マルセロ疫病神説もあるが…。レアルが不甲斐ない真の理由。あまりに情けない敗戦で勝率50%に【分析コラム】

11月29日(日)12時57分 フットボールチャンネル

まさかの勝率50%

 レアル・マドリードは現地28日、ラ・リーガ第11節のアラベス戦を1-2で落とした。まだ4位につけているが、勝率は50%にまで落ち込んでいる。昨季王者らしからぬ負け方も、今後への不安を増大させる。一体なぜ、これほどまでに不甲斐ない姿になってしまったのだろうか。(文:舩木渉)

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 サッカーには浮き沈みがつきものだが、それでも勝ち続けるのがレアル・マドリードだったはずだ。

 ところが今季は、そのマドリーが大いに苦しんでいる。

 現地28日に行われたラ・リーガ第11節でアラベスに敗れ、今季のリーグ戦成績は5勝2分3敗(1試合未消化)となった。3敗のうち2敗がホームゲーム、さらに勝率が50%にまで落ち込むというのは、マドリーにとって極めて異例なことと言っていいだろう。

 格下のアラベス相手に内容もパッとせず、スコアは1-2。自分たちのミスから2度もゴールを奪われた。

 ジネディーヌ・ジダン監督が「開始3分でゴールを決められてしまうと、状況は非常に難しくなる」と悔やんだ最初の失点は、最後まで重くのしかかった。

 アラベスのFWルーカス・ペレスが蹴ったコーナーキックを、DFビクトル・ラグアルディアがヘディングで折り返すと、そのボールがブロックに入ったマドリーのDFナチョの腕に当たってハンドの判定に。開始早々のセットプレーの場面でアラベスにPKが与えられた。

 千載一遇のチャンスをしっかり活かし、ルーカス・ペレスのPKが公式記録にゴールとして載ったのは5分のこと。とはいえPKを与えた時点でほぼゴールと同義なので、ジダン監督の「開始3分」という表現も間違ってはいない。試合開始からすぐの失点というのは、それくらい重みのあるものなのだ。

 もう1つの失点は、あまりにお粗末で不甲斐ないものだった。マドリーが気持ちを入れ替えて反撃に出ようとしていた後半が始まってすぐの49分のことである。

 DFラファエル・ヴァランからの浮き球のバックパスを受けてコントロールしたGKティボ・クルトワは、中盤に鋭く縦パスをつけようとする。しかし、そのパスは相手FWホセルにあっさりカットされてしまった。そして、クルトワがバックパス処理のために空けていた無人のゴールに、そのままシュートを流し込まれた。

 86分にMFマルティン・ウーデゴーが蹴ったコーナーキックの流れから、最後はMFカゼミーロが押し込んでマドリーも1点を返す。が、時すでに遅し。リーグ戦今季3敗目を喫した。

積極的な交代も奏功せず

 試合後、ジダン監督は「ラ・リーガは我々の抱えている問題の1つで、規則性がなくなっている。けが人に関しても多くの問題を抱えている。言い訳をするつもりはないが、それが現実だ。説明することはない」と不振を認めた。

 3日前にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の試合で、イタリアの強豪インテル相手に会心の勝利を収めたのとは全く別のチームのようになってしまっていた。

 アラベス戦を前にした記者会見では「我々は決して止まることはない。チームには常に変化がつきものだが、選手たちは競争を望んでおり、今のチームが出来上がっている。何も変える必要はない」と語っていたジダン監督だが、敗戦後には「前半も後半も、今季最悪の入りだった」と述べた上で「変化」がなかったことを悔やんでいた。

「我々は試合展開を好転させられなかった。特に後半だろう。後半は試合の展開を変えるために、何もできなかった」

 前半のマドリーは相手の背後を狙うような動きに乏しく、ほとんど足もとから足もとへのつなぎに終始した。先発起用されたマルコ・アセンシオは全くと言っていいほど存在感を発揮できず、全体的な重さが停滞感につながったのだろう。28分にエデン・アザールが負傷交代してしまったのも大きな痛手となった。

 後半に入ると、ジダン監督は63分にアセンシオを下げてヴィニシウス・ジュニオールを送り出す。69分にはフェルラン・メンディとルカ・モドリッチ、トニ・クロースを下げてマルセロとウーデゴー、そしてイスコを投入するなど積極的に交代カードを切った。それでもセットプレーから1点を返すのが限界で、流れを大きく変えるには至らなかった。

「マドリーとの対戦になると、相手チームは全力以上のものを出してくる。同じカテゴリの戦いで、物理的に勝つチャンスを得るには、我々も150%を発揮する必要がある」

 アラベス戦を前にジダン監督はこのように話していたが、この試合でのマドリーは100%どころか80%……あるいは60%くらいのポテンシャルしか示せていなかったのではないだろうか。スター選手たちの躍動にワクワクするような場面は極めて少なかった。

 戦線離脱中のDFセルヒオ・ラモスとFWカリム・ベンゼマの不在がこうも大きく響くかと実感する日々でもあるだろう。

 今のマドリーは選手個々のクオリティで見れば他クラブよりも1段階か2段階優れているが、チームとしての総合力になると決して圧倒的ではないという、サッカーの本質的な側面を非常によく見せてくれているのではないかと感じる。

マルセロ疫病神説もあるが…

 ビッグクラブがビッグクラブである所以、つまり両ゴール前で他との決定的な違いとなれる選手を欠いている。それがセルヒオ・ラモスであり、ベンゼマであって、ジダン第2次政権のマドリーが王者として君臨できた最大の理由でもあった。

 2019年3月のジダン監督再任以来、マルセロが出場した29試合で16勝3分10敗、出場していない試合は30試合20勝10分無敗というデータもあるという。だが、近年の同選手のチーム内での立ち位置やパフォーマンス低下を考えれば不自然なことはない。

 ここ2年ほどマルセロが出場するのは、主力にけが人が出た場合や、ターンオーバーを敷いてメンバーを落とす試合、あるいはより攻撃的に振る舞いたい展開での途中出場が多くなっている。必然的に負け試合の可能性は上がるので、疫病神と言われてスケープゴートにされるのは不憫でならない。

 それよりも前線でどんな体勢でもボールを収めて起点となり、あらゆるパターンのフィニッシュからゴールを奪え、ラストパスでアシストもできるベンゼマが不在で攻撃の構成力がどうなったか。自陣ゴール前で体を張り続け、空中戦でも地上戦でもほぼ無敵、圧倒的なカリスマで苦しい時もチームを盛り立てるセルヒオ・ラモスがいないディフェンスラインはどうなっているか。

 アラベス戦では、勝利に直結する他との決定的な違いを生み出す彼ら2人の不在による影響の大きさを改めて実感させられた。ピッチ上でのリーダーシップの欠如が、規則性や継続性のなさ、そしてなかなか試合中に戦い方を変えられない原因にもなっているかもしれない。

 ジダン監督は「人生において、嵐の後は、最後に必ず太陽が昇る」とアラベス戦前の記者会見で語っていた。

 今よりも困難な状況に陥るかもしれないが、自分たちのクオリティなら乗り越えられると指揮官は信じ続けている。これまで何度も解任の危機に瀕しながら、土壇場で回避してきたジダン監督らしい考え方だ。

 ただ、現時点で公式戦の勝率が50%というのはマドリーにとって由々しき事態。それほど圧倒的なクラブはおらず、ラ・リーガの順位表ではまだ首位レアル・ソシエダと6ポイント差の4位をキープできているが、この状態が続けば年末までにもっと下の順位に転がり落ちていってもおかしくはない。

 相手に勝利をプレゼントするような情けない試合を、現王者が繰り返してはならない。アラベス戦における最大の教訓だ。

(文:舩木渉)

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