17周目にピットに向かった。


フェルスタッペン:もう左フロントが曲がってくれない
ランビアーゼ:ボックスだ


 ライバルのピットインを知らされたハミルトンは、ボニントンに「もっと走れる」とアピールした。


ハミルトン:タイヤは全然大丈夫だ。早めに入れないでくれ


 しかしフェルスタッペンの次の周に、ピットインの指示が出た。


ハミルトン:早すぎるだろ
ボニントン:いや、ペースがいいから




 この時点でボッタスは、5番手まで上がっていた。1-2フィニッシュは十分可能だぞと、リカルド・ムスコーニがボッタスを鼓舞する。


ムスコーニ:フェルスタッペンは2ストップだと思う、だからまだチャンスはあるぞ


 29周目、ハミルトンとの差はほぼ8秒まで広がり、自力優勝の可能性はないと悟ったフェルスタッペンは、「タイヤを持たせる走りはやめようよ」と、ランビアーゼに提案した。


フェルスタッペン:楽しむことにしよう。もうちょっとギャップを縮めてみようよ
ランビアーゼ:左フロントだけは、注意してくれよ
フェルスタッペン:はいはい。いい夜を過ごしてくれ


 ハミルトンの強さを目の当たりにして、フェルスタッペンは7番手から2番手まで上がれただけでもう十分という気分だったようだ。


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(2)に続く

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