自身は26歳で引退…メイソン氏が悲痛な訴え「私のケガが人々の認識を変えず残念」

2020年12月1日(火)21時58分 サッカーキング

メイソン氏(左)がD・ルイス(右)とR・ヒメネスの接触についてコメント [写真]=Getty Images

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 現在トッテナムのコーチを務める元MFライアン・メイソン氏が、29日の試合でメキシコ代表FWラウル・ヒメネス(ウルヴァーハンプトン)とブラジル代表DFダヴィド・ルイス(アーセナル)が起こした頭部の接触事故についてコメントした。30日にイギリスメディア『トークスポーツ』が、1日に同国メディア『スカイスポーツ』がそれぞれ伝えた。

 現在29歳のメイソン氏はハル・シティ在籍時代の2017年1月22日、プレミアリーグのチェルシー戦で元イングランド代表DFガリー・ケーヒル(現クリスタル・パレス)と競り合った際に頭蓋骨を骨折。復帰に向けてのリハビリトレーニングを1年以上重ねていたが、神経外科医から「競技復帰は避けるべき」とアドバイスされたため、2018年2月13日に26歳での現役引退を決断した。

 だが、29日に行われたプレミアリーグ第10節アーセナル対ウルヴァーハンプトン戦で悲劇が繰り返された。試合開始早々の5分、コーナーキックの守備をしていたR・ヒメネスに向かって、ボールに合わせようと飛び込んだD・ルイスが勢いよく衝突。地面に倒れ込んだR・ヒメネスは動くことができず、スタジアムからそのまま病院に救急搬送され、同日中に頭蓋骨骨折の手術を受けた。一方、D・ルイスはその場で医療用ホチキスを使って止血。プレーを続行したものの、額からの出血が止まらず、ハーフタイムでロブ・ホールディングとの交代を余儀なくされた。

「現状のプロトコルは十分ではない」

 30日に『トークスポーツ』の番組に出演したメイソン氏は、「サッカーのピッチで再びこのようなことが起こって、私は本当に腹が立ったよ。私の事故が人々の認識を変えなかったのは本当に残念だ。(頭部の接触が)本当に深刻なものだと人々が気づき始めるには、他に何が必要なんだ?」と心境を吐露。同氏は次のようにも語り、頭部負傷に関するルールの改定を訴えかけた。

「正直言って、D・ルイスがプレーを許可されたことにはショックを受けたよ。アーセナルのメディカルスタッフを批判しているつもりはない。彼らはプロトコルに従っただけなんだから。だけど、現状のプロトコルは十分ではない。(D・ルイスとR・ヒメネスの衝突は)音も、勢いも、スピードも、何もかもが悪いものだった。ファンがいないせいで、僕らは衝撃音を聞くことになってしまった」

「まず一人の人間として双方の無事を願ったけど、片方が明らかにひどい状態なのは明らかだった。それでも、私は両選手がプレーすべきではないと思ったよ。ルールの変更が必要なんだ。試合続行のプレッシャーがかかる中、脳震とうを起こしているかどうかをたったの5分で見極めるなんておかしい」

 現地では、「頭部の負傷に関しては通常の交代枠とは別に、特別な交代枠を認めるべきだ」との議論がしばしばなされているが、メイソン氏も「脳震とう用に特別な交代枠を用意することには全面的に賛成だ。静かな部屋で徹底的かつ適切に選手をテストするのはいいアイデアだと思うよ」とこのルール導入に賛成している。

 また、メイソン氏は『スカイスポーツ』のインタビューにも応じ、次のようにコメント。脳震とうの危険性を改めて訴え、D・ルイスを擁護しつつも同選手のようなプレーは罰則の対象になるべきだと主張した。

「脳には多くの見えないものが詰まっていて、本当に複雑なものだ。私たちは『勇敢になりたい』と願う男たちのいる世界に住んでいる。それが産業フットボールというやつだし、私がまだ現役を続けていれば、サッカー界はもっと罪を犯していたかもしれない。私はサッカーのピッチで命を落としかけた。私は過去3年半に渡って多くの人々と話し、懸念を表明してきたが、何も変わっていない」

「(D・ルイスのチャレンジは)遅れていたし、(R・ヒメネスの)背後からだった。ひざや足首に近い地面だとイエローカードの対象となるのに、(D・ルイスの)衝突は正当なチャレンジとみなされる。私も正当だったとは思うが、プロとして危険なプレーを罰せられる責任はあると思う。この種のチャレンジが危険なプレーだとみなされるまで、被害者は減らない。大半のタックルは正当なものだし、D・ルイスに悪意があったと言うつもりは微塵もない。あのスピードでぶつかったらどうなるか、という話だ。同等のスピードで足を使ってタックルすれば、イエローカードかレッドカードが提示されるだろう」

サッカーキング

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